行政
11年度税制改正繊研,〔10・12・20(1)〕

政府は11年度税制改正で特恵関税の見直しと加工再輸入減税制度(関税暫定措置法8条)の3年間単純延長を決めた。特恵関税の見直しは10年ぶりで業界の要望を踏まえ、原産地規制などの変更を行う。新しい枠組みは全体を通してみると繊維・ファッション業界の東南アジアシフトを後押しするような内容となる。

素材
暑い夏対応の機能が充実繊研,〔10・12・24(4)〕

12年春夏向け合繊スポーツ素材は、遮熱、汗処理、消臭などに対応した素材が多く出ている。遮熱は糸の中にセラミックスを練り込んだり、表面に熱線反射材を均一に付与したりして、太陽光に含まれる熱線を遮断し、紫外線カットや透け防止機能を持たせている。汗処理は2種類のポリエステル層の間に水分吸収素材を用いて肌ドライ性を実現させたり、3層粗密構造の中間層に超極細繊維を用いることで汗の拡散スピードを上げたり、多層構造による吸汗速乾性を高めている。消臭は宇宙船内服向けの開発技術を応用した洗濯耐久性を持たせたもの、加齢臭や汗に対する消臭加工素材、pHコントロールによる抗菌、消臭、防汚などの効果を狙った肌着などがある。

加工
新感覚リネン広がる繊研,〔10・12・14(4)〕

12年春夏プルミエール・ヴィジョン(PV)には、シルクやリネンに重点を置いた複合素材を中心に、和紙やキュプラなど日本独自の原料を各社出展している。ニッケは綿、麻、シルクを複合した細番手のシフォン(80番手、110番手)を出展している。東紀繊維は綿紡績と組み、綿とシルク、綿とリネン、綿とヘンプを新たに加えた。坪由織物は経糸にシルクやナイロンなど極細糸を使い高速織機で織り上げ、洗いでふんわりと仕上げたリネンで従来ない薄地を出展した。エイガールズは光沢のあるリネンを毛羽立せ、上品な素材をあえて荒っぽく扱い、粗野なものを加工できれいに仕上げ、カジュアルとエレガンスの振れ幅を大きく取り、一つの素材に落とし込んでいる。

アパレル
国内縫製工場に薄日-高級品特化の戦略奏功・中国生産見直し追い風日経,〔11・1・12(14)〕

国内の縫製工場に回復の兆しが出てきた。高級品の生産に特化した戦略など、受注確保の取り組みが奏功し、一部工場の稼働率が急上昇。アパレルメーカーの間で、生産委託先を中国から移す動きが広がっていることも追い風。中国を中心とする海外勢の台頭で国内工場は縮小を続けてきたが、潮目が変わりつつある。

流通
百貨店、広がる大型専門店導入繊研,〔10・11・5(3)〕

百貨店に、衣料、家具、家電量販店、総合雑貨専門店などの大型専門店業態を導入する動きが広がっている。入店客数増と対象客層の拡大が一つの狙い。いずれも業態も客層の幅は広く、百貨店側からすれば新規客層の来店が見込まれる。また、既存顧客を含めた館内買い回り性向上、店舗の収益性向上も狙いだ。

流通
人気ランクで売り場直行日経,〔10・12・8(31)〕

人気商品ランキングを見て売り場に直行--。そんな買い物の仕方が百貨店に広がりつつある。かつて百貨店は店内をゆっくり歩き回って商品を選ぶ人が多かった。ところが最近は店内にランキングを表示すると、上位商品の売り上げが跳ね上がるという。インターネットに慣れた人は、手っ取り早く情報を集めて買い物をすませたいようだ。

クリーニング
液体洗剤、粉末を逆転へCleaning News, 56(1),〔11・1〕p28

まず家庭用の衣料用洗剤の出荷額において、初めて液体が粉末を越す見通しとなった。原因は、液体洗剤に成分を濃縮した高機能製品となり、節水、節電につながるためである(日経,〔10・11・3〕より)。次にクリーニング業界の洗剤出荷統計によれば、ランドリー用の液体洗剤は年々増加しており、家庭用と同じ傾向を示している。

消費
消費者モニターが選んだ2010消費者10大ニュース月刊消費者,〔11・1〕p4~8

昨年を振り返ってみると、消費者にとって景気低迷を色濃く映し出した話題に目が向けられた。(1)酷暑、死亡者は昨年の10倍/(2)子供手当、高等学校授業料無料化/(3)エコポイント、景気回復の起爆剤となるか/(4)口蹄疫、殺処分288.643頭の命/(5)所在不明高齢者発覚、無縁社会にしない仕組みを/(6)事業仕分け、私たちは知りたい/(7)大阪地検特捜部証拠改ざん、もし私が裁かれたら/(8)改正臓器移植法施行、いまだ議論の余地あり/(9)たばこ大幅値上げ、マナーは守りたい喫煙被害/(9)就職浪人、税金を払わせてください、仕事をさせて

その他
途上国内縫製業を開拓-低価格工業用ミシンを投入繊研,〔10・11・17(2)〕

JUKIは、中国、インドなど発展途上国の内需に向けた現地縫製業の発展が今後も期待できることから、低価格の工業用ミシンの投入を本格化する。生産の海外シフトや現地協力企業への開発・生産委託なども進めコストダウンを図る。13年には発展途上国のアパレル消費が10年度比で36%増、先進国は12%増えると予想。「輸出向けの縫製業は人件費の高騰などにより中国から東南アジアへのシフトもみられるが、中国、インドの内需向け縫製業はまだまだ伸びる」(清原晃社長)とみている。

その他
中国進出企業、賃金2ケタ上昇が4割日経,〔10・12・15(1)〕

日本経済新聞社の「中国進出日本企業アンケート」で2010年度の中国での賃金水準が09年度比で10%以上上昇した企業が4割に達した。一方で4割の企業が10年度の中国事業の2ケタ増益を見込み、11年度の設備投資も46%が増やす意向。