JUKI Magazine PageNavigation

JUKI Magazine Contents

特集 マスカスタマイゼーション
“あなただけの一着”を
リーズナブルな価格で提供
東レLaI(ラ・イー)―― 体型に合わせてパターンを作成し、2週間で納品
 
中高年世代になると服のデザイン・素材が限定され、既成のパターンでは体型が合わない……
そんな不満を持つ人たち向けに、欲しい服を体型に合わせてオーダーする東レのパイロットショップ“LaI(ラ・イー)”は、リピート客に支えられて好調だ。
 
東レ株式会社ファッション事業企画部主任部員 - 桑原伸二さん
東レ「LaI(ラ・イー)」
自由が丘の駅前通りにある、「La(I ラ・イー)」。落ち着いた雰囲気で高級感を演出している。
“個”のニーズに合わせて
One-to-Oneの商品提案


 東急線自由が丘駅から1分、人通りの多いしゃれた商店街に落ち着いたお店が並ぶ。前面のガラスを通して、店内に置かれた洋服が見えるが、並べられている商品は少ない。小売とは少し違う雰囲気の落ち着いたお店が東レのパイロットショップ「LaI」である。
  東レは、96年に「エクセーヌプラザ青山」内に最初のFFB(ファッションファクトリーブティック)をニット素材で開設し、翌年、自由が丘に布帛素材の「La I」を開設した。
  「当社はもともと関係会社の「ACS」でアパレル用のCADソフトを開発していましたが、そこでのノウハウをベースにマルチメディアを活用した事業を手がけたいと考えていました。当時、「ACS」とともに、お客様がパソコンの画面上で着用イメージが確認できるシステムを開発していました。最新のコンピュータグラフィックス技術を導入し、3次元で立体的にパターンを見せるシステムです。これを利用してお客様にOne to On提案ができるのではないかということで、La I自由が丘店を始めました」と同社ファッション事業企画部主任部員の桑原伸二さん。


ターゲットは家族年収1,500万円以上
高いリピート率


 画面上で着用イメージが確認できるシステムは、仕込み作業の量が想定以上に多く、現在は使われていない。しかし、One-to-oneの提案を利用するお客さんも増えて、自由が丘にも進出した。
  仕組みはこうだ。
  お客さんがお店にこられると、店内にあるデザインを見て選択し、さらに素材を選択する。その後採寸し、工場に送って縫製。2週間後に仕立て上がりをお渡しする。受けるのは、中心価格はそれぞれジャケット69,000円、ドレス69,000円、コート98,000円、スカート34,000円、パンツ42,000円……とオーダーと比べてもきわめてリーズナブルだ。
  ターゲットを世帯の年収が1,500万円以上と考えて背後に田園調布や等々力など高級住宅街を抱える自由が丘に出店したが、ブライダルゲストやフォーマル、学校行事用の服の準備などにも利用されることも多く、意外と若い方にもご利用いただいているという。
  「一度ご利用いただいたお客様は、サイズデータがありますので、採寸の必要もありません。そのためか、リピートでご利用いただくケースが増えて、60%近くになっています」とお店を預かる折原由佳さん。


用意するサンプル5,000点
1/3~2/3を毎年リニューアル


 最大のポイントは、事前にどれだけのデザインや素材を用意できるかだが、「毎シーズン新しいデザインを20~30型ご用意していますので、デザインストックは、500型近くになります。このお店だけでなく、百貨店や専門店のOEMなどもしており、さまざまな情報を取り入れて、常に鮮度のあるデザイン提案を行っています。デザインについては、毎年、残すものと、入れ替えるもの、手を加えて改善するもの……がそれぞれ1/3ずつ。素材についても毎シーズン新しいものをイタリアを中心に買い付けています」と桑原さん。
  何よりもメリットは、イージーオーダーと違って、デザインを選んでからもディテールを変更できること。
  「お年を召した方は、上下でサイズが違いますので、既製服では合いません。その点、この仕組みをご利用いただけば、サイズはぴったり対応しますし、デザインもテーラーエリをへちまエリにしたい、ジャケットの裾を長めにしてほしい……などお客様のご要望に自由にお応えすることが出来ますので、その良さをお分かりいただく方がリピートしてくださいます」(同)。


課題は多様な素材の確保
2010年までに5,6店舗を展開したい


 価格的にはオーダーの半額で “私だけの一着”が出来る。この価格ならば、「メインターゲットは40-50代で60%を占めますが、30代のお客様も少なくありません」(折原さん)というのもうなずける。ちょっとした贅沢の範囲なのである。
  お店として難しいのは、デザインや素材の準備と並んで、縫製加工を担当する工場に技術者が少なくなっていること。
  「パターンが作れて、丸縫いが出来ることが条件になりますが、その技術者が少なくなっているのが厳しいですね」と桑原さん。
  素材は常に400種類を確保しているが、デザインを新しくすることで、同じ素材を生かすような工夫も必要だ。
  そして最大の課題は、PR活動。ボリューム的にもメインの市場ではないので大きく宣伝費をかけられない。バックにあるメインターゲットの住む高級住宅街に焦点を合わせて地域タウン誌等を利用したPRを展開するが、お客様の大半は口コミによる来店である。
  それだけにお店での接客も、販売と言うよりも、ファッションコーディネーター、あるいはカウンセリングという役割が求められる。
  “ブランドより、自分らしさを生かした服が欲しい”と考える消費者も増えている。カスタマイゼーション……一人ひとりの消費者のニーズに合った服を作るという動きは、ボリューム的に決してメインの市場にはならないが、既成のマーケットのニッチを埋める確実な市場になることは間違いなさそうだ。
桑原伸二さん
「2010年を目標に、あと5,6店舗広げたい」東レ株式会社ファッション事業企画部主任部員桑原伸二さん。
折原由佳さん
「リピートのお客様が多いですね」とお店を預かる折原由佳さん。
用意されているデザイン
用意されているデザインから選択する。選択肢の多さが特徴だ。
オーダーの仕組み
オーダーの仕組み。
1)デザイン選択→2)素材選択→3)採寸→4)お仕立て→5)できあがりの流れで2週間で完成する。
(詳しくはLaIのホームページを)

東レ「LaI(ラ・イー)」
創業・開店:平成15年
所在地:東京都目黒区自由が丘2-10-10
商品:婦人服パーソナルオーダー
HP:http://www.toray.co.jp/LaI/

JUKI Magazine PageNavigation