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特集

<特集:アパレル/産学連携の進め方>



地域の大学の技術交流プラザを活用し
介護用品などで独自の商品開発を進める


東洋繊維興業株式会社
 地域の美作大学の技術交流プラザなどに積極的に参画し、独自の商品作りを目指している同社は、既に販売実績50,000本というヒット商品も生み出している。“商品開発で遊んでいる”とおっしゃる同社中島剛社長にお話を伺った。


東洋繊維興業株式会社    社長 中島 剛さん


自立できる商品作りを目指して
“新製品作り”を楽しむ



 「毎年新しい商品を作ろうと思っているのですが、今年も新しい商品を開発し、5月はじめに発表しました。“ありそうでなかった商品”で、ふくふくタオルと名づけた首にかけたり頭にかぶったりできるタオルで、プレミアムとしてご利用いただけるものです」と縫製工場や地元大学との連携に取り組み、世話役も務める東洋繊維興業(株)の社長中島剛さん。
社長 中島 剛さん
  商品開発で遊んでいる……とおっしゃる余裕が楽しい商品開発のコツのようだが、こうして開発した商品から既に5万本を販売した商品もあるなど、実績もあげている。もともと同社は、創業は昭和22年(1947年)。メリヤス肌着やポロシャツやTシャツなどのカットソーの縫製を本業にする会社で、従業員約50名、大手企業の製品の縫製を長年担当している。メリヤス肌着……と聞いたときは、
 「メリヤスは中国に行って日本にはないのでは? なぜ日本で?」という思いが頭を掠めた。ところが、そうではなかった。

 安いものは中国へ……というのが常識だったが、それが進むと逆に安いものは日本で……に変わる。「メリヤス肌着の縫製は逆に安すぎて中国に持っていけない。

 運賃で作れてしまうから」と中島さんに種明かしされて、なるほどと納得した。それだけに国内で作るのはコスト的にも厳しいが、設備の活用と研修生の育成でそれを可能にしているのが中島さんの工場である。



介護用品をターゲットに
縫製工場が協力し商品を開発


工場に貼られている標語、注意など
 中島さんが商品開発にこだわるのは、現状の仕事がやっていけないからではない。

 「厳しいとはいえ、現在の肌着の加工の仕事は安定していて、問題はない。しかしこの仕事をしている限り、自立はできない。縫製工場が自立するためには、自社の商品をもたないと難しいのです」と中島さん。

 平成11年に同社がある岡山県津山市が地場の産業活性化をめざして、食品、繊維、建築備品……の3業種を対象に、「つやま新産業開発推進機構」を設立した。ここで、地場育成の基になる技術開発を進めようというのが目的である。
JUKIミシン

  そして産業、美作大学、地元商工会議所などが集まって美作技術交流プラザを立ち上げ新商品開発に取り組み始めた。

 中島さんはここに、最初の頃から参加されていたが、ちょうど介護保険も施行された時期でもあり、繊維グループは、開発のターゲットを介護衣類に絞って開発を始めた。




片手で巻けるマフラー“ミフラー”
5万本を売る人気商品に




同社は冷え性のホームページも運営している。 こんな中で生まれた商品が、介護用に楽に着たり脱いだりができる、“ミポロ”や“ミフラー”など。

 ミポロは美作(みまさか)ポロシャツの略で、お年寄りが着脱しやすいようにと、近くの養護老人ホームなどでサンプルを使ってもらい、意見を聞いて改善を重ね作った。

 また、ミフラーは片手で巻けるマフラーで、この交流を続けている中で中島社長が考案し美作大学の先生方のアドバイスなどを受けて開発したものだ。

 マフラーはしようと思っても片手ではなかなか難しい。そこで、片手で出来るように、片側に穴をあけ、そこから手を入れて他の端をつかんで引き抜くと、首の周りにキチンとセットできる。お年寄りだけでなく一般にも使いやすいユニバーサルデザインのマフラーである。

 この商品、「敬老の日ゆうパック」商品として採用されたことから火がつき、全国から注文が殺到、直販で発送作業が必要になり、新たにそのための会社も設立するほどの人気商品になった。

 マフラーなので基本的には冬の商品と思われるが、通販会社のギフト商品などで紹介されるので、「敬老の日の9月に合わせるために、7月から準備が必要で、結局、3-6月以外はこの商品にかかわっています」と中島さん。

 商品の開発もさることながら、ゆうパックに提案するなどの柔軟な発想も成功の要因だろう。産学連携……利用の仕方によって可能性は大きそうだ。

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