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アパレル工場のモノづくり改革
高付加価値製品づくり
+セルラインで最適生産。
緻密な時間管理こそ、
生産性向上の決め手。
 
高付加価値製品作りで知られる同社が採用しているのが、1人セルライン。「時間管理もきちんと出来て生産性は高い」と社長の杉原さん。セルラインと時間管理の方法を伺った
 
セゾンインターナショナル株式会社
代表取締役 - 杉原憲坦さん
技術・管理責任者 - 古田忠夫さん
「高付加価値だけでなく、同時に高生産性も実現しなければやっていけない時代。高付加価値化は得意なのですが、生産性がもう一つだったが、それを改善したのがセル生産方式です」と杉原憲坦社長。 「アパレル工場では単位は1日で、1着の時間管理をしていなかった。やってみると面白い」と技術を熟知している古田忠夫さん。古田さんの加入で、きめの細かい時間管理が出来るようになった。
「高付加価値だけでなく、同時に高生産性も実現しなければやっていけない時代。高付加価値化は得意なのですが、生産性がもう一つだったが、それを改善したのがセル生産方式です」と杉原憲坦社長。 「アパレル工場では単位は1日で、1着の時間管理をしていなかった。やってみると面白い」と技術を熟知している古田忠夫さん。古田さんの加入で、きめの細かい時間管理が出来るようになった。
アパレル工場は管理者が不在
きちんとした時間管理が不可欠


 「これまで、アパレル工場ではきちんとした時間管理が行なわれてきませんでした。せいぜい1日に何枚できるか……というレベルで、一体、一着をつくるためのどのくらいの時間が必要なのかが明確にされていませんでした」とおっしゃるのはセゾンインターナショナルの杉原憲坦社長。
 同社は、本誌220号でもご紹介したように、独自のデザインと設備をうまく活用した生産ラインで高付加価値商品作りを行なう工場だ。その杉原さんが、日本のアパレル工場は管理者がいない……とおっしゃるのだが、その理由はこんなことだ。
 「日本のアパレル工場がこれから生き延びていくためには、高付加価値製品作りだけではなく、もう一つ生産性向上が不可欠だ。ところが、日本のアパレル工場を見てみると、生産性向上が行なわれていない。生産ラインでの時間管理が大雑把で、それがきちんとできなければ本当の生産管理はできないし、スケジュール管理だってできないはずだ。日本の工場は管理者が不在だ。私のところは、高付加価値製品作りは得意だが、生産性向上がもうひとつうまくできなかった。それを解決したのがセル生産ライン」(杉原社長)。で、やってみると、多品種小ロット生産に向いているだけでなく、量産にも通じる生産方式でもあることが分かったとおっしゃるのである。


アパレル工場の管理には、
縫製技術+生産性向上技術が必要


 同社にはいま2つのラインがある。1つは、20名の大きなラインと、1人生産を行なう2つのセルラインである。1人のセルラインは、より手の込んだ、難しい商品が流れるが、加工賃は決まっているために、効率的に作らなければ採算は取れない。
 しかし、「その両方を指導出来る人がこの業界にはいない」と杉原さんは言う
 「縫製工場には、服を作る人はいても、管理できる人がいない。納期に合わせて作れても、1個当たり何分で作れば採算に乗るのかがわからない。縫製技術の指導は出来ても、工場としてのモノづくり、生産性向上を指導できる人がいないのです」。
 高付加価値製品を作るにあたっても、採算性を考えれば管理技術が必要だということで、これは当たり前のこと。杉原さんにとっては、高付加価値製品作りはお手の物だが、生産性向上を目指せばどうしても縫製の技術や知識・経験が必要になる。そこで、杉原さんが仲間に選んだのが、古田忠夫さん。
 婦人服で1級技能士、メンズで指導員の資格を持ち、中国で指導するなど豊富な経験を持つベテラン管理者だ。
 古田さんを選んだ理由は、「一緒に仕事をしたいという人はたくさん来ましたが、生産性をどうやって上げるかと聞けば“がんばります”という人ばかり。古田さんは、時間管理の話しをすると、“面白そうですね”と反応が違った」という。


決め手は緻密な時間管理
加工費の見積もりを目指す


 こうして、杉原さん、古田さんのコンビが始めたのが、緻密な時間管理を基本にしたセル生産ライン。「オーダーを受けたときに、古田さんが縫製工程表をきちんと作り、時間まで入れられるので、加工時間がわかり加工賃も出てくる」と杉原さん。
 同社のこれまでの実績から右下表のような時間が出されている。
 1着の縫製時間を算出し、加工賃で割ると分単価が算出され、

・1着の稼働時間 ÷ 加工費 = 分単価
  工場の総労働時間をかけると、目標売上高が出る。
・分単価 × 総労働時間(分) =目標売上高

 「ここまで時間管理をやったことがなかったのですが、やってみると面白いですね。縫製工程で、時間の世界が重要なことがよくわかりました。サンプル作りで180分かかったものが、2着目では120分、3着目では90分で出来る。そんなことがはっきり出ますから、本当に必要な生産時間はいくらなのかが明確に把握できます」と古田さん。
 「この緻密な時間管理の結果、工場の総稼働時間に分単価をかけると、工場の可能な総売上高が分かる。現在、能力の85%の売り上げを実現していますから、あと15%分の売り上げ増が可能」と杉原さん。
 縫製工場も、秒単位の高い管理レベルでモノづくりが運営されるようになるかも知れない。期待したい。


周囲にミシンやアイロン台が並んだ円形のセルライン。1人生産でアイテムごとにミシンの構成を替え、調整する。新しく購入したのは自在に動けるキャスターつきのカウンターチェアだけ。 周囲にミシンやアイロン台が並んだ円形のセルライン。1人生産でアイテムごとにミシンの構成を替え、調整する。新しく購入したのは自在に動けるキャスターつきのカウンターチェアだけ。
周囲にミシンやアイロン台が並んだ円形のセルライン。1人生産でアイテムごとにミシンの構成を替え、調整する。新しく購入したのは自在に動けるキャスターつきのカウンターチェアだけ。
AMSを利用したラインも健在。複雑なステッチラインが、自在に入れられる。 AMSを利用したラインも健在。複雑なステッチラインが、自在に入れられる。
斬新なデザインの社屋。クルマのデザインも斬新で、ここにも“高付加価値”製品の創出を目指す同社の性格がよく現れている。
斬新なデザインの社屋。クルマのデザインも斬新で、ここにも“高付加価値”製品の創出を目指す同社の性格がよく現れている。
セルラインで作っているのは、布帛に皮革の入ったブルゾン。
セルラインで作っているのは、布帛に皮革の入ったブルゾン。
こうしたセルラインの設定には、作業効率的にも1人生産方式がいいと評価されている。背景には、しっかりした時間管理の裏づけがあるのだ。(写真:時間計算方式)
こうしたセルラインの設定には、作業効率的にも1人生産方式がいいと評価されている。背景には、しっかりした時間管理の裏づけがあるのだ。(写真:時間計算方式)
古田さんが中国滞在中に40年の縫製経験を基に日中語の図書の編集を行った『服装日語実用会話』
古田さんが中国滞在中に40年の縫製経験を基に日中語の図書の編集を行った『服装日語実用会話』

株式会社セゾンインターナショナル
創業:昭和58年4月
所在地:岐阜県岐阜市八代
社長:代表取締役社長杉原憲坦
社員:21名
生産アイテム:シャツ、コート、カットソー

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