主要製品の製造力

工業用ミシンは、縫製工場などで生産財として使われる製品です。そのため、高速稼働、信頼性、耐久性、長寿命など極めて高い品質が求められます。お客様の工場では、24時間休みなく稼働する場合もあり、構成する部品一つひとつにも高い品質が求められます。

組立は、たくさんのノウハウが詰め込まれた「作業手順標準書」を電子化し、モニター表示を見ながら組み立てる「デジタル屋台」方式で生産しています。近年は「デジタル屋台」をさらに進化させた「デジタルセルのリレー方式」にて、生産を行っています。誤組付防止による品質の向上や作業習熟期間の短縮、変種変量生産への容易な組み換えなどで高い効果をあげています。

また、工業用ミシンの中には、縫製品への油染みをなくしたいというお客様の要望にお応えして、潤滑油を極力減らしたドライ化を実現した製品があります。本来、高速回転で稼働し、耐久性が求められる製品にとって、潤滑油は部品の磨耗などを防ぐために必要不可欠なものです。この製品を生み出すために、油を固形のグリスに変え、部品一つひとつの精度や強度の改善に取り組みました。このドライ化技術は製造グループを含めたJUKIの努力の結晶ともいえる製品です。

■デジタルセルのリレー方式

作業手順が画面に表示されるほか、必要な部品や工具も表示される
(JUKI(株)大田原工場)

■本縫いミシンDDL-9000A

ドライ化を実現した1号機

■ポケットセッターAPW-896

縫製8工程を数秒で完成させる自動機

工業用ミシンの部品例

■ボタンホール用の「メス」

要求品質の幅で、シャープなボタンの穴を開けるメス。用途に応じて様々な種類がある((株)鈴民精密工業所にて製造)

■工業用本縫いミシンの「フレーム」

縫いの安定性とミシンの耐久性を保つための基礎部分(JUKI金属(株)にて製造)

工業用ミシンができるまで

1.フレーム加工 ミシンの核となるフレームの加工は、最先端の高速・高精度加工を取り入れています。NCプログラムを組み、工具を全て集中制御させたフレキシブル生産システムで行っています。

生産ライン上にマシニングセンター(加工機械)が並び、多品種生産にきめ細かく対応

オリジナルで最適形状に設計した刃物類

2.塗装 フレームに粉体塗装を行います。下塗りの前に鋳物をあらかじめ熱し、塗料の塗着をよくするなど、塗膜性能の向上を図るとともに、作業性・安全性を考慮した生産システムラインで高品質の製品を実現させます。

下塗りの前に鋳物をあらかじめ熱し、塗料の塗着をよくするプレヒート。

形状が特殊でライン生産できないものは、手作業で塗装。塗装ムラができやすいため、熟練した技術が必要。

3.組立 組立は、モニター表示を見ながら組み立てる「デジタル屋台」方式で行っています。05年からは中分割の工程をキャスター付きの作業台で次の工程へ回していく「デジタルセルのリレー方式」も加わり、誤組付防止による品質の向上や作業習熟期間の短縮、変種変量生産への容易な組み換えなどの効果をあげています。

4.完成 完成した製品は、品質試験を経て丁寧に梱包され、全世界へ出荷されます。

産業用ロボット「チップマウンタ」は、基板上に電子部品を高速で搭載し、様々な製品(スマートフォン、各種電化製品、自動車など)の頭脳の役割を担う「回路基板」を作る装置です。そのため、チップマウンタには、生産スピード、ミクロン単位の正確な位置決め搭載、24時間とまることのない信頼性などが求められます。

チップマウンタの製造は従来、ライン生産で行っていましたが、多品種変量生産に俊敏に対応するため、電子マニュアルを組み込んだデジタルセル生産方式で製造を行っています。

多種多様な素材・部品を集積し、数十~百を超えるアクチュエーターを組み込む作業には、調整治具の工夫に加えて、作業者の技術と熟練が必要です。また、妥協を許さない製品を送り出すために、多種多様な検査方法と検査体制を整えています。

■デジタルセル生産

大きなモニターに組付け手順が表示される(JUKI産機テクノロジー(株)本社)

■部品搭載のヘッド部分

■高速汎用チップマウンタ KE-3020V

最大160品種の部品装着が可能

チップマウンタの部品例

■部品を吸着する部品「ノズル」

ノズルの先端は極小部品も吸着するミクロン単位の精度が必要(部品最小サイズ0.4mm×0.2mm)

部品の大きさに応じて、様々な種類がある
(JUKI産機テクノロジー(株)吉野工場にて製造)

■チップマウンタの「カバーフレーム」

高速で稼働するマウンタのカバーは、フォルムの美しさと堅固さが重要
(JUKI産機テクノロジー(株)大仙工場にて製造)

チップマウンタができるまで

1.下周り、各部結組み付け チップマウンタは、乗用車と同等の重量(約1トン~3.5トン)がある大型製品のため、リフトなどを使って組付架台へ置き、主に下周りから組付けていきます。ベースフレームはJUKI吉野工業(株)で加工したものです。

リフトを活用して組付架台へ設置ベースフレームへ電装品・ハーネス等の下周りを組付け定盤上で「基板搬送」になる部分を組み立てマウンタ内部に組み付ける「部結品」を組み立て

2.組立 組立は、生産情報や組付け指示を電子マニュアル化した「デジタルセル生産方式」で行っています。複合的な動作と各種センサーや画像処理による正確な位置決めが必要なチップマウンタの組み立ては、信頼性が最も重要な要素となります。また、多品種変量生産に俊敏に対応できる体制を整えています。

デジタル・セル組立ライン電子マニュアルによる画像指示内容

3.パラメータ設定、検査 各種パラメータを設定し、製品組立が完了します。検査ラインでは、実際に基板搭載のテストや三次元測定器を使った搭載精度の検査を実施します。

各種パラメータの設定基板への搭載テスト三次元測定器を使った検査

4.完成 完成した製品は、丁寧に梱包され全世界へ出荷されます。

JUKIの各工場には、様々な設備や加工・製造技術があります。

  設計・試作 金型 量産 その他
保有技術 設計 試作 ロストワクス・MIM金型 プレス金型 鍛造金型 その他金型 鍛造量産 鋳造量産 金属プレス 機械加工 板金加工 ロストワクス・MIM 組立・アセンブリ部品製造加工 素材メ 表面処理 熱処理
JUKI産機テクノロジー(株)本社                          
JUKI産機テクノロジー(株)吉野工場                          
JUKI産機テクノロジー(株)大仙工場                  
JUKI会津(株)                
(株)鈴民精密工業所            
JUKI金属(株)                            
JUKI広島(株)                      
JUKI松江(株)                      
JUKI(株)大田原工場                        

※△:ベトナム(JUKIベトナム)へサブアッセンブリーを依頼しています。