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知って得する縫いのヒント
電子ミシンの新しい機能とパネル操作法
AMS-210E
 消費者の要求が多様化し、ファッションへの要求が絶え間なく変化して新たな素材が次々と開発される現代において、変化に対応する方策の一つとしてミシンの電子化が進められてきました。電子化することで機能が増え、これまで不可能だったいくつかの機能が可能になっています。今回は、こうした機能とパネルの操作方法を御紹介しましょう。


パネル機能:「中押え下位置調整機能」

 中押えは、目飛び防止のために必要なものです。中押えの下位置高さは素材のペコつきを防ぐため、素材の厚みに合わせて調整します。ところが、縫いパターンの中に薄い部分と厚い部分がある場合、薄い部分で「中押え下位置高さ」を合わせると、厚い部分で中押えが素材に衝突してしまいます(図表1)。中押えにはバネが内蔵されており、素材に衝突してもミシンがロックする事はありませんが、デリケートな素材では傷がつく可能性があります(図表2)。また、段部の乗り越え時に素材に引っかかったり、厚い部分では中押えの上下量も小さくなり、針糸締まりが悪くなる事も考えられます。
 対策として、「縫製スピードを下げる」「中押えの形状を変える(衝突する面積を広げる)」などがありました。

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AMS-210E 操作パネルIP400/IP410
(Flash Video : 3.3MByte)
図表1 中押えの段差(旧タイプ機構) A>中押え上下量>B 図表2 中押えが素材に「衝突」したため、針穴の周りに丸い傷がついた皮革素材。デリケートな素材程、傷がつきやすくなります(確認しやすいように、縫い糸は解いてあります)。
図表1 図表2
図表3 中押えの新機構 中押え上下量:A = B 図表4 中押え高さを、素材の厚みに合わせて調整できるので、「衝突」せず、傷がつかない。
図表3 図表4
AMS-210Eシリーズの新機構

 電子化を図ることで「中押え下位置高さ」を、それぞれの素材の厚みに合わせて設定できるようになりました。設定すれば縫製中に自動的に高さが変わります。素材の厚みが変わっても衝突することがないので、傷がつきませんし、中押えの上下量も変わりません。エアシリンダーを用いて「中押え下位置高さ」を変更する機構もありますが、エアシリンダー伸縮を用いた機械的な高さ設定に対し、このミシンの機構はパルスモータを使用した電気制御のため、操作パネル上で細かく、簡単に高さの設定ができます(図表3)。
 結果として、中押えが衝突しないため、素材に傷がつかない(図表4)。高さ設定範囲(制御単位0.1㎜):標準0~3.5㎜(0~7.0㎜可)操作方法:操作パネルIP400/IP410の場合
 詳細な操作方法は、AMSに同梱されている、取り扱い説明書を御参照下さい。(AMS-210E取り扱い説明書 品番:400-31439)

縫製例:段部のある円を縫製する。

 S点から縫製スタートし、A点で中押え下位置変更(低⇒高)、B点で中押え下位置変更(高⇒低)する(図表5)。

注意)オリジナル縫製データで試される時は、必ずコピーをしてオリジナル縫製データを別に保存して下さい。

(1) 縫いパターンを呼び出し、「準備キー」を押して「縫製画面」(図表6)とする。(画面の背面が青色から緑色に変わり、針は「S」点へ移動する。)
(2) 「足踏みペダル」を踏んで押えを下げる。
注意)「縫製画面」から直接にa「中押えボタン」を押すと、自動的に押えが下がりますので、注意して下さい。
(3) a「中押えボタン」を押す。画面が「中押え高さ基準設定画面」になる(図表7)。画面左上の数値は、第1針目の中押え高さを示しています。
(4) b「中押え選択ボタン」を押す。画面が「中押え高さ増減数値選択画面」になる(図表8)。
(5) ミシンをc、d「送りキー」で段部「A」の1~2針手前の針落ちまで進ませる。
(6) e「中押え設定ボタン」を押す。画面が「中押え高さ増減数値入力画面」になる(図表9)。
(7) f「テンキー」で欲しい中押え高さの数値を入力する。左上に中押え高さの数値が表示されます。
(8) g「エンターボタン」を押す。画面は「中押え高さ増減数値選択画面」(図表8)に自動的に戻る。
注意)中押え高さを変更すると、変更した針落ち以降の全ての中押え高さが自動的に変更されます。
(9) 送り前進キーで段部「B」の1~2針手前の針落ちまでミシンを進ませる。
(10) (6)~(8) と同様。
(11) 全ての変更が終了したら、右下のh「原点移動ボタン」(図表8)を押します。針は縫い始めS点に戻り、押えは自動で上がります。

そして、画面は「縫製画面」(図表6)に戻ります。


操作の勘どころ

 中押えの高さを段部手前1~2針で変更しますが、これは見越し分です。電気的なONに対して、機械的な中押えの下位置変更動作が完了するまでに若干の時間差があるためです。
 この見越し分の針数が多すぎたり、少なすぎたりすると、変更動作に近い厚い部分は傷がつきやすくなり、薄い部分は目飛びしやすくなります。その時は針数を増減させて下さい。


「中押え下位置調整機能」の留意点

 標準出荷では、中押え下位置高さの調整範囲は0~3.5㎜です。
 それ以上の高さが必要な時は、メモリースイッチ「U112:中押え下位置設定」の数値を3.5より大きくして下さい。最大7.0まで入力できます。7.0を入力すると中押え下位置を0~7.0㎜まで調整することができます。ただし、この調整範囲での標準針(DPx5)の使用は、中押えと針棒が接触する可能性があるので、針をDPx17に変える必要性があります。

注意)何らかの理由でオリジナルの縫製データに不具合等が生じても、元に戻す事が出来ません。必ずコピーをしてオリジナル縫製データを別に保存した上で、お試し下さい。


(縫製研究所 金子恵介)
図表5 段差のある素材の縫製
図表5
図表6 操作パネルの縫製画面
図表6
図表7 中押え高さ基準設定画面
図表7
図表8 中押え高さ増減数値選択画面
図表8
h:原点移動ボタン
図表9 中押え高さ増減数値入力画面
図表9

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