部品挿入自動化のヒント
~お困りごとをズバッと解決するJUKIのご提案~
目次
部品挿入工程とは
部品挿入工程は、電子機器製造の一環として、プリント基板(PCB)上に電子部品を正確に配置・固定するプロセスです。この工程は手作業と専用の自動機械の両方で行われ、特に自動化が進む現代では、生産性向上と品質安定化に大きく貢献しています。
この工程は、電子部品をPCBに挿入する「スルーホール実装(THT)」方式を主に指し、部品のリード(ピン)を基板の穴に差し込み、はんだ付けすることで、強固で信頼性の高い接続が得られます。特に電源供給部品や負荷のかかる部品に適しており、自動車や産業機器、通信機器分野で広く利用されています。
一方で、部品挿入工程は表面実装技術(SMT)に比べて時間やコストがかかりやすく、大量生産を行う企業では効率化が大きな課題です。近年では、自動挿入機の普及により、高速で正確な挿入が可能となり、生産性と品質の向上が進んでいます。
自動部品挿入機の概要
自動部品挿入機には、部品を自動で供給し、正確に配置する複数の機能が備わっています。これらの機械は製造ラインに統合されており、部品の誤挿入や挿入ミスを防ぐためにセンサーやカメラシステムを使用し、リアルタイムで確認や修正が行えます。最新の機械では異なる種類の部品を同一ライン上で高速に挿入することが可能で、多品種少量生産にも柔軟に対応しています。
ただし、部品挿入工程を自動化する際には、いくつかの課題もあります。例えば、機械による部品供給の安定性を確保することや、基板上での正確な挿入位置を調整する必要があります。また、異なる形状やサイズの部品を扱う際には、それに応じた機器のセットアップやプログラミングが求められます。
挿入部品の自動化を検討するときに直面する課題
① 多品種少量生産
日本では多品種少量生産が多く、頻繁に段取り替えが発生します。
② 部品荷姿が規格化されていない
メーカーから納品される際の部品荷姿がリール、バラ、袋詰めなど規格化されていないため、それに対応したマシンが必要です。
③ 部品形状が規格化していない
アルミ電解コンデンサやUSBコネクタ、コイルなど、大きさや重さ、把持する場所が異なるため、対応するマシンが必要です。
JUKIのソリューション
従来の手作業での部品挿入工程は以下のステップで構成されていました。
- 部品を目で見て認識する
- 部品を並べる
- 部品をつかむ
- 部品を挿す
- 検査する(目視で判断する)
01. 部品を目で見て認識する⇒レーザーと画像認識
02. 部品を並べる⇒汎用性の高い供給機での整列
03. 部品をつかむ⇒精密なノズルで把持し、正確な位置に挿入(吸着ノズル、グリッパーノズル)
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吸着ノズルでの保持:精密なノズルを使用し、部品を正確に把持・移動させることで、正確な位置に挿入する。
- グリッパーノズルでの保持:部品に合わせたグリッパーノズルで正確な挿入を実現。
04. 部品を挿す⇒XY軸で適切な場所へ移動し、搭載
05. 検査する⇒検査機で判定
JUKIは、長年の実装機技術とシステムを活用し、工程を細分化することで、現在の技術でも自動化対応が可能な仕組みを提供しています。
始めやすいステップごとの自動化提案
JUKIでは、導入しやすい現実的な自動化を提案しています。工場全体を自動化するのではなく、自動化しやすい部品やコストメリットの高い部品からまず自動化を進め、それらが安定した後で徐々に範囲を拡大していく方法を推奨しています。
自動化を進めるうえでの疑問
お金をかけると自動化できるって本当?
「この工場のすべてを自動化してください」と依頼された場合、現在の技術で実現可能ではありますが、すべてがカスタマイズとなり、莫大な費用がかかるため、投資対効果が合わないケースが多いです。
多関節ロボットより、XY直交ロボットが向いている理由
多関節ロボットは自由度が高く、さまざまな工程で使用できるメリットがありますが、立ち上げや移設に費用がかかり、XYロボットに比べて位置決め精度が劣ります。
XY直交ロボットは、高速でありながら高精度で挿入可能で、コストも抑えられ、段取り替えもしやすいです。ただし、設置面積が大きく、複雑な動作ができないデメリットもあります。JUKIでは、蓄積された高精度なXY軸技術を活用し、高速自動化技術を確立しています。
XY直交ロボットの一番大きなメリットは、高速であるということである。また、高精度で挿入することが出来、コストも抑えられる。さらに段取り替えがしやすいというメリットもある。一方でデメリットとしては、設置面積が大きく、複雑な動作ができないということがあげられる。
JUKIでは高精度なXY軸技術を活用した実装機を製造してきたことから、この蓄積された技術を活用し、高速自動化技術を確立した。
自動化導入ロボットを選定するポイント
高速
選定ポイントの一つは、人よりも高速で安定した挿入ができるかどうかです。人手では速度に限界があり、体調やスキルにより品質のばらつきが生じます。
高汎用性
「どこまでの部品に対応できるか」という点も重要な選定ポイントです。
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高品質
人手による挿入には部品差し間違いなどのヒューマンエラーが生じることがあります。マシンによる挿入ではトレーサビリティが確保でき、ばらつきがなく安定した生産が可能です。これによりエンドユーザーの信頼が高まり、新たな売上拡大のアドバンテージが得られます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
部品挿入工程の自動化は以前から求められてきましたが、実現には様々な難所があり、困難が伴いました。JUKIは、長年培ってきた実装機技術を活用し、お客様が導入しやすいソリューションを提案しています。多品種少量生産や部品荷姿・形状の違いなどの課題に対し、お客様と共に今後も製品やサービスを提供します。
挿入部品の自動化を考えているがどのように進めればよいかわからないなどのお困りごと、ご不明点があればお気軽にお問い合わせください。