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スーツの挑戦
スーツの挑戦を素材開発で支える
近年、スーツの世界で素材開発が活発である。形態安定、清涼スーツ…などなど、日本における素材の機能開発は世界的にもユニークなもので、この特徴はうまく生かせば日本アパレル活性化の鍵になる可能性もある。
「ウールならトーア紡」といわれる東亜紡織株式会社さんに素材開発の将来について伺った。
スーツに不可欠の自然素材
“ウール”


 スーツ素材として使われるウールは、羊から供給される天然素材である。
 近年、素材的には化学繊維に押され気味とはいえ、燃えにくく、保温性や吸湿性に優れるなど天然素材として備えているすばらしい機能で、今後も紳士用スーツの素材としてなくてはならない存在である。
 こうしたウールの特徴をさらに生かして、日本ではさまざまな機能を付加した素材開発が行われている。ウールの特徴にいろいろな機能を付加した素材を作ろうというものだが、こうした研究は、世界的に日本がリードしている。
 「ナノ・ペル」と呼ばれる高度撥水撥油加工の素材は、防シワ、ストレッチ、防菌防臭、花粉防止、などの機能をもったもの。この開発も日本で行われたが、これはアメリカの企業からの要望で、この機能をウールで生かしたらどうか…と依頼があったものだ。


求めるものは生産性か、風合いか?
素材~企画・縫製~小売の開発連携を


 ウール素材の紡織技術については、ヨーロッパからの輸入であり、その意味でまだヨーロッパの紡織工場に技術的なプライオリティがあるといわれる。
 いったいその差はどこにあるのだろうか?
 羊の飼育からの長い歴史をもつヨーロッパの素材開発とものづくりの経験と、日本の経験を同列に論じるわけにはいかないが、基本的な取り組み方の姿勢も少し異なるようだ。
 よく言われるのは、日本の企業は高い生産性を求めて技術開発を続けてきたが、ヨーロッパ、特にイタリア系の企業は風合いを求めて開発が行われているというものだ。
 とはいえ、日本の紡織会社のもつ旺盛な開発力を考えると、この差を縮めることはそれほど難しいことではないと思われる。
 ウール素材で開発の最大のテーマは「防シワ」である。一足飛びにこうした機能を備えたウール素材を開発することは難しいとしても、防湿・清涼、ストレッチ…などの各種機能を開発した経験は大きな役割を果たすはずだ。
 この他にも、さまざまな素材開発のテーマが考えられるが、課題は素材・企画・縫製・小売企業のものづくりの一貫した連携と共同研究である。積極的な開発テーマの提案と積極的な連携が将来へのキーワードといえる。
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