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自立を目指すアパレル生産業の試み
新繊維【BSファイン】の開発で
自立を目指す
テスト販売も好調、
課題は販売ネットワーク作り
 
“ ブラックシリカ”を生かした新繊維の開発で自立を目指すのは岡山県津山市の加茂繊維さん。
大手繊維会社とのタイアップで素材の開発に成功し、今後の販売ネットワーク作りに期待がかかる。
 
加茂繊維株式会社 代表取締役 - 角野充俊さん
「商品開発ができたので、これからは本格的な販売体制作りが課題です」と開発に当たってきた社長の角野充俊さん。
「商品開発ができたので、これからは本格的な販売体制作りが課題です」と開発に当たってきた社長の角野充俊さん。
自立化を目指す過程で見つけた
“ブラックシリカ”


 「ブラックシリカ」は、マスコミなどでも報道されているので既にご存知の方も多いかもしれない。この新しい素材を開発し、アパレルに生かそうと商品化に取り組んできたのが、加茂繊維の社長角野充俊さんである。
  同社は、もともとグンゼのインナーを生産する工場で、長ズボン下からはじまってブリーフやニットのトランクスなど、一時は日産10,000枚の生産能力を持つグンゼRP専門工場として、グンゼグループのモノづくりを支える有力企業であった。
  しかしながら、中国製品の大量の流入などの影響を受けて、実用衣料は価格低下の流れが激しく、将来的には自立への道を目指すことが不可欠な状況にあった。
  現在でも同社の扱い高としては70%をグンゼの製品が占めるが、アパレル環境が厳しくなるなかで、同社は早くから模索しながらも自立化に取り組んできた。平成13年には多品種少量生産を可能にするラインの立ち作業化を取り入れ、工場の改革を進める一方で婦人アウターに進出し、独自ブランドを立ち上げるなど、新しい試みを行ってきたが、なかなか売り上げを確保するまでにはいたらなかった。
  こうしたなかで、出会ったのが鉱石「ブラックシリカ」であり、これを取り入れた繊維製品の開発である。


BSファインの開発と商品化

 そもそもブラックシリカを採用したキッカケは、「宝石店を営んでいる遠縁の人間から、こんな石があると紹介されたことからです。北海道桧山管内上の国町で採集されるブラックシリカは、数億年にわたり海底に堆積した珪藻類が隆起したものと言われています。効能として遠赤外線を放射し、マイナスイオンや波動効果が高いと聞いて、これを繊維にしたら、冷え性などに効果のある健康衣料が作れないか……と興味を持った」ときっかけを語る角野さん。
  こうして、ブラックシリカの繊維化に取り組んだが、糸作りなど同社の力では出来ない。そこで、平成15年に美作大学の技術交流プラザに参加して技術開発等のアドバイスを受け、「岡山県夢づくりオンリーワン認定企業」としてブラックシリカ機能繊維の開発をスタートさせた。
  平成16年には中小企業事業団の「平成16年度中小繊維製造事業者自立化事業」の認定を受けて、大手繊維会社との連携で糸の開発に取り組み、BSファインと呼ぶ繊維の開発に成功する。
 「直径3ミクロンのポリエステル繊維の中心に、0.3ミクロンの天然鉱石を封入(下写真参照)しているため、洗濯をしても効果は全く変わりません。微細化することでブラックシリカの表面積が増大し、パワーを効率よく引き出すことに成功しました」と角野さん。


健康衣料の素材として期待
自立化へ、販売網の確立が課題


 シャツやソックスなどサンプルを作り、テストで市場に出してみると、期待通り、ブラックシリカがもつ、温熱効果の評判はなかなか上々で、遠赤外線が身体を芯まで温め、岩盤浴のようにやさしく身体をつつむ……と消費者の反応もよい。
 「テスト販売で、5,000万円の売り上げがありました。何よりも、触れただけで暖かくなるのを実感できますので、それが信頼の元になっていると思います。効果を実感できる商品は少ないですから……」と角野さんも期待が高い。
  今後は、いかに販売網を構築するかが課題だが、これが一番の難関。商品開発を成功に導くかどうかの最後の、そして最大の関門が、この“販売”である。これまで、テスト販売で、地元の岡山県内と、ブラックシリカの採掘権を持つ北海道の自然環境総合研究所が北海道で行ってきた。
 ごく小規模なテスト販売だったが、使った人たちから高い評価をもらい、それなりの売り上げを確保することができたのは朗報だ。


多様な商品を開発
新しい販売用WEBページも立上げ


 商品は、メンズ・レディースの肌着、ソックス、メンズのブリーフ、レディースのショーツやタンクトップ、半袖など。「インナーよりもアウターを主にしたい」と角野さん。
  小売店への直販と同時に、代理店制度の導入も計画中。
 当面の目標は販売網の整備と同時に18年度に3億円の売り上げを達成すること。大手企業の協力もあり、工場の製造キャパは十分ある。何よりも、これまでの生産システムがそのまま生かせることが強みだ。新たに、販売用のWEBページも立ち上げた。
  繊維素材と商品の独自開発……アパレル工場の自立化の試みとしては、大きなテーマだが、成否は今後の販売網にかかっている。
  今後の成果に期待したい。

ブラックシリカをポリエステルに練りこんだ糸。これを織って繊維BSファインを作る。 繊維の電子顕微鏡写真。
ブラックシリカをポリエステルに練りこんだ糸。これを織って繊維BSファインを作る。 繊維の電子顕微鏡写真。
各種の実験テストで、肌を温める効果があるというデータも出されている。 各種の実験テストで、肌を温める効果があるというデータも出されている。
津山市にある工場。ここから全国に情報を発信している。
津山市にある工場。ここから全国に情報を発信している。
清潔な工場。ベテランによる質の高い作業が行われている。
清潔な工場。ベテランによる質の高い作業が行われている。
BSファインを使ったアウター用シャツの縫製。通常の繊維と同様に縫製作業が出来る。
BSファインを使ったアウター用シャツの縫製。通常の繊維と同様に縫製作業が出来る。
本格的な販売に向けて、新たに販売用のサイトを立ち上げた。
本格的な販売に向けて、新たに販売用のサイトを立ち上げた。

加茂繊維株式会社
創業:昭和48年
所在地:岡山県津山市加茂町
社長:代表取締役社長 角野充俊
社員:48名
生産アイテム:肌着・ニット製品の製造販売、健康グッズの企画製造販売
HP http://www.kamoseni.co.jp
E-mail k.kamoseni@nifty.com

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