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電子サイクルミシンAMSシリーズ & 縫製データ入力ソフトPM-1

工業用の設備を工業用として使わない。
その工夫が、新しい付加価値を生み出す。
 
セゾン インターナショナル㈱ 代表取締役 杉原 憲坦さん
   

アパレル製造業だが、縫製業ではない
  アパレル製品のモノづくりを本業にしていながら「製造業ではあるが、縫製業ではない」……と言うのはセゾン インターナショナル㈱代表取締役の杉原憲坦さん。
 「アパレル製品を作っていて、100台を超えるミシンをはじめとして、CADなど各種アパレル用の設備を保有しているので、製造業ではあるけれど、縫製業ではありません」という。

 同社が手がけるのは、ジーンズやシャツ、コート、カットソー……などで、スタッフは21名。本社工場のほかに、15分ほどのところにアトリエを持つ。

  同社の業務は、大きく分けると
・委託加工------60%
・OEM生産----40%
の2つがあり、委託加工は、アパレルから受けた図面から工業用パターンを起こし、グレーディング、マーキングまでを同社で行った後、縫製作業は協力工場で行なっている。この部分を担当するのがCAD作業を基盤とした本社工場であり、この面では、同社はファブレス(工場を持たない製造業)である。

セゾン インターナショナル㈱ 代表取締役 杉原憲坦さん セゾン インターナショナル㈱:本社工場内 セゾン インターナショナル㈱:アトリエ
  「中国ではできないことを新しい発想で生み出したい」と代表取締役 杉原憲坦さん。 パターン、グレーディング、マーキングを担当する本社工場。全員がセコリのパターン技術を学んでいる。 新しく改装されたアトリエでは、PM-1を利用したAMSが活躍している。


小売と企画・製造の間のプランナー
 一方、OEM生産は、自社独自の技術をベースに、特殊なデザインや商品、素材の縫製加工などきわめて独創的な加工技術・製品を提案し、流通業から受注を受ける。そうした製品については、製品の核になる特殊な部分の縫製加工を自社で行い、パーツを協力工場に持ち込んで、縫製・組立は協力工場で委託するという仕組みになっているのだ。こちらを担当するのが3、4名の社員で構成する同社のアトリエである。

 同社としては、OEMで行なっている40%の部分が核になる業務で、これがあることで、同社が製品を造る製造業ではなく、言ってみれば“創る製造業”とでも言おうか、アパレル製造業として縫製工場の枠を大きく超える会社になっているのだ。

 その意味で、杉原さんは、流通・小売業と製造業の間にあって、モノづくりを企画する、プランナーであり、同社は企画業務が中心の異色の製造業なのである。


縦横無尽、新しい場を得て活躍する
13台のAMS
 杉原さんは「工業用の設備として開発された設備を、工業用以外の目的で使っている」とも言う。これも、なにやらナゾナゾや判じ物のようだが、実は同社を特徴づけている特殊なデザイン・加工技術のひとつなのである。

 同社が保有する100台を越えるミシンの中には、AMSシリーズ(電子サイクルミシン)や、LBH-1790(高速電子眠り穴かがりミシン)……などさまざまなミシンがある。それらの多くは、協力工場で必要になる際に貸与するための設備で、出番を待って本社から15分ほどのアトリエで待機している。

 そんな中で、同社のアトリエで活用され、なくてはならない設備となっているのがAMSシリーズである。

 AMSシリーズは、基本的には複雑な作業を効率的に行なうことをねらいに開発された設備であるが、同社では効率化を目的にするわけではなく、手作り感覚の自由な縫製を行なうミシンとして活用している……というのが、杉原さんが「工業用の設備を、工業用以外の目的で使っている」という言葉の裏側の意味である。

 手がけるのはジーンズ商品の企画・デザイン・縫製加工で、自由なステッチを縦横に入れるAMSの動きを見ていると、あたかも自身が意図を持って動いているような感覚にとらわれるのは、その動きの自由さゆえだろうか。

セゾン インターナショナル㈱:鷲見美咲さん セゾン インターナショナル㈱:自在なステッチデザイン セゾン インターナショナル㈱:アトリエ2階
  鷲見美咲さん。今年入社した新人だがデザインを担当。独特の感性から生み出されるデザインセンスには光るものがある。 AMSとPM-1を活用した自在なステッチデザイン。奔放な自由さと手作り感覚あふれた楽しさが付加価値を演出している。 アトリエの2階でこれだけのミシンが協力工場での出番を待って待機している。


服作りの面白さを感じて仕事をする
服作りの若手をサポートしたい
 「本来服作りは楽しいことなのですが、現在の縫製工場を見ているとそんな楽しさはないでしょう。これでは若手が服作りを目指せませんね。作りたいと思ってデザインしても、作る場所がないんですから!」と杉原さん。

 かつて香港を相手に毛皮の製品作りをしていた経験からヨーロッパのアパレル産業を見て、「なぜ、日本と違うのかと思ったら、日本のアパレル産業だけが特別だった。洋服作りは製造と小売で成り立っているのが普通なのに、日本は中間にある流通業が中心です。この構造はいずれ変わる……と思いました」(同)。10数年前のことである。

 こうした経験から、杉原さんは“服創り”を目指し、現在のような、製造業であっても縫製業ではない会社を運営してきた。いわば服作りの頭脳産業を目指す。最近では服作りを目指す若手が尋ねてきて、「素晴らしい!」と感動して帰っていくという。

  そうした若手を育てるベンチャーキャピタルのようなこともはじめるそうだ。「若い人たちは“信用がないから何もさせてもらえない”といいますが、信用がない……というのは、わが社の取引条件に合致しますから」と語る杉原さん。枠にとらわれない自在な発想から新しいデザインや仕事が生まれるようだ。
セゾン インターナショナル㈱:本社工場
本社工場。

セゾン インターナショナル㈱:社用車
セゾンインターナショナルの社用車。

セゾン インターナショナル㈱:ステッチデザイン
自在なステッチデザインが可能。


セゾン インターナショナル株式会社
岐阜県岐阜市八代
創業:昭和58年4月、設立:昭和63年
社長:杉原憲坦
従業員数:21名
生産品:ジーンズ、シャツ、コート、カットソーなど




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