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独自の市場を開拓する
サッカー流の自在な
フォーメーションのライン編成で、
“中国に負けないモノづくり”を実現
 
WEBのホームページでオーダースーツを受注する独特のシステムを開発し、同時に代理店を全国展開されている勝田被服さん。“中国に負けないモノづくりの仕組みを完成した”とおっしゃる社長の勝田治光さんの原動力は“危機意識”だ。
 
勝田被服株式会社 代表取締役 - 勝田治光さん
「アパレル工場を始めて50年になりますが、この間の歴史を一言で言えば、“危機感”です」とおっしゃる社長の勝田治光さん。
「アパレル工場を始めて50年になりますが、この間の歴史を一言で言えば、“危機感”です」とおっしゃる社長の勝田治光さん。
危機感をバネに
中国に負けないモノづくりを!

 「アパレル工場を創業して既に50年になりますが、この50年間を振り返れば、危機感の連続でした」とおっしゃるのは勝田被服の代表取締役社長勝田治光さん。
 勤めていた工場を辞めて昭和32年(1957年)にご自身の工場を始めて以来49年、今では「このシステムでしばらくは続けられる」という独自の仕組みを勝田さんは作り上げた。
 それが、M2PLANTという、WEBを利用した独自のパターンオーダーの生産体制である。「私はテーラーから入りましたが、はじめるとテーラーがどんどん下降線をたどり、既製服の量産の持代に移りました。そうなると、価格が勝負ということで、早くから中国に進出しましたが、1989年天安門事件が起こって日本に戻ってきました。以来どうしたら日本で中国に負けない服を作れるか……そればかり考えていました」と勝田さん。
 受注加工で既製服を手がけながらも、独自のオーダーを続けてきたのは、テーラーの技術力を生かすためでもあるが、そのためにさまざまな流通とのトラブルもあった。それらを克服して発展してこられたのは、勝田さんの信念があったからだが、その裏に、品質とコストの両面で顧客のニーズに応える技術力があったことを見逃すことはできない。


ヨーロッパ視察で感じた“大きな差”
“モノづくりで勝って流通で負ける“


 勝田さんの信念とは、ヨーロッパの視察で感じたことだ。ご自身が工場を始めてしばらくたったころ、勝田さんはスーツの先進国であるヨーロッパの視察に出かけた。1ドル360円の時代であ
る。
 「スーツ作りのノウハウを教わろうと思って行ったのですが、イタリアを始めどこの工場を見ても、技術は日本のほうが上と感じた。ただ、工場が服を売っている、これは驚きました」と勝田さん。
 日本のアパレル工場は、技術では勝っていますが、流通で負けている。流通の仕組を作れば、アパレル工場を成功させることができる……それが勝田さんの結論であった。こうして生まれたのが、パイロットショップ「オーダースーツかつだ」であり、M2PLANTである。
 同社の本社は大阪だが、工場は宮崎県の高鍋と国富にあり社員は230名。スーツを中心に、制服の上着なども手がけている。
 スーツは、受注加工を行う既製服と上記の2つの独自ルートで販売するオーダー、パターンオーダー服が50%ずつ。
 M2PLANTは、パターンオーダーをWEBで受ける仕組みだ。


WEBで受注を可能にする仕組み
“サッカー式”の自在なライン編成


 高鍋工場が上衣を作り、国富工場でチョッキ、パンツ、スカートを作る。高鍋工場は独自に開発したハンガーラインが1本。ここに既製服とオーダーのさまざまなデザイン、生地のスーツが混流している。
 「これまでのような、工程別に分割したラインでは、中国には勝てません。野球のように守備位置を決めず、サッカーのように、瞬時に状況を読み取ってフォーメーションを組むやり方でないとダメです」と勝田社長。M2PLANTでは消費者のニーズに合わせて、グレードも多様に設定している。スーツの平均価格帯は30,000円代。この価格でも、厳選した生地と高い縫製技術と工夫で品質の評価は高い。6月10日、高鍋に新しいオーダーの店が開店したが、記念価格が15,750円で、これでも利益がある……というのは驚きだ。
 工夫の一例をあげれば、閂止め作業に、デザインに合わせた縫いパターンの選択がワンタッチで行える高速電子閂止めミシンLK-1900を導入し、生地に合わせた糸替えのために、糸は届く距離に置いたり、さらに、携帯電話用の隠しポケットなど……と多彩。
 WEB上でスーツのオーダーを受けるためには、デザイン、生地……など選択してもらう要素は多いが、それらがきちんと図解で示されているから、全国にある代理店でも受注可能だ。既製服を下回る価格を実現した、独自の“サッカー式ものづくりシステム”。今後の進化も楽しみである。

かつて、ドイツの工場に行って、社員のクルマが並んでいることに驚いたが、今では自社の工場もご覧の通り。社員のクルマであふれる。
かつて、ドイツの工場に行って、社員のクルマが並んでいることに驚いたが、今では自社の工場もご覧の通り。社員のクルマであふれる。
出荷はハンガーにつるされた状態で行う。自然な状態で……というのが基本だ。
出荷はハンガーにつるされた状態で行う。自然な状態で……というのが基本だ。
組立てはハンガーラインで、どのような注文でも柔軟に対応する1ライン編成がミソだ。この柔軟性がオーダーとの混流を可能にしている。
組立てはハンガーラインで、どのような注文でも柔軟に対応する1ライン編成がミソだ。この柔軟性がオーダーとの混流を可能にしている。

勝田被服株式会社
創業:昭和32年1月
所在地:
宮崎県児湯郡高鍋町大字北高鍋
社長:代表取締役社長 勝田治光
社員:230名
生産アイテム:
紳士服既製服、パターンオーダー縫製、婦人服イージーオーダー製造・販売
HP http://www.m2plant.com/
同社のM2PLANTのホームページ。独自のこだわりが随所に見られる。
同社のM2PLANTのホームページ。独自のこだわりが随所に見られる。

6月10日に開店した店鋪のポスター。このポスターも、A4サイズの用紙で印刷して4枚を貼り合わせると出来上がる仕組みになっている。
6月10日に開店した店鋪のポスター。このポスターも、A4サイズの用紙で印刷して4枚を貼り合わせると出来上がる仕組みになっている。
オーダーの流れ。ひと目で分かるようにされているのが特徴だ。 デザインも写真を提示して、詳細な説明が加えられている。
オーダーの流れ。ひと目で分かるようにされているのが特徴だ。 デザインも写真を提示して、詳細な説明が加えられている。

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