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<特集:平湖のアパレル工場>
市場経済の中ではブランドがシェアを分ける
人材重視で若手にチャンスを与えるが評価は厳しく
 
紅豆集団  総裁・董事長 周海江さん
インタビュアー  重機(上海)産品服務有限公司 総経理 濱学洋
紅豆集団 総裁・董事長 周海江さんと重機(上海)産品服務 濱学洋

1980年代、計画経済から市場経済に移行しつつある時代に、いち早くブランドの価値を見出し、“紅豆=相思相愛”のイメージでブランドを育ててきた同社は、アパレルとオートバイという2つの分野で大きな成長をとげた。成長の要因は、ブランドと人材重視……とおっしゃる同社の総裁にお話を伺った。


ますます厳しくなるアパレルの競争
急成長の反面、ひずみも大きい

 雑誌によると、中国の2002年のGDP成長率は9.1%と97年以来の高い伸びでした。一人当たりのGDPも1,090ドルと初めて1,000ドルを超えました。WTO加盟後、外国からの投資も盛んで産業が猛スピードで発展していますが、今の中国の産業の状況をどのように見ていらっしゃいますか?

 中国の経済の発展は非常に早いです。9.1%というのは国全体の平均なので、部分的に見えれば、大きな差があると思います。
現状を見ると、中国経済について2つの面がいえると思います。
ひとつは発展のスピードが非常に早く、全体的に市場が拡大し、消費が伸びていること。2つめは、長い目で見ると急激な発展がたとえばエネルギーや環境問題などでデメリットも生んでいる。特に河東地区のエネルギー不足は深刻です。
そこで今後は、このデメリットをいかに克服し、環境と人、産業、経済を協調的に発展させていくことが重要だと思います。

 御社は新工場には工場内の電力を全部まかなうための発電所をもち、環境面でも汚水処理場、浄化槽などを完備して、対策は十分ですね。他方で、イラク戦争やSARS、生地の高騰、アメリカのセーフガードで輸出が制限されたり、また輸出について増値税の還付率が悪くなるなど、アパレル産業の環境も厳しくなっています。こうしたことにどのように対処されようとしていますか?

 確かに課題はあります。SARSだけでも経営がストップするほどの被害でした。輸出税の戻りも不利な要因です。
 質問されたほかにもアパレル業界は競争が激しくなり、コストも上がっています。江蘇省の南の方は北と比べて土地代も高くなっています。こうした厳しい環境に対して、私たちは、専業化、微細化、制度化の3つで対応しようとしています。

紅豆集団:工場
紅豆集団 総裁・董事長 周海江さん
4.2平方キロメートルの広大な敷地に、近代的な工場が建てられている。敷地内には、オートバイの部品から組み立て、タイヤのゴム工場までがあり、発電施設も設置されている。
  「成功の大きな要因の一つは人材の重視です。800人の株主も、会社の発展に責任を感じて一緒に成長への努力をしてくれています」と周海江総裁。柔らかな物腰が社員の信頼を得ていることをうかがわせる。

会社のさらなる成長へ
ソフト・ハードの両面で対応

 具体的にはどういうことでしょうか?

周 専業化とは、得意分野を作るということです。競争が激しくなっていますから、多角化してもメインとなる製品を育てなければいけません。私たちにとってはそれがアパレルです。専業化というのは製品だけでなく人材についてもいえます。人材の専門家を育てることも非常に重要です。
 2つめは精細化です。近年、労働コストが高くなってきて、ここでは、薄利多売ではなく製品の高付加価値化を進めなければだめです。そのためには新しいもの、高品質製品を作り出す技術が必要です。そのためにも仕事は精細化していきたい。
 3つめが制度化です。会社・工場が大きくなってくると、さまざまな分野で粗さが目立ってきます。緻密な管理が必要になるのですが、会社の規定などで制度化することが必要です。
会社の規模を大きくすることも重要ですが、同時に、全体のソフトな面でレベルを上げていきたいと思っています。

 確かに成長の過程で、そうした管理面での整備が必要になる時期がありますね。御社はそうした時期なのでしょう。

 そうかもしれません。同時に、ハード面の整備も必要で、この面では2つがあります。
ひとつは、株式会社なので株式を上場しているのですが、資金を有効に活用するために増資をしたいと思っています。そのためには株価を上げることが必要です。
 もうひとつはアパレル事業面で、生地・素材作りを手がける、アパレル製品を販売する専門店を作る、海外のパートナーを探し、合弁・合作で自社のレベルも高める……などをしたいと思っています。
 海外工場との合弁や合作は資金を求めているのではありません。あくまでも管理面や技術ノウハウを高めたいと思っているのです。ですから、そうしたものをもっている海外の会社とぜひ手を組みたいと思っています。


「紅豆」ブランドが成功の要因

 御社は創業以来、20年になりますが、これまでを振り返って、成功された要因として、どのようなことがあるでしょうか?

 ブランドをわりと早くから打ち出したことが大きいですね。以前、中国ではあまり広告をする習慣がなかったのですが、私たちはいち早く広告も打ちました。1995年に、江沢民国家主席が中国の11の企業の代表者を招いて会見したときに、私はアパレル業界で唯一の代表として参加しました。
そのとき、江沢民国家主席から、「なぜそんなにブランドを打ち出すのですか?」と聞かれました。当時、中国はまだ計画経済から市場経済に入るところで、私は「計画経済も市場がありますが市場経済も市場があります。そして、計画経済は商品を権力で統制・分配していますが、市場経済はブランドで市場を分けるのです。だからブランドが重要なのです」とお答えしました。そして、ブランドの由来の紅豆についてお話しましたが、江沢民国家主席はその詩を暗唱できる程よくご存知でした。

 なんでも、紅豆には、おめでたい、美しいといったイメージがあるようですね。

 はい、もともと、紅豆には若い人の美しい恋愛とか、年老いた人にとってもめでたい、縁起がいい……という意味を持っています。王維の詩に、紅豆生南国 /秋来発幾枝 /願君多采襭 /此物最相思(紅豆は南国のもの/秋になれば枝にはたくさんの実がなります /どうか実をたくさん摘んで下さい/この豆は相思といいますから/(五言絶句「相思」(王維))というのがあり、相思相愛のシンボルとされているのです。

紅豆集団:工場内縫製場
紅豆集団:工場内縫製場


人材重視が成長を支える

 成功の要因として、忘れてならないのは、人材の重視です。郷鎮企業の時代に、破格の高額の報酬を支払って、上海から人材を導入しました。現在、社内に2,000名を超える大卒者がいて、社員の能力を生かすための競争の環境を作っています。たとえば、85工場があり、赤字になると工場長は変わらなくてはなりません。そして、誰でも工場長に立候補することができるのです。チャンスを与えますが、できなければ代わることになります。

 さらにもうひとつの成功要因として、会社の株式を上場したことがあげられると思います。800人の株主ができましたが、株主は会社の成功に責任を持っていて、やる気があります。それも要因ですね。
 その結果、、社内にも緊張感があり、工場間の関係も、市場原理が働いている。同じ会社でも、安くて品質が良くないと購入しません。株式会社になって、経済的な共同体になっただけでなく、精神的な面でも利益共同体になりつつあります。



目標は3つのNo.1

 現在御社のブランドはいくつあるのでしょうか?

 アパレルは、カジュアルのEDフェイと、アメリカとの合弁のITフィクスの2つで、オートバイは、紅豆と赤兎馬です。

 赤兎馬というのは、「三国志」に出てくる、関羽が乗っていた賢くて早く走る名馬の名前ですね。アパレルの売り上げはどのくらいになりますか?

 アパレルの売り上げは、およそ61億元です。その中で輸出は、4,000万ドル(5億元)しかないので、これをもっと伸ばしたいと思っています。これが今後の課題ですね。

 海外に紅豆のブランドも広めたいとお考えでしょうか?

 はい、ぜひそうしたいと思っています。

 では最後に、今後の抱負を伺いたいと思います。

 3つのNO.1を達成しようと目指しています。
まず最初は、経済の面で、売上を3年間で2倍にすること、2つ目は、紅豆工場群の整備を進めたい。現在、4.2キロ平方メートルの敷地内に工場を整備中ですが、これを完成させたいと思っています。これができると、オートバイなど部品からタイヤ、組立まで全部が、ここでできるようになります。
3つ目は、国内で1位になる。同時に、お話したように海外でも紅豆の名前を売りたいと思っています。

 御社は大変なスピードで発展されています。そのスピードにあわせるのはなかなか大変なのですが、私たちも、新製品の開発や縫製技術などの面で、できる限りご支援をさせていただこうと思っております。本日はありがとうございました。

紅豆集団
紅豆集団
 

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