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FBの活性化へ本格化する総合的な人材育成
ファッション・ビジネスの活性化へ
本格化する
総合的な人材育成
――出でよ日本発世界のファッションブランド――
日本発のファッションビジネスを
目指す


 ものづくり人材は豊富にいても、総合的にファッションビジネス(FB)を展開する人材がいない…わが国のアパレル業界を称して、多くの海外専門家が口をそろえたように指摘する。

・ファッションビジネスの市場としては、日本は世界でも有数の大きさを誇り、
・パリコレで活躍する日本人のデザイナーも少なくない


  …など、グローバルな視点で見れば、日本発のファッションビジネスが世界を制してもおかしくない環境にある。
 日本には巨大な市場があり、デザインを生み出す力も、世界経済をリードするビジネスセンスもある…はずで、むしろ、日本発のファッションがビジネスとして育たない理由がない。これこそ、“ジャパン・ミステリーだ”という声も聞かれる。
 国内にいると余り気にすることはないが、海外に出ると日本という国の評価やあり方について考える機会が多くなる。海外に出ると日本に対する評価を耳にする機会も多く、日本の政治や経済、市場動向、流行などについて意見を求められることも多くなる。
 海外でアパレル関連の企業を訪問するたびに、気づかされるのが、わが国アパレル生産業が誇る、

・世界的にもトップを行く優秀なアパレル加工技術
・過剰品質と思われるほど厳しい品質評価基準
・類のない多品種少量の製造技術


……などである。


始まった総合的な高度人材の
育成


 こうした多くの世界的に優位な特徴を持ちながら、日本のアパレル製品が海外市場を席巻した…という話は聞いたことがない。ファッションブランドとしてのイメージを確立していないのである。完璧なモノづくりにこだわる余り、市場へのアピールという重要な要素を軽視しているのではないかと思われる。
 多くのアパレル工場が業務を縮小し、市場規模がシュリンクする中で、インポートが圧倒的にエクスポートを越える環境が長く続いている状況を大きく変える方策が必要になっていることは言をまたない。
 今後の日本のアパレル業界の発展を考えたときに、ファッションビジネスとしてのグローバルな市場展開はきわめて重要なポイントになろう。


ライセンス契約から
海外ブランド買収へ


 これまで、日本のアパレルのグローバル化…といえば、ライセンス契約による国内生産と販売権の獲得であり、これはいわばインポートの1手法であった。ところが、こうしてライセンス・ブランドをPRし、国内で一定の市場を獲得したところで、海外ブランドが自販に乗り出し、とんびに油揚げをさらわれる…という結果になったケースも少なくなかった。
 そこで、ライセンス契約に変わって、海外ブランドを買収するという方法が取られるようになった。レナウンによるアクアスキュータム、三共生興によるDAKSなどの買収、最近ではサンエー・インターナショナルのジル・スチュアート、イオンのタルボット買収などが行われている。ファーストリテイリングによる米バーニーズの買収工作は失敗に終わったが、ライセンス契約から買収への動きは今後も続きそうだ。


独自のブランド展開を
目指して


 しかしながら、こうした手法も、借り物と言う印象はぬぐえない。ファッションビジネスの基本、そして醍醐味、王道は自前のブランドの市場展開であり、グローバル市場への進出である。
 いま、グルメの世界を席巻しているのは、「和」のセンスである。世界中の著名なシェフたちの愛読書が、実は、「和食」を紹介した日本の出版社の月刊誌だということは意外と知られていない。シンプルさを主張した新しいフランス料理のヌーベルクイジーヌが、素材を生かした調理を基本とする「和食」の精神を洋風に取り入れたものであることは、その世界でもよく知られている。
 食に見るまでもなく、日本の「美」や「センス」は、いまや世界のファッションでもある。日本発のファッションビジネスが世界を席巻する可能性は限りなく大きいのである。
 今年になって、政府の知的財産戦略本部も「日本のファッションを世界ブランドとして確立する」ために、大学での経営関連の学部や大学院などで高度人材の育成をめざす施策を推進すると発表した。徐々にではあるがファッションビジネス高度人材の育成策が始動し始めている。
 本号では、こうした新しいファッションビジネスの展開を目指す人材育成の動きから、先端的な試みである、

1. 文化ファッション大学院大学
2. IFI((財)ファッション人材育成機構)の10年目の改革
3. 「アパレル産業コース」を新設した大阪産業大学経営学部


の3つのケースをご紹介しよう。
FBの活性化へ本格化する総合的な人材育成

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