服作りCOMMUNICATION Vol.15
自社企画の製造・販売を新しい柱に
株式会社マシュール 代表取締役 山中 英作氏

高知県宿毛(すくも)市でスタートしたのが昭和四十六(一九七一)年で、平成元年に社名を「マシュール」に変更、現在地に新築移転しました。現在、人員は二十人で、中国人研修生も働いています。
創業時からずっとカットソーのベビー・子供服の委託加工一〇〇%でしたが、少子化や海外生産が進んだ影響で発注量が減り、加工賃も低下し、採算性が極めて悪化してきました。このため十年前から婦人服にシフトし、今は婦人服と女児を中心とした子供服の生産がメーン。縫製ラインは三~四人編成でサンプルでも量産でも素早い対応が得意です。また、早くからCAD/CAMを導入し、提案型工場を目指した態勢作りを進め、パターンから対応出来るのも特徴です。

将来的に委託加工一本で国内縫製として生き残っていくのは難しく、そのために自社オリジナル企画を新規事業として立ち上げていく必要があると考えていました。それにはまず商品企画やパターンが出来る人材。幸い長男の亮(りょう)が専門学校を卒業し、フランスに留学してデザイナーのミキミアリーさんの下でデザイン、パターンや、オートクチュールの勉強をしてきた。彼が帰ってきたのは三年前で、すぐにオリジナル商品の事業を始めました。

最初に手掛けたのが高知の夏の名物になっている「よさこい祭り」のチーム衣装。販売のためホームページも立ち上げました(http://www.mashur.com)。よさこい祭りは全国に広がっていて、今は青森県から山口県まで注文が来ます。ホームページを開設していると、自分は婦人服ブランドを立ち上げたいが、素人だからなかなか出来ないので作って欲しいという依頼が入ってくるようになりました。そんな人は服に対する感性やイメージは持っている。それに対してこちらからアドバイスしたり素材を提案し、パターンを起こし、サンプルを作って見てもらい、量産しています。一反つぶしの三十~五十着ほどですが、全国から依頼がありますね。
次に手掛けたのがユニフォーム。地元の介護施設の職員のユニフォーム、外食産業のユニフォームでした。これは自分たちで営業して注文を頂き、デザインから取り組んだ。一昨年は2002年よさこい高知国体が開かれ、高知県水泳連盟のユニフォームも製作したし、宿毛市役所が採用している夏の省エネポロシャツもうちで作ったものです。

今後、全国的な展開で力を入れていきたいのは外食産業のユニフォームです。二年前にリクルートに市場調査を依頼したのですが、それによるとユニフォームも競合が激しい業界ですが、大手がやらないニッチマーケットがあることが分かりました。と言うのは、都内でも五店とか十店とか比較的小規模ながらフランチャイズ展開しているお店が結構あるんです。そういうところはオリジナルユニフォームでお店や企業のコンセプトを発信したいという意欲が強い。大手メーカーはカタログ販売が中心ですが、我々はお客さんと一緒に企画し、製造するというやり方で、体型やサイズを含めて細かなお客さんのニーズにお応え出来る。これがモノ作りの現場を持っている強味です。

若い人材を確保し、技術継承へ

縫製工場は縫いは知っていても、売ることと材料に対する知識が全然ありません。うちでも一番難しかったのは生地の仕入れ。しかし、いずれの市場も量は少ないんですが、需要はあると確信しました。せっかくお話を頂いて断ることは出来ないので、当分は窓口を広くして事業を大きくする中で絞り込んでいこうと考えています。少量ですが、受注販売で直接お客さんに販売するわけですからロスはまったくありません。
これまで工場と消費者は離れていましたが、直接販売することで市場を意識したモノ作りの大切さが分かり、委託加工の部分でも品質や感性が高まります。品質面では、当社はカットソーが主体ですから、伸び縮みする素材に対応するためJUKIさんの「DLD」(本縫い差動送りミシン)と「DLU」(本縫い差動上下送りミシン)を活用しています。婦人服も子供服もフリルやレースが多いので、これらのミシンは欠かせません。それと電子眠り穴かがりミシン「LBH―1700」。カットソーのボタン穴作業は伸び止めのために芯地を貼っていましたが、このミシンは下縫いが入るので芯貼りが不要になると考え、発売後すぐに導入しました。
将来を考えると、やはり若い人材を確保できる工場になっていきたい。それには委託加工だけではなく、オリジナル企画の製造・販売事業を伸ばしていく中で若い人を雇用し、技術を継承していきたいと考えています。

JUKIからのメッセージ

JUKI販売 四国カスタマーズセンター 所長 益子 久

お客様の提案にきめ細かく対応

株式会社マシュール様は昭和四十六年創業以来、子供服、婦人服を手がけ、高知で発展された企業です。平成元年に本社移転、社名変更を機に、従来の座り作業から立ち作業に変更されました。少人数で小ロットに対応する為に思い切った改革です。また、早くから多能工教育を行い、展示会サンプルなどの極小ロットから大手メーカーのまとまったロットにも対応し、「品質・スピード」は得意先から高く評価されています。

マシュール様のもう一つの顔が創作衣装作りです。数年前から自社でパターンやデザイン力のある人材を育成し、高知の「よさこい祭り」の衣装をはじめ、介護関連、地方自治体の衣装を企画製造しています。自社で、商品企画機能、製造機能を持っているところが強味です。お客さまの意向に沿って、独自のテーストを加える事によりオリジナリティーのある商品を短期間で納品することが可能であり好評です。小ロット対応、サイズバリエーションの豊富さもセールスポイントです。今後の方針として、ジャケット類の縫製を考えているとの事で、今後の展開が楽しみな会社です。

JUKIグループでは、お客様のご提案、問題にきめ細かく対応致します。全国十カ所にカスタマーズセンターを配置するJUKI販売㈱、ユーザーセールス部門としてSTJグループが十七拠点、二百店舗にのぼる契約代理店があり、お客様をサポート致します。JUKI販売㈱カスタマーズセンターでは、常にお客様のご相談にのれるよう、スタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

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