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次々と行われるアパレル工場の未来に向けた試み
助成制度を活用しよう―中小繊維製造事業者自立事業の活用状況

繊維産業の活性化、自立化に向けて、経済産業省中小企業総合事業団はさまざまな助成制度を導入し、繊維産業の自立に向けて、サポートをしています。平成16年度もさまざまな助成制度が用意されています。アパレル工場の自立に向けて、こうした助成制度を活用されてはいかがでしょうか?
繊維産業を包む厳しい環境の中、経済産業省中小企業総合事業団では、平成15年度から繊維産業の構造改革をサポートするため、新たなビジネスモデルをつくる事業の支援制度を実施しています。これは、川中を中心とした中小繊維製造事業者(=アパレル工場など)が、
・ これまでの下請け賃加工形態から脱却し、
・ 自らマーケティングと商品企画を行い、
・ できるだけ市場に近いところで自ら販売を行う
……などの自立化に向けた前向きな取り組みを行うことに対して助成するもので、単なる加工賃の請負仕事から脱却したいと考えている多くのアパレル工場がこの助成制度を利用して新しい試みに挑戦しています。


1.助成対象となった事業内容

  川中の繊維製品の製造又は加工の事業を主に営む中小事業者(以下「川中の中小繊維製造事業者」という)が主体となって、新たに国際競争力のある費用効果(コストパフォーマンス)の良い商品を一貫して国内において企画、開発、生産し、内外で販売する、今後のビジネスモデルとなる事業が対象である。
対象となる事業は、以下の条件を満たすもの。

(1) 繊維製造時業者
川中の中小繊維製造事業者が大きな位置づけを占めて、企画、開発の全部又は一部を主体的に行うものであること。助成対象となった初年度中に、商品の企画、開発、生産、販売のすべてが行なわれる事業であることは求めないが、補助対象となってから遅くとも2年度目の末までに、商品の企画、開発、生産、販売のすべてが行なわれる事業でなければならない。

(2)生産販売を行う
助成対象事業は、自ら原材料を買い、生産し、商品を販売するものであることつまり賃加工ではないもの。

(3)最終購買者を想定する
助成対象事業は、具体的な最終購買層(例:東京23区内等に居住の30代女性の高所得キャリア)を想定し、そのニーズにマッチしたものであること。

(4)費用効果のあるもの
生産面及び流通・販売面の両面において、既往の事業に比べて、費用効果の相当程度の向上が図られるものであること。
   ①生産面:生産性の向上又は生産工程のロスの低減(工場在庫の削減等)
   ②流通・販売面:流通・販売におけるロスの低減(流通経路の短縮、返品が行われないこと、流通・販売在庫の削減等)

(5)外部の活用
デザイナー、スタイリスト、企画・コンサルタント等を活用し、外部から十分な経営資源の補完が行われているものであること。


2.平成16年度の繊維関連予算

 平成16年度の繊維関係の予算案の総額は、全体で約50%増の約14億円。これらに平成15年度から継続している中小繊維製造事業者自立事業及び提案公募型の地域・中小企業関係技術開発制度の活用額を合わせると、総額で60億円を超える見込みです。

(1)繊維関係基金の本体の活用
 平成15年度は、先行的に前記の総額約30億円の中小繊維製造事業者自立事業を実施している。これに加えて、総額百数十億円にのぼる繊維関係基金本体を活用する予定である。

(2)地場産業等活性化補助金の活用強化
 地場産業等活性化補助金の繊維枠を4.0億円から5.6億円に拡充し、繊維産業の国際競争力強化に寄与する展示会等の事業への支援を強化。併せて、地場産業等活性化補助金全体について、国からの直接補助金化を行う予定。

(3)輸出振興の強化
 平成15年度は、10月のインターテキスタイル上海展で、我が国の繊維産業が一丸となったジャパン・パビリオンを実現。平成16年度は、テキスタイルのみならずアパレルの展示会においても、ジャパン・パビリオンを実現する。また、その他の海外展示も支援。さらに、ニューヨーク、上海等にコーディネーターを配置し、輸出拠点(上海及びニューヨーク)を整備する。

(4)ファッション・クリエーションの発展の支援
 ① 国内のアパレル展示会の開催及び上海でのジャパン・パビリオンを始めとする海外でのアパレル出展、
 ② 新しいクリエーターのデビューとその発掘、
 ③ クリエーションサイドから川中のメーカーと連携し国内外に売り出していく動きを、相互に有機的関連を持たせつつ国際通用力のあるものとして発掘していくよう支援する予定。

(5)技術開発の実施
 平成15年度から先行的に5つの技術開発を開始。平成16年度は、その2年目として支援を拡充。

(6)人材育成の効果的な実施
 川中の製造事業者が自立化、市場への接近化を図るに当たって、デザイン・技術・マーケティング等の全般を修め、素材から売場まで繊維産業の生産・流通の全体に精通し、プロデューサー・コーディネーターの役割を果たし得る人材が、サポートすることが必要。 また、国際水準のスキルを持ったマーチャンダイザー、デザイナー、パターンナーが川中製造事業者やアパレル等で必要とされている。各地の繊維リソースセンターにおいて集中的に育成し、さらに、各地の繊維リソースセンターを活用して、こうした人材と川中の製造事業者のネットワークの形成と、アプローチを支援する。

(7)SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)化・IT化の推進
 比較的安価なシステム投資等により情報共有や企画・開発、生産、販売の一体的なマネージメントを実現するモデル事業の形成支援に重点化。

<CASE>
ネットショップと通販を開始、 商業施設に出店のプラスα
 <REPORT [マザー工場] -- フジ株式会社>のページでもご紹介したように、平成15年度の中小繊維製造事業者自立助成制度を活用し、㈱フジ(本社・東京)は、
・卸ルートの開拓 展示会開催
・小売チャネル開発 カタログ通販、ネット通販、テレビ通販
……などの事業への助成を申請し、3000万円を認可され、
・2003年11月に東京・青山で個展を開催  
・丸井のカタログに広告を掲載し通販を開始  
・楽天ショップにネット販売の店舗を展開
……をしています(写真)。

 また、個展の実績を踏まえて、イオングループから同社の店舗への出店依頼がくるというプラスαもあったようです。この店舗の出店は助成金申請の折には計画していなかった事業であすが、あらたにこの事業への助成金の流用も可能にしてもらうために新たな申請(計画変更願い)の提出を行っている。
 助成制度の母体である経産省からはネット通販の売上げ実績など同社の活動は評価されており、新規の加わった計画外の出店事業も費用の中から一部の追加助成を認めてもらえそう…ということです。
通販のサイト
楽天ショップ内の同社の店舗
通販のサイト
工場で服ができるまでの様子も紹介されている

新たに行う事業とは

本事業を「新たに行う」ことには、次のようなものが含まれます。
(1) 既に川中の中小繊維製造事業者自らが商品を企画、開発、製造、販売しているような場合であっても、本事業に係る最終商品の想定する購買層が既往のものと相当程度異なるため、新たな販路を開拓する必要が生じるものは、「新たに行う」ものと認めます。
  《例》 インナー  → アウター
       トップ   → ボトム
       レディス  → 子供服
       自動車部品 → ゲーム機部品
(2)  既に本事業のために、商品の企画、開発、製造、販売を試行的に開始していても、販売による実際の物流が始まってから1年以内であれば、「新たに行う」ものと認めます。
川中の中小繊維製造事業者

「川中の中小繊維製造事業者」とは、次に掲げる事業(原材料その他の物品を提供して行う製造又は加工の委託を除く)を主たる事業として行う中小企業者をいいます。
<川中の中小繊維製造事業者の主たる事業>
(1)綿糸、麻糸、毛糸、絹糸及び化合繊維糸
  ①羊毛トップ及び化炭羊毛
  ②ペニー
  ③化学繊維短繊維及び化学繊維トップ
  ④反毛の加工
(2)織物、ニット生地、レース生地、不織布及びフェルトの製造又は加工
(3) 縫製品、ニット製品、レース製品、不織布製品、フェルト製品、網地、繊維製のロープ(トワイン及び岩糸を含む)、 ひも、
  モール、ふさ、製綿及び床敷物の製造又は加工

海外拠点便り
海外特派員便り グアテマラ

対米輸出縫製産地の地位を確立するために・・・
 メキシコの南、中米の地峡に位置し、世界文化遺産にも登録されているマヤ文明の大遺跡で知られるグアテマラは、面積は日本の約三分の一、人口約1190万人を有し、スペイン統治時代はグアテマラ総督府が置かれ、中米地域の中心地として栄えた。人種は先住民系が人口の約半数を占め、先住民の女性は現在でもカラフルな民族衣装を身にまとい、今も昔もマヤ系の先住民が主人公である。 気候は一年中真夏で、Tシャツで過ごせる程であるが、首都グアテマラシティーは標高1600メートルに位置し、初夏の軽井沢のようである。
グアテマラの縫製工場
グアテマラ最大のボトム縫製工場
 酸味とコクが豊かで後味の香りが素晴らしいと評判のグアテマラ・コーヒーのほか、砂糖、バナナ等の農産品の輸出が経済の基幹となっているが、国際市場価格に依存する作物のため経済は不安定である。こうした経済の構造を改善するため、政府は繊維加工品の振興を図っており、また、米国もグアテマラの対米繊維製品輸出を促進して、対米輸出が経済のけん引役であったが、2001年9月11日の同時多発テロ以降、輸出が停滞し、グアテマラ経済に暗い影を落としている。
  縫製品の主要生産アイテムは、ジーンズやカジュアルパンツ等のボトムとニット製品である。しかしながら、米国の縫製工場で使用していた中古の設備を利用して生産を行っている工場が多いため、糸切りミシンの使用率も低く、生産性の低さが問題となっている。2004年末の繊維規制解除で、オーダーが人件費の安い中国に流れることを懸念する声が多く、生産性と品質の向上を目指した自動機・省力機・糸切りミシンの導入や生産システムの見直しが始まっている。対米輸出縫製産地として地理的特性を生かせるかどうか、死活をかけた努力が続けられている。
(渡辺 孝)

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