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アパレル工場のモノづくり改革
地域の連携を生かして
工場の可能性を広げ、
フルアイテム対応で
自在なオーダーに応える。
 
バブルがはじけて人員は1/3に、しかし仕事量は1/4と厳しさは増す。そんな中で、同社はフルアイテムを目指して技術力を高める。どのラインでも何でもOK。協力工場も含めて、どんなオーダーにも即応体制が出来ている。
 
株式会社司縫製
代表取締役 - 佐藤金司さん
専務取締役 - 佐藤博さん
社長の佐藤金司さん 専務取締役の佐藤博さん
「バブルがはじけて規模は1/3になりましたが、仕事量は1/4に減少。しかし、最近、地域の高校生が服作りをやりたい……と来るようになった。まだまだやれますね」と社長の佐藤金司さん、専務取締役の佐藤博さん。
全ラインがフルアイテム対応
ラインの分割・合併・協力も自在に


 現在同社の工場は2カ所。山形県酒田市にある本社が110名、秋田県境の遊佐町吹浦にある工場が30名である。本社の110名は、20人のラインが4本で、吹浦工場は30名で1ラインである。
 もともと同社は昭和30年、社長の佐藤金司さんがゴム工場から独立して合羽の生産を始めたのがスタートだ。「その後、昭和40年に、酒田縫製協同組合として4社が合同で事務所を作り、同社は現在の地に新工場を建設し移転してきた。そして、最盛期には7工場で430名の社員がいた」(佐藤金司さん)。
 手がけるアイテムも、工場の成長と共に広がり、合羽から同じ雨用の衣料としてレインコートへ、さらにダスターコート、スキーウエアなどのコート類から重衣料、スポーツ、ブルゾン……と広がってきた。「しかし、バブルの崩壊とともに、縮小を余儀なくされ、最盛期に比べて人員は1/3に、しかしオーダーは1/4に減少するというなかで、さまざまなオーダーが入ってくるようになり、そうしたオーダーに対応しているうちに、紳士・婦人のジャケット、シャツ、そして、カットソー……と領域を広げて、いまやフルアイテムというよりも、何でもやらないと生き残れないという状態です」と専務の佐藤博さん。


中国進出から国内へ回帰
地域ぐるみでフルアイテムを目指す


 そうしたフルオーダーを受けるのが、上記の20名×4ラインというライン編成である。「どんなオーダーがきても何とかなります」(佐藤博さん)というが、この編成・人員で、布帛からカットソーまで、重衣料・外衣からシャツまで、ロットの大小に対応するというのはそう簡単にできることではない。
 実は、これにはある秘密があるのだ。それは、佐藤博専務が進めている、地域との協力で仕事をするという体制作りである。
 バブルがはじけた後、同社は1996年に中国に進出した。しかしうまくいかずに戻ってきたときに、国内でモノづくりを続けるにはどうしたらいいか、真剣に悩んだ末に生き残りの方法として生まれたのが、地域でフルアイテム……の発想だ。「アパレル工場にはそれぞれ得意なアイテムや素材・工程、さらにはこなせるロット数があります。また、ある工場が忙しいときに、別の工場は仕事がない…といったこともあります。オーダーを受けるときに、自社のオーダーだけでなく、そうした工場のオーダーも受けてくれば、地域で協力して仕事をすることができる。また自社ではできないオーダーも、隣の工場ならできる、自社で受けると採算は合わないがそれを得意にする工場ならば採算もあうということもあり、お互いが協力することで、うまくいくケースがたくさんあるのです」と佐藤博専務。
 もちろん自社でフルアイテムのかなりの部分を処理することができる高い技術力が前提であることは論をまたない。


新卒高校生も採用
次々生まれる新しい企画・提案


 取材の当日、地域の高校生が2名、同社への就職を希望して面接にやってきた。面接を行なった社長は、「まじめでなかなかいい生徒で、ぜひ欲しい。新卒の高校生が応募してくるなど、一時は考えられなかったけれど、最近、高校生が服作りをやるようになった。縫製工場もまだまだ大丈夫」と期待も大きい。
 こうしたことも、協同組合事業に協力するなど、長い間この地域で同業者たちと協力しながらまじめに仕事に取り組んできた結果といえよう。ともすると、1工場のキャパシティや能力で環境の変化に立ち向かおうとしがちだが、同じような境遇にある仲間が力を合わせる方法も、選択肢にあることを、多くのアパレル工場は考えるべきだろう。
 「フルアイテムのよしあしはいろいろと議論のあるところです。
社長は出来るだけ専門のアイテムに特化して質の高い仕事をする方向を王道と考えているようです。このフルアイテムは私も過渡期の対応策と思っています。いずれ、環境の変化に合わせて、きちんと自社にあった方向が見えてくると思います。それまでしばらくは、地域との連動をうまくいかして仕事をしていきたいと思います」と佐藤博専務。
 高い技術力があるだけに、方向を見つけるのは遠いことではないと思われる。


2本針作業の仕上がり チェックにワンポイントの模様入り生地……裁断に神経がいる。
2本針作業の仕上がり チェックにワンポイントの模様入り生地……裁断に神経がいる。
昭和40年に移転してきた工場。ここに110人がいるが、秋田県境の遊佐にも30人の工場がある。
昭和40年に移転してきた工場。ここに110人がいるが、秋田県境の遊佐にも30人の工場がある。
「各ラインごとに採算が出されていて、それを目標にやっています」と工場長の伊藤世智夫さん。
「各ラインごとに採算が出されていて、それを目標にやっています」と工場長の伊藤世智夫さん。
ラインは4つ。フルアイテムを手がけるために、ラインごとにアイテムを決めていない、空いているラインを見て順次仕事を入れる。
ラインは4つ。フルアイテムを手がけるために、ラインごとにアイテムを決めていない、空いているラインを見て順次仕事を入れる。
最近、ニットと布帛を組み合わせた商品が増えてきた。
最近、ニットと布帛を組み合わせた商品が増えてきた。
オールアイテム対応を標榜していると、難しい注文もいろいろと相談される。わざわざ2本針でパッカリング風の仕上げを求められることも。最後の作業だ。2本針・3本針腕型二重環縫ミシン MS-1260
オールアイテム対応を標榜していると、難しい注文もいろいろと相談される。わざわざ2本針でパッカリング風の仕上げを求められることも。最後の作業だ。2本針・3本針腕型二重環縫ミシン MS-1260

株式会社司縫製
創業:昭和30年
所在地:山形県酒田市緑町
社長:代表取締役社長 佐藤金司
社員:140名
生産アイテム:紳士婦人ジャケット、シャツ、コート、パンツ、カットソー

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