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アパレル/産学連携の進め方


<特集:アパレル/産学連携の進め方>



“産学連携”で実現する
杉野服飾大学の新しい試み

~カットソー製品の企画から量産までを学生たちが提案~



  アパレル業界では、学生は実務経験がなくて即戦力にならない……といわれる。こうしたイメージを振り払おうと、杉野服飾大学が新しい産学連携をベースにさまざまな試みを展開している。その一つが、熊崎ゼミで授業に取り入れられているアパレルとの連携である。




杉野服飾大学    主任教授 熊崎高道さん


学校として“産学コラボ”を推進
実践に強い学生を育てる



 杉野学園といえばドレメ方式で知られるが、そのイメージが強いだけに逆に女子の実務的な裁縫学校という印象も強くもたれていた。しかし、それが最近大きく変わりつつある。

  同学園が98年ころから積極的に進めてきた改革が効果を見せ始めて、ユニークな単科大学である杉野服飾大学をベースに「産学協同型の実務教育」が本格的に展開されるようになってきたのだ。

  服作りは、教えるとなると難しい。というのは、デザインという「感性」と縫製という「技能」の両方が必要だからで、その上で現実に事業にするとなればビジネスセンスが問われるからである。

「今年はYKKのファスナーも加えて幅広い連携を行う計画です」と熊崎高道教授。 しかしながら、この3つの要素を学校で育成するのはほとんど不可能だということから、大学などにおける教育の方向はなかなか定められず、産業界からも問題が指摘されながら学校側からの改革も進められなかった。

  こうしたなかで、杉野学園は、98年以来、服飾大学を設立するなどの改革に取り組み、一つの方向として、産学連携を活用することで、実践的な教育を行うという形が結果になり始めているのである。




授業の中で商品作りに挑戦
カットソーで多角的なコラボを実現



 では、産学連携を取り入れた教育とはどのようなものか。一例をご紹介しよう。

  杉野服飾大学には6つのコースがあるが、その中のモードクリエーションコースを担当する熊崎高道教授のゼミでは、産学連携でカットソー製品の企画提案から生産までが実際の授業として進められている。
三陽商会とのコラボレーションでは、実際の企画提案からプレゼンテーション、量産を視野に入れたサンプル作り、生産……まで学生たちが参加した。三陽商会とのコラボレーションでは、実際の企画提案からプレゼンテーション、量産を視野に入れたサンプル作り、生産……まで学生たちが参加した。
  2004年度は、5月ころから、同教授の指導で11名の学生により、2005年の春夏物の生産を目指した商品開発が行われた。また2005年度は、12名の学生が参加している。

  「豊島、ユニチカ、レナウンジャーヂから提供されるカットソー素材を生かし、三陽商会とタイアップして、ゼミの生徒が企画デザインを提案、それを東京ニットファッション工業組合会員の中半産業、伊東メリヤスが生産する……という、実際のファッションビジネスストーリーそのままの授業」(熊崎教授)である。

  単なるサンプル作りではなく、実際に三陽商会から発売される……ということを想定して、デザインのプレゼンテーションも行い、縫製工場との交渉も学生たちが行った。

  「この過程で学生たちが学ぶことは、講義で聞くのとは違い、すべて実践的なノウハウ、ビジネスの難しさを勉強する楽しさも知ったはずです」と熊崎教授は言う。




アパレル業界活性化へ、
産業界の産学連携への認識がカギ



三陽商会とのコラボレーションでは、実際の企画提案からプレゼンテーション、量産を視野に入れたサンプル作り、生産……まで学生たちが参加した。
三陽商会とのコラボレーションでは、実際の企画提案からプレゼンテーション、量産を視野に入れたサンプル作り、生産……まで学生たちが参加した。 このほかにも、杉野服飾大学には四国タオル工業組合とのコラボレーションが行われているゼミもある。ゼミの学生が参加してバーチャルカンパニーを立ち上げ、タオルメーカーと共同してタオル生地を使ったさまざまなアパレル作品を企画・制作し、企業担当者へのプレゼンテーションまで行っている。

  また資生堂ザ・ギンザとメーカー数社によるコラボレーションで、学生が企画プレゼンテーションを行い、選ばれたブランドが採用されて実際にザ・ギンザで販売されている。

  日本のアパレル業界は、世界的に高い品質を認められながら、産地中国の活性化で苦境にあるが、長い目で見て、日本のアパレル産業を世界的な産業へと育成できるかどうか、時間をかけた若手の育成が不可欠であろう。その意味で、アパレル業界はで3K職場という呪縛のなかで、若手を育成し機会を与えるということをあまりに怠ってきたのではないか。

  自動車産業の飛躍の要因は世界が認めた高い品質にあるが、品質という点ではアパレル業界も世界トップクラスにあるはずである。

  高い技術と独自の感性を生かして世界に雄飛する可能性がないわけではない。そのためにも、柔軟な感性を持った若手の育成に力を入れたい。その意味で、産業側がこうした若手育成の試みをもっと評価することが必要ではないだろうか。

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