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世界へ日本ジーンズの挑戦
国内にこだわったものづくりで
世界のジーンズをリードする
"カイハラ・デニム"
日本でのものづくりにこだわり、設備の自社開発などで技術力を発揮するデニムのカイハラ。デニム業界をリードする旺盛な開発力は欧米から評価も高い。世界を目指す日本ジーンズになくてはならない存在でもある。
 
カイハラ株式会社 代表取締役会長
貝原 良治さん
「ものづくりはあくまでも国内で行う。海外進出は考えていません」とカイハラ株式会社 代表取締役会長 貝原良治さん。
「ものづくりはあくまでも国内で行う。海外進出は考えていません」とカイハラ株式会社 代表取締役会長 貝原良治さん。
アパレル工場と連携、
国内への販売率を増大させたい


 広島県福山市にある同社の創業は1893年。絣の生産を手がけて115年。藍染の絣からインディゴデニムへと変身し、今では世界的に知られるデニム紡績・加工のトップメーカーである。
 強みは、昭和45年にロープ染色機や前後の準備機を自社開発・製作した高い技術力。日本で最初の本格的デニム生産をスタートさせ、現在のデニム生産の基礎を築いた。
 資本金1億5100万円、連結売上高年間374億円の企業でありながら毎年15億円規模の設備投資を行い、競争力を強化する。2006年、07年と58億円、85億円と思い切った投資で、生産を拡充した。「社員に我慢してもらって設備投資に資金を回しています」とカイハラ㈱代表取締役会長の貝原良治さん。世界の"カイハラ"を育ててきた先代社長である。開発にかける姿勢は半端ではない。
 国内市場50%強のシェアを占める大手になっても、広島県福山市の本社を中心に地元にこだわって開発・生産を続ける。
桁違いの規模で生産する海外メーカーはたくさんあるが、品質と開発力で欧米のメーカーからも一目おかれる存在である。世界のジーンズメーカーがカイハラの動向に注目する。
 「現在、デニムの販売先は1/3が国内で、1/3が輸出、残りの1/3が中国他での加工貿易用ですね。何とか国内を拡大して1/2にもって行きたいと思っています」
 国内の販売を拡大するためには、国内でのものづくりを活性化する必要があるが、そのために工場の育成は不可欠である。
 日本の縫製技術力は世界一といわれるが、何とかアパレル工場と連携して、加工貿易で中国に流れている縫製加工を国内にとりもどしたいと貝原さんは言う。


積極的な設備投資で競争力を強化
素材を生かした商品作りを目指す


 デニムは木綿を藍染したものである。糸の太さや紡績、染色、加工によってさまざまな生地が作られるが、染色の過程で、糸の芯を染めずに白く残すため、生地になった後の洗いやブラッシングのやり方でさまざまな仕上がりになる。
 普通は、数種類の綿花をミックスして使用するが、1種類の綿花を使った特殊な生地づくりも可能だ。「生地の用途によって、どのような綿花を使用するか、そのノウハウも重要です。最終的なジーンズ製品は、Fabric(繊維)、Fit(シルエット)、Finishing(洗い加工)の3Fで決まりますが、素材によって大きく変わる。その意味では、どんな素材を仕入れられるかがジーンズの質を左右する」と貝原さん。
 素材の綿花は国内にはないために、海外で調達するが、ブラジル、アメリカ、インド、オーストラリア…など、産地によって綿花に特徴があり、一定の質の生地を提供するためには、綿花そのものの質と価格動向を見極めた確保が欠かせない。


商品開発の前提は消費者の志向
欠かせない市場情報の把握


 デニムとひとことで言うが、実はここ数年、スキニー、ブーツカット、ストレッチ、カラージーンズ…とジーンズは多様化している。
こうした用途に合わせた素材の開発が同社に求められるが、消費者の動きが同社に与える影響も大きい。スキニーが増えれば太番手が増え、ルーズワイドがはやれば細番手が増える。使用する糸が7、6番手から9、10番手に変わるだけで、生産量は半分近くになるのである。それによって、工場では、紡績から染色~織布・加工の工程が影響を受ける。消費者の変化…は同社にとって死活問題でもある。
 最終的なジーンズ製品作りはアパレルとの連携から生まれるが、「ただ、素材を開発しました…ではアパレルさんは使ってくれません。素材にあわせたデザインや用途があり、具体的な形に作り上げて提案させて頂かないとだめです」と貝原さん。
 新しい素材開発と企画提案のために、同社は市場調査に力を入れている。専門の調査会社と提携して、主要な店舗で何が売れたか、売り場の構成がどのようになっているかなどデータを分析して消費者の動きを把握する。
 たゆまぬ技術開発と市場調査…同社がトップを走り続けるゆえんでもある。


新しいマーケットを創造し、
海外にアピールしていきたい


 「マーケットは常に動いています。従来のやり方を踏襲していては、将来への道は開けません。新しい提案をどんどんすることで、それまでになかった新しいマーケットを創造することができます。ジーンズは、10代から60代までエージレス、SEXレス、ボーダーレスになっています。もちろん価格や量の競争も必要ですが基本は独自の提案です。新しい素材を開発し、それを生かしたデザインを提案することで、日本のジーンズは世界にアピールできると思います」と貝原さん。
 「海外に日本の質の高いジーンズをアピールするには国内でのジーンズ生産を活性化することが必要で、そのためにはアパレル工場の育成が不可欠です」とおっしゃるが、その意味で、新しく生まれた日本ジーンズ協議会の今後に期待する1人でもある。
同社の高品質デニムの秘訣は、社内で独自の設備を開発する高い技術力に支えられている。絣を着物用から洋服用に替えたのは、昭和31年に同社が開発した90センチ幅の織機である
同社の高品質デニムの秘訣は、社内で独自の設備を開発する高い技術力に支えられている。絣を着物用から洋服用に替えたのは、昭和31年に同社が開発した90センチ幅の織機である
藍染のデニムは糸の芯まで染まらないために生地は洗いの仕方によっても大きく顔を変える。サンドブラスト、洗い回数で素材は変化する
藍染のデニムは糸の芯まで染まらないために生地は洗いの仕方によっても大きく顔を変える。サンドブラスト、洗い回数で素材は変化する
絣からデニムへの進出を決めた同社が開発に着手して3年、昭和45年にロープ染色機の自社開発に成功、翌年には日本で始めてロープ染色デニムを完成させた。貝原歴史資料館に展示されている1号機
絣からデニムへの進出を決めた同社が開発に着手して3年、昭和45年にロープ染色機の自社開発に成功、翌年には日本で始めてロープ染色デニムを完成させた。貝原歴史資料館に展示されている1号機

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