
作品の仕上げ段階で開けることが多いボタンホール。
仕上がりが今一つだったり、失敗できないプレッシャーで、ドキドキ?! なんてことはありませんか?
もっと気軽に、もっと楽しく、ボタンホールを縫いたい!
そんなあなたの思いに応えるボタンホーラー EB-1。
仕上げのボタンホールがグッと楽しくなること間違いなしです♪
どんなボタンホールがあるの?
ボタンホールを縫う手段
ボタンホールは、ミシンか、手縫いで縫います。
ミシンの場合、既製品でない限り、家庭用ミシンか職業用ミシンで縫うのが一般的です。既製品同様に工業用ミシンで縫ってくれる穴かがり専門店がありますが、近年少なくなっています。
手縫いでキレイに作るには、ある程度の熟練が必要となる上、1つ仕上げるにも時間がかかります。
工業用ミシン

工業用ミシンは、ボタンホール専用のミシンで縫います。

例:高速電子眠り穴かがりミシン
既製服のボタンホールのほとんどは、ボタンホール専用の工業用ミシンでで縫われています。
個人からの依頼を受けて、工業用ミシンでボタンホールを縫ってくれる穴かがり専門店がありますが、近年は減っています。穴かがり専門店の仕上がりは既製品の品質でキレイですが、依頼の手間や、時間、費用がかかります。
職業用ミシン

職業用ミシンは直線縫い専用ミシンなので、ボタンホールを縫う専用装置を取り付けて縫います。

JUKI 職業用ミシン専用コンピュータ式ボタンホーラー EB-1
JUKIの職業用ミシン(EB-1対応機種)で使えるボタンホーラーです。コンピュータ式で、細かい設定が簡単にできます。ボタンサイズに合わせたボタンホールが1ステップで縫えます。縫製物を枠で挟んで送る方式なので、縫い詰まりによる失敗が起こりにくいです。
ボタンホールの種類:11
対応ボタンサイズ:5mm~32mm(1mm単位)

他社製品
職業用ミシン専用メカ式ボタンホーラー
工業用ミシンの押えが取り付けられる職業用ミシンで使えるボタンホーラーです。
メカ式で、ボタンホールのサイズごとに交換駒が必要です。ボタンサイズに合わせたボタンホールが1ステップで縫えます。
ボタンホールの種類:2(ねむり穴、はと目穴)
対応ボタンサイズ:ねむり穴/5(10、13、16、18、21mm)、はと目穴/4(16、18、21、24mm)
家庭用ミシン

家庭用ミシンは、押えや模様をボタンホール用に変えて縫います。

例:JUKI 家庭用ミシンHZL-EX7のボタンホール押え
ボタンサイズに合わせたボタンホールが1ステップで縫えます。
送り歯で縫製物を送る方式で、段部での縫い詰まりには注意が必要です。
ボタンホールの種類:15
対応ボタンサイズ:7mm~32mm
手縫い


ミシンがなくても手縫いでボタンホールを作ることができます。
キレイに作るにはある程度練習が必要で、ミシンに比べて時間がかかります。
縫い目
既製品のシャツとジャケットではボタンホールの形状だけでなく、よく見ると縫い目も異なっています。
既製品(工業用ミシン)や、職業用・家庭用ミシン、でどんな縫い目のボタンホールができるのか見てみましょう。
★単環縫い
単環縫い
1本の糸で作ったループに同じ糸のループを通すことで作られる鎖状の縫い目。
単環縫いのボタンホール
手縫い、工業用ミシンで縫える。
伸縮性があり、ニットにも向く。鎖状の縫い目側はふっくら山が立ったようになる。
手縫いではボタン穴を開けてから縫う。
★二重環縫い
二重環縫い
2本以上の糸(1:針糸、a:ルーパー糸)を絡ませて作る鎖状の縫い目。
二重環縫いのボタンホール
工業用ミシンで縫える。
伸縮性があり、ニットにも向く。鎖状の縫い目側はふっくら山が立ったようになる。
芯を入れて縫うと更に、しっかり、ふっくらする。ジャケットの前身頃のボタンホールなどによく使われる。
ジャケットはボタン穴を開けてから縫うことが多く、ジーンズなどは縫ってから穴を開ける。
★本縫い
本縫い
上糸(1:針糸)と下糸(a:ボビン糸)が絡んで作られる平たい縫い目。
直線、ジグザグなどが本縫いの代表的な縫い目。
本縫いのボタンホール
どのミシンでも縫える。家庭用ミシン、職業用ミシンのボタンホールは全て本縫い。
伸縮性が少なく、織り生地に向く。
平たい縫い目で、既製品ではシャツなど、やや薄地の服によく使われる。
ボタン穴は縫ってから開ける。
種類と用途
ボタンホールは、縫製物の種類や素材、縫う位置などに応じて、形状が異なります。ホール(穴)の形状は「ねむり穴(シャツ穴)」と「はと目穴」の2種類があります。
また、ボタンホールは使用上で力がかかる箇所に補強のための「かん止め」をしますが、このかん止めと、穴等の形状の組み合わせによって、様々なボタンホールのバリエーションがあります。
ねむり穴・はと目穴
ねむり穴(シャツ穴)
シャツやブラウスなどに多く使われているボタンホールで、眠っている目のような形状をしています。
薄手の生地で、やや小さいボタンのボタンホールによく使われます。
はと目穴
コート、ジャケット、紳士服などに多く使われるボタンホールで、鳩の目のような形状をしています。目の部分に、ボタンを縫いとめた糸足や、ボタンの足が入ることで、ボタンの位置が落ち着きます。
厚手の生地で、やや大きいボタンのボタンホールによく使われます。
かん止めとボタンホールのバリエーション
ボタンホールは使用上で力がかかる場所に、補強のための「かん止め」をします。
主に②の部分をかん止めと呼びますが、①と②両方かん止めのボタンホールもあります。工業用ミシンでは、①と②の組み合わせで、ボタンホールの豊富なパターンバリエーションが展開されています。
※

①の主なバリエーション
1.角型
2.放射型
3.はと目型
②の主なバリエーション
1.かん止め(横方向のかん止め)
2.縦型/直線 かん止め
3.放射型かん止め(※)
4.流れかん止め
※放射型は模様で、「かん止め」とは呼ばない縫い形状(模様)ですが、ここではかん止めに含めます。
EB-1で縫えるボタンホールの種類と用途

EB-1では、形状やかん止めの異なる、計11種類のボタンホールが縫えます。
EB-1で縫えるボタンホールの形状と、主な用途について見てみましょう。
一般布帛・被服用でワイシャツ、ブラウス類などに広い汎用性があります。
一般布帛・被服用で作業用、婦人服、トリコット製品類などに広い汎用性があります。
デザインに合わせて、縦かん止めか流れかん止めか決めます。
放射型は、ブラウスや子供服などの薄地用製品類に使われます。
デザインに合わせてかん止めの形状は決めます。
はと目は、ジャケットやコートなど厚地生地の製品類などに使われます。
はと目流れかん止めは、ジーンズや作業服に多く使われています。激しい加工や洗濯に耐えられるボタンホールです。
● EB-1ではボタンホール以外に、かん止めとアイレットも縫うことができます。
かん止めは、止め縫いの一種で、縫い目がほどけやすい箇所を補強するために施します。糸の縫い止まりは耐久性が弱く、力が加わるとほつれてくることがあります。 その際、ほつれてこないように補強する目的で行うのが、かん止めです。
※かん止めが縫える位置は、押え枠に挟む向きで、生地右端から1.5cm~5cm。
アイレットは「小穴」「ひも穴」の意味で、ベルトや靴、衣服にひもを通すために開ける小さい穴を指します。
衣服の装飾としても使われます。
ボタンホールの基本
男女服での違い
基本的には、男性服は左身頃に、女性服は右身頃にボタンホールをあけます。
近頃はカジュアルな服、ユニセックスの服などでは、あまり気にしない流れもあるようですが、フォーマルは間違えると違和感がでるので注意しましょう。
男性服
左身頃が上。左身頃にボタンホール
(ボタンは右身頃につける)
女性服
右身頃が上。右身頃にボタンホール
(ボタンは左身頃につける)
縦穴と横穴
基本的には、ボタンを留めた時に主に力がかかる方向によって、縦穴か横穴かを決めます。横(左右)方向に力がかかる場合は横穴、縦(上下)方向に力がかかる場合は縦穴を開けます。
実際に洋服で、縦穴と横穴がどのように使われているのか見てみましょう。
コート・ジャケット

コートやジャケットなど、上着類の合わせ部分のボタンホールは、横方向に力がかかるので、横穴。
パンツ・スカート

パンツやスカートのウエスト位置のボタンホールは横方向に力がかかるので、横穴。
ブラウス・シャツ

シャツやブラウスなどは横方向に力がかかるのですが、前たてがあるので縦穴。前たては幅が狭いので、横向きにボタン穴を開けづらい為です。
ただし、一番上だけは、首回りにゆとりを持たせるのと、上下のズレ(右身頃と左身頃の高さがズレること)をなくす為に横穴です。

左右にあそびがある横穴はボタンを留めても前たてに対してボタンの位置がまちまちになることがあり、見た目に美しくありません。前たてが無いものでも、縦穴の方がボタンを留めた時に縦のラインが揃ってキレイです。

カフス(袖口)部分は横方向に力がかかるので、横穴。
短冊あきの部分は短冊布の幅が狭いので、縦穴。
ニット(カーディガンなど)

シャツ・ブラウスと同様に、縦穴。
前たてがあることも多く、ボタンの位置が縦に揃ってキレイに見えるため。
ラウンドネック(丸首)の場合は一番上だけ横穴。
ボタンホールサイズの決め方

ボタンホールは
ボタンのサイズ+※ボタンの厚み で開けます。
ボタンの厚みはいろいろありますが、2mm~3mmが一般的です。
ボタンサイズの測り方
ボタンには丸以外にも、楕円、四角など、いろいろな形状があります。
無理なくボタンを通すために、ボタンサイズの測り方には気を付けましょう。
ボタンホール位置の決め方

ボタン付け位置が基準
ボタンホールの位置はボタン付け位置(中心)を基準に決まります。
ボタン付け位置は縫製物の種類や、ボタンの用途、デザインなどによって様々です。
● 横穴の場合
女性服の場合、身頃に向かって、ボタン付け位置の中心から左側にボタンの直径、右側にボタンの厚み分の長さをとります。
(男性服はホールと付け位置が逆なので、身頃に向かって、ボタン付け位置の中心から右側にボタンの直径、左側にボタンの厚み分の長さをとります)
● 縦穴の場合
縦穴の場合①
・シャツの前立てなど
ボタン付け位置の中心から上にボタンの厚み分の長さ、下にボタンの直径をとります。
縦穴の場合②
・袖口の短冊部分など
※シャツの前立てで、②の場合もあります。
ボタン付け位置の中心から上下に「ボタンの直径+厚み」分の長さを等分してとります。
EB-1で縫ってみよう(基本)
縦穴を縫ってみよう

EB-1では11種類のボタンホールが縫えますが、初期設定は「角型両かん止め」に設定されています。
一番よく使われる基本的なボタンホール、「角型両かん止め」の縦穴を、ボタンサイズ12mmに設定して縫ってみましょう。
横穴を縫ってみよう

ジャケットやコートの前合わせ部分や、ズボンやスカートのファスナーの上のボタンホールでよく使われる「はと目穴」。
EB-1は、かん止めの違いによって4種類のはと目ボタンホールが縫えます。
基本的な「はと目かん止め」の横穴を、ボタンサイズ25mm、回転角度を270度に設定して縫ってみましょう。
設定を変えて縫ってみよう

EB-1では、上の動画でご紹介した「ボタンサイズ」や「回転角度」の他、
・縫い目の長さ
・縫い目の幅
・メス幅
・重ね縫い
・下縫い回数
も設定を変えて縫うことができます。設定を変えてあなたの思い通りのボタンホールを縫ってみましょう。
縫い目の長さを変えてみよう
縫い目の幅を変えてみよう
メス幅を変えてみよう
重ね縫いに変えてみよう
下縫い回数を変えてみよう
EB-1で縫ってみよう(応用)
ミシンを縦置き(面部側を正面)にして縫ってみよう

ミシンを縦置き(面部カバーを正面)にして使うと、縫製物のセットや、ボタンホールの連続縫いもよりスムーズにできます。
ミシンを縦置きにして、横穴のボタンホールを連続して効率的に縫ってみましょう。
シャツの一番上の横穴を縫ってみよう

シャツの前立て一番上の横穴は生地の端で縫いづらいですよね。でも、EB-1なら回転角度を270度にして、縦穴に続けて簡単に縫えます。
押え枠で縫製物をしっかり挟んで送る方式のEB-1なら、縫い詰まりの心配もなく、キレイに仕上がります。
●動画内でご紹介している「手で破ける接着芯」↓
人形服に5mmボタンのボタンホールを縫ってみよう

EB-1では5mmボタンのボタンホールが縫えます。(自動ボタンホール最小サイズ/自社比)
針や糸も小さいボタンホールにおススメのものに変えて、最小サイズのボタンホールを縫ってみましょう。
●動画内でご紹介している「手で破ける接着芯」↓
段差(縫い代の重なり)近くに縫うとき

段差(縫い代の重なり)近くに縫う場合、押え枠が、段差でガタつかないように段差補正プレートを使用します。押え枠が水平に縫製物を押えるため、キレイに仕上がります。
デリケートな素材に縫うとき

薄くやわらかい素材や、滑りやすい素材にボタンホールを縫う場合、滑り止めシートを使います。滑り止めシートが素材のたわみや、滑りを軽減するため、キレイに仕上がります。