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アパレル工場の“マイスター”たち
事例4
1シーズン100着のサンプルを作る東京マイスター
パターン・裁断・縫製作業を2時間でクイック生産
 
株式会社アットモアーズ 会長
有賀義満さん
株式会社アットモアーズ会長 有賀義満さん
 「あなたは多年にわたり技能の錬磨に努められました。ここに優秀な技能者として認め、東京マイスターに認定します。今後も後継者育成活動に尽力されるよう期待し、これを賞します。東京都知事石原慎太郎」
 長年のニットファッションの縫製に貢献したとして平成16年度に東京マイスターとして認定されたときの認定証である。
 有賀さんがニット工場を退職して㈱マルアスポーツニットを設立したのは昭和33 年。当時は、39 年の東京オリンピック、47 年の札幌オリンピックを控えて空前のスポーツブームであった。
 こうした中で、サンプル作りを得意としていた有賀さんは、小野喬選手など、オリンピックで金メダルを獲得した体操選手の体操着の制作を依頼されるなど、次第に仕事を拡大していった。「その頃はタートルネックのスキーウエアがはやり、仕事はいくらでもありました」とおっしゃるが、有賀さんが手がけたのはサンプル作りで、生産は地域のニット工場との協力で行う……いまでいう工場を持たないファブレス生産であった。


2時間で現物を参考に
縫い上げる


 「アパレルの人がアメリカで仕入れてきたニット製品を持込んできて、こんなのできないかと相談される。そこで、それをばらしてみて、日本人に合うように修正して型紙を起こし、2時間もすれば同じものが出来上がる。担当者は、これは面白い、と自社に戻って企画を提案する……なんていうこともよくありました」と有賀さん。
 デザイン-パターン-裁断-縫製を2時間でやってしまう。究極のクイック生産である。こうしたスピード感あふれる服作りの中で、「若大将」シリーズでも知られた伝説の「BOAT HOUSE」などのブランドも手がけた。
 「デザインだけでなく、洗っても縮まないように、いい素材を使い、テンションを出来るだけかけずに縫製をしたのでアパレルからの評価もよかった」と専務の黒坂和子さん。有賀さんがサンプルを作り、黒坂さんが生産手配を行う、名コンビである。


ザイラーからヒントを得た
“アントマスキャップ”生みの親


 「当時、“白い恋人”という映画があり、主演のトニー・ザイラーがかぶっていた帽子にヒントを得て、天辺にボンボンが着いた毛糸の帽子を作り意匠登録をしたら、三浦雄一郎さんや皇太子殿下がかぶってくださったりで、人気になって1シーズンに8万個も売れました」。1シーズンにサンプルを100 着も作る名人は、アイデアマンでもあるのである。
 また、毎年、売り上げの一部を有効に使おうと「愛のクレーダル基金」として、知的障害者を招待して食事会を主催している。
 「御世話になった方に恩返しと思っても、多くはもういません。そこで身障者の方をご招待して楽しんでいただいているのです」と有賀さん。多くの人が有賀さんの周りに集まり、いつもにぎやかだが、こうした暖かい気持ちがあるためだろう。

株式会社アットモアーズ会長 有賀義満さん
同社専務取締役 黒坂和子さん
同社専務取締役 黒坂和子さん
東京マイスター
パターン・裁断・縫製作業を2時間でクイック生産
マイスターの道具箱

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