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アパレル工場のモノづくり改革
スクールパンツは多様化で
多品種少量製品に変身。
個別の別寸には
自在なセルラインで対応。
 
かつて学生服といえば大量生産品の代名詞だったが、男子服が多様化しブレザーになった結果、特注品の多い多品種少量製品へと移行した。研修生を入れずに生産部門の体質改善を目指す同社は、セルラインで効率化を進める。
 
倉敷スクールタイガー縫製株式会社 代表取締役 - 吉井一成さん
「中国人の研修生はゼロmade in Japanを守っています。研修生は人件費だけ見れば安いようですが,トータルコストを考えると決して安くありません」と吉井一成さん
「中国人の研修生はゼロmade in Japanを守っています。研修生は人件費だけ見れば安いようですが,トータルコストを考えると決して安くありません」と吉井一成さん
受注ロットは平均20~30枚
小ロット短納期生産を実現

 かつて学生服といえば大量生産の典型的な商品とされていたが、80年代から学校の制服の個性化が始まり、チェック柄なども増えて、学生服のパンツづくりはいまや柄あわせなどの手間のかかる多品種少量製品の代名詞にもなっている。しかも最近は、生徒たちの体型も多様化して、標準から外れる別寸のオーダーも多いという。
 「当社でお引き受けしているパンツは1枚1枚の管理が必要で、平均ロットで20~30枚、そのほかに、別寸が入りますから、一括して流すということは出来ません」とおっしゃるのは同社社長の吉井一成さん。
 先代が昭和47年に創業した同社を、受け継いで既に23年ほどになる。当時は、学生服が変わり始めた頃で、吉井さんの仕事は、まさに量産から多品種生産への移行をスムーズに行なうことでもあった。
 以来、何とか国内で生産を維持しようと悪戦苦闘、その結果、今では、メーカーからも小ロットで急ぎの難しいものは吉井さんのところで……と頼りにされる工場になった。


裁断から1品番対応のパーツ管理
大ラインに3人のセルラインを併用


 小ロットや別寸に対応するために、吉井さんが導入したのが小ロットやサンプルを専門に手がけるセル生産ライン方式である。
 もともと同社はハンガーシステムを導入していたことから1ラインで全オーダーに対応していたが、これでは別寸には対応しにくいということから、3人のセルラインを新設し、そこでいわば分割丸縫いの形で別寸を生産することにした。
 別寸があるということは、一品対応の管理が必要だ。もともとハンガーラインでも頻繁にロット替えが発生しており、2台の自動裁断機をフルに活用して裁断した後、1品ごとに仕分けを行なう。
 こうした仕組みを発展させて、セルラインの設置と同時に吉井さんは一品対応を確実にするために、さらに緻密な生産管理の仕組みづくりを進める。
 開発されたシステムは2つある。
 1つは、裁断や検査工程で、きちんと仕様書を確認できるように、全ての仕様書をデータ化し、パソコンを目の前において、画面にある仕様書をいつでも確認できるようなシステムを作った。 2つ目は、しかもバーコードを導入してオーダーの一品一品を管理し、それぞれの品番がいまどのような状態にあるかを社内だけでなく社外のメーカーからも、把握出来るようなスケジューリングのシステムを作ったことである。
 この結果、オーダーごとに進捗状況がひと目で分かり、メーカーでもそれを見られるようにしたため、納期に対する問い合わせがなくなったという。
 「毎年3月には、日に何度も納期の問い合わせが来て、仕事が出来ないくらいでしたが、このおかげで納期の問い合わせが全くなくなり、現場も落ち着いて仕事ができるようになりました」と吉井一成さん。


研修生ゼロのmade in Japanを維持
企画開発力と個別対応力が今後の課題


 「これまで、何とか生産性を向上させようと、いろいろと試行錯誤をしてきました。1枚流しをしたり、3人分業方式を導入したり……。
 しかし、ここに来てやっと大きなラインとこの3人でのセルラインの併用がいいと結論が出ました。しかし、この方式を導入するには、ある程度縫えるという前提条件が必要です。現状では全員が出来るわけではありませんが、若いオペレータがやりたいと希望するならば、ぜひ技術を教えてやらせたいと思います」と吉井さん。
 同社は現在、研修生ゼロのmade in Japanを実現している。
 学校とのコミュニケーションがあり、毎年3、4名の新人が採用できる。だから研修生よりも若い新人を育てる方を吉井さんは選んだ。それだけに若い社員には高い技術を身につけてほしいとの願いが強い。
 「とはいえ、今後を考えると、下請加工だけではやっていかれません。自社で企画・開発する力と、より一層、個別対応力をつけることの2つが大きな課題になっています」。
 60名の社員のうち、40名が縫製、裁断が10名、仕上げ他で10名。若手にはセルラインという目の前の手本がある。若手のなかから丸縫いができる技術者が生まれれば、そこから新しい企画も生まれるのではないか。吉井さんはそれを期待しているようだ。


仕上げ工程にはパソコンが設置されていて、画面の仕様書を見ながら確認作業が出来る。 工場に掲示されている品質ボード。グループごとの課題と活動状況が示されている。
仕上げ工程にはパソコンが設置されていて、画面の仕様書を見ながら確認作業が出来る。 工場に掲示されている品質ボード。グループごとの課題と活動状況が示されている。
明るく落ち着いた前景。
明るく落ち着いた前景。
DDL-5570を活用したダーツシーマー。
DDL-5570を活用したダーツシーマー。
本縫ミシンはDDL-9000、他に、高速本縫閂止めミシンLK-1850などが導入されている。
本縫ミシンはDDL-9000、他に、高速本縫閂止めミシンLK-1850などが導入されている。
本縫ミシンはDDL-9000、他に、高速本縫閂止めミシンLK-1850などが導入されている。
組立てはハンガーライン。ロットは20~30だから、ハンガーには常に2、3種類の製品が流れている。ハンガーでは注意書きなども一緒に流されて、ハンガーの特徴をうまく利用されている。
組立てはハンガーライン。ロットは20~30だから、ハンガーには常に2、3種類の製品が流れている。ハンガーでは注意書きなども一緒に流されて、ハンガーの特徴をうまく利用されている。
3人によるセルライン。このラインで、別寸などが作られる。
3人によるセルライン。このラインで、別寸などが作られる。

倉敷スクールタイガー縫製株式会社
創業:昭和34年
所在地:岡山県倉敷市玉島勇崎
社長:代表取締役社長 吉井一成
社員:60名
生産アイテム:スクールパンツ
HP http://www.kurashiki-st.co.jp/

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