服作りCOMMUNICATION Vol.13
日本と中国で婦人下着を生産
エフティアパレル株式会社 代表取締役社長 野坂 鐵郎氏

今年でちょうど創業六十周年を迎える福井経編興業は、昭和二十年代からトリコットを中心とした経編ニット生地の製造販売事業と、婦人下着をメーンにした縫製の製品事業を手がけてきました。エフティアパレルはこの製品事業を独立させ、100%出資の子会社として平成7年3月にスタートしたものです。その後、包帯など医療用製品製造を行っていたグループ会社の福井ニット工業と合併し、福井ニット工業の工場跡を改装し、移転してきました。

婦人下着の国内生産は、現在、直営の縫製子会社2社のほか、協力工場として縫製1社、仕上げ3社が主力です。直営工場のマックス(大野市)は約110人で6つの縫製ライン、ニュー・ハーモニー(坂井郡春江町)は50人弱で3ラインが稼働しています。取引先の中にはまだまだ国内生産を要望されるところがあり、これに応えるため日本での生産を維持しています。

私どももロットは小さいが、素材に特色がある、いわゆるこだわり商品に特化して生き残りを目指してきました。それと国内ではやはりリピート商品に素早く対応出来ます。インナーウエアはアウターに比べて部材をたくさん使用しますので、材料を全部揃えるのに時間が必要です。国内であれば材料を揃えて一カ月後には店頭に並べられますし、特急であれば十日、一週間でも可能です。国内はこのQRも評価して頂いていると思います。

一方、取引先には国内と海外の両方の見積もりを要望されるケースがあります。コスト要求にあわせ、平成に入って上海の一社、浙江省の二社とタイアップして生産を始め、今でも協力関係を継続しています。2000年からは国内の協力工場を縮小し、本格的に海外生産を強化、2002年9月には浙江省諸曁市に独資の諸曁蒂娜尓時装有限公司を設立、その年の11月から稼働を始めました。現在160人で4ラインあり、2ラインが主にショーツ、残り2ラインが肌着を生産しています。5月からは6ラインに増設し、今年中には180人の規模になる予定です。

中国側の幹部として董事に起用している女性は、当社に研修生を派遣してもらっている中国の服装公司の副総経理で、研修生からの人望も厚いし、日本の状況もよく理解している。お手伝いを頼んだら、上海から車で三時間ほどかかりますが、彼女が住んでいるところでという話になり、諸曁市に決めました。将来はエフティアパレルの仕事、当社以外の日本もしくは海外向け、それに中国国内向けがそれぞれ三分の一ずつになるようにしていくのが目標です。

数量ベースでは国内が13万枚、海外が17万~20万枚と一対二に近づきつつありますが、金額ベースでは国内と海外が半々の比率です。

ドライヘッドミシンを採用

ここ数年、国内では生産性より品質に関する取り組みにウエートを置いてきました。主力取引先はファンデーションでミリ単位の寸法管理をおやりになっていて、我々の生産アイテムもファンデーションに近い寸法精度を上げなければなりません。そのため素材によっては裁断前に放反したり、粗裁ちして時間をおいて再裁断しています。また、品質では個々の作業者のレベルアップや意識付けを重視し、工程検査、ラインの巡回検査などの仕組みを作ってきました。工場検査のデータを見ても、かなり直しの比率が低下してきています。

また最近はどんどん機能素材の割合が高まっていて、いろんなワケありメリットのタグが付くようになっています。縫製現場でこの一、二年、テーマに挙げているのが吸汗・速乾加工素材への対応です。この素材はポリエステルに後加工したもので、色によっては手の汗でも汚れやシミになりやすいものです。ランジェリーの素材として使われ、当社で手がけている商品ではメーンに近い素材で、とくにミシンの油が問題。現状では三割を超えるぐらい油汚れが発生していて、もちろん落としてしまえば問題にはなりませんが、工場検査で発見して落としても、エフティアパレルの検査で一割ぐらい出ています。

JUKIさんのアドバイスも受けて、夏場は粘着性の高い油に変えたり、天秤から落ちてくる油を抑える工夫をしてきましたが、国内工場ではいま、油汚れを防ぐのが設備投資の最大の狙いです。このため昨年からJUKIさんの無給油ミシンを設備しています。まずワンラインでトライアルし、すでにオーバーロックのドライヘッド無給油タイプを導入、続いて千鳥ミシンも採用し、上手くいけばこの二、三年、投資していく計画にしています。

JUKIからのメッセージ

JUKI販売 JCC中部 北陸カスタマーズセンター所長 高田 稔

お客様の問題にきめ細かく対応

エフティアパレル株式会社様は、福井県内では縫製の老舗企業です。長い歴史のなかで培われたノウハウがうまく継承され、今日の厳しい経済環境の中でも、しっかり乗り越えていく力を感じさせられます。

その秘訣は、妥協を許さない品質管理を徹底されていることで、それが信用になっていると思われます。最近では吸汗・速乾加工素材が頻繁に使用されるようになり、油によるトラブルが増えている事から、油汚れの解消方法を強く求められるようになりました。

こうしたニーズに対応するため、JUKI㈱では、ミシンのドライヘッド化を進めてきました。すでに本縫いミシン、千鳥ミシン、ロックミシン、一部特殊ミシン等のドライ化を実現しています。今後さらに他機種のドライヘッド化を積極的に進めて参ります。

JUKIグループでは、お客様のご提案、問題にきめ細かく対応しています。全国十カ所にカスタマーズセンターを配置するJUKI販売㈱、ユーザーセールス部門としてSTJ(Sewing Technology From Japan)グループが17拠点、また200店舗にのぼる契約代理店があり、お客様をサポート致します。JUKI販売㈱カスタマーズセンターでは、常にお客様のご相談にのれるよう、スタッフ一同心よりお待ち申し上げております。今後とも宜しくお願い申し上げます。

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