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創業―アパレルを活性化する新しい風
糸に魅せられて、オリジナル・デザインの世界へ
福島にこだわって
地場産業の活性化をめざす
ニット素材の素晴らしさに魅せられて会社を起こした人見さん。自らデザインするニット製品を核に、福島の地場産業の活性化を目指す。準備期間わずか2ヶ月で会社の登記手続きも済ませ、ニットメーカーさんとの連携で、福島にこだわったモノづくりを追求する。
 
リュウ・コンセプション 代表取締役 人見美江さん
「新しい糸を探して組み合わせるといろいろな表現ができる。これまで見たことがないような表情が見えてそれがうれしい」と人見美江さん。
「新しい糸を探して組み合わせるといろいろな表現ができる。これまで見たことがないような表情が見えてそれがうれしい」と人見美江さん。
会社設立もすべて自分の手で
最低資本金制度の特例で起業を決める


 「最初は会社を作るなんて思っていませんでしたが、資本金が少なくても会社を作ることが出来ることを知り、挑戦しようと思いました」と福島県で婦人物のニット製品を作る会社「リュウ・コンセプション」を平成16年に立ち上げた人見美江さんは語る。
 従来、会社を始めるには、資本金として最低、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円が条件とされていた最低資本金制度が、特例として1円でも可とされたのが2004年のこと。人見さんはこれを利用して会社を設立された、この特例の先駆者でもある。事業をするに当たっては、定款作り、登記、印鑑証明……などの手続きや事務所等の確保が必要だから、1円で会社ができるわけではないが、「この制度が事業を立ち上げる後押しをしてくれた」という。
 思い立ってから設立までわずか2ヶ月。このスピードは、それだけニット事業化への思いが熱かったということだろう。
 「仙台の東北経済産業局に行って、特例制度への承認をいただき、またタイミングよく、福島にインキュベート施設があることを知り、入居審査を受けて1部屋をお借りしました」と人見さん。先入観にとらわれず、思い立ったらすなおに前に進む……そんなおおらかさが人見さんの魅力だ。


1本1本を撚る糸の不思議な魅力
福島ニットの地場産業を活性化したい


 インキュベート施設とは、福島県が、県内に拠点を置いて新たに事業を始める人を対象に、ハード・ソフト両面から経営支援等のサービスを提供する創業支援施設として2003年7月に開設したもの。人見さんの事務所もここにある。最初はわずか6m2ほどの部屋から出発し、今では41m2の広いスペースに移っている。
 ここに至るまでの人見さんの経歴もユニークだ。もともと病院の広報室長として仕事をしていた人見さん、地場産業に関心を持っていて、福島がかつて高級ニット産地として栄えていたことを知り、ニットへの関心が一気に高まったという。
 「休みのたびにニット関連を調べたり、糸を見に行ったりしているうちに糸に魅せられ、福島のニットメーカーが高い技術力を持っていることを知り、とうとうニットメーカーに就職してしまいました」(同)。
 1本1本の糸を組み合わせ編んでいくと予想もしなかった新しいイメージが生まれる。そのすばらしさが、人見さんをとりこにする。
 ニットメーカーでは、新しいブランドの立ち上げやユニフォームのデザインを任されたり……と充実した日々を送るが、もう一つ完全燃焼できない。
 「1本の糸から生まれる可能性を大手アパレルとは違った視点で企画し、作り、売ることを、100%自分の手でやってみたいと思うようになりました」とうのが創業の理由だ。


連携するニットメーカーさんとの出会い
福島の自然をモチーフに製品づくり


 中国で出来るような大量生産のニットを作る気は全くない。
 糸の魅力を活かし、これまでにないデザインの製品を作り、福島のニット産業を活性化したいというのが創業の意図だから、「Ryu Conception」ブランドで作るニットは、一味違った高級ニット製品である。
 「ニッターさんにお話を持っていくと『一型で何枚作りますか?』と聞かれるのが普通ですが、『どんな新しいものを作るのか?』と聞いてくださるニッターさんを探すのが大変でした。それでもそうしたニッターさんにも出会えて、なんとか船出することが出来ました」と人見さん。人見さんの意見に賛同するニットメーカーさんも福島にある。
 作った商品は展示会などでも販売するが、人見さんの作品は、同じようなこだわりや意識を持っているパン屋さんと連携して、店の奥にある、芸術家の作品を普段使いしている部屋で展示もしたりする。パンのお客さんが、人見さんの作品をみていっぺんにファンになった……などの話も少なくない。
 福島をモチーフにした作品も人見さんの特長で、花見山、朝焼け、夜空、笹舟……など、「感じた雰囲気をイメージにした」作品も高い評価を得て、「花見山を購入したお客さんが夜空の上下を買ってくれる」……など熱烈なファンもついている。
 会津漆やシルクなど、地場の産品を生かした作品も手がけており、今後は、そうした福島の地場産業から情報を発信できるような作品もたくさん手がけていきたいと抱負も語る。
 福島発の新しいニット製品の提案に期待したい。
福島の自然をイメージした作品は、人見さんのこだわりの作品だが、多くのファンがついている。
福島の自然をイメージした作品は、人見さんのこだわりの作品だが、多くのファンがついている。
福島にこだわって地場のニットメーカーさんとの連携でモノづくりを展開する。「Ryu Conception」のブランドで新しい風を発信する。
福島にこだわって地場のニットメーカーさんとの連携でモノづくりを展開する。「Ryu Conception」のブランドで新しい風を発信する。
従来のニットでは考えられないような色彩とデザインが特徴で、パン屋さんでの展示会など、新しい試みもユニークだ。
従来のニットでは考えられないような色彩とデザインが特徴で、パン屋さんでの展示会など、新しい試みもユニークだ。
入居する福島県のインキュベート施設にある事務所で、糸に囲まれて仕事をする。
入居する福島県のインキュベート施設にある事務所で、糸に囲まれて仕事をする。

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