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LZ-2290A ダイレクトドライブ高速電子本縫千鳥縫自動糸切りミシン

設備の新しい活用法を開発することで
オンリーワンの技術を生み出し、独自の領域を開拓する
 
有限会社 田代縫製 代表取締役社長 田代真一さん
専務取締役 田代昊子さん
常務取締役 田代尚也さん
   

家族スタッフでチームワークは抜群
 現専務の田代昊子さんが縫製工場を創業したのは昭和48年。昭和54年には、ご子息の現社長田代真一さんが大学を卒業して帰郷したのを機に、お母さんが手がけられていた工場を会社組織にして、大社町から出雲町の現在地に移転し、有限会社田代縫製がスタートする。

 以来約30年。「いろいろなことがありました」と田代真一さん。一時は中国に進出したが、量産をベースにした中国のものづくりではなかなか技術が向上しないことに疑問を感じて、「やはりものづくりは技術の向上を基盤にしたものでないと……」と、中国から戻り国内に専念する。

 手がけるアイテムはニット(ポロシャツやトレーナーなど)の他に布帛のブルゾン、ジャケットなどさまざまで、技術力があっても中国との価格競争では勝負にならない。持ち味を活かすにはどうしたらいいかが課題だ。

 「では国内で何で勝負するか……と考えたときに、素材に新しいものが開発されるくらいで、デザイン、パターン、型……などの面で、本当にクリエイティブな要素は少ないという気がしました。やはり国内のアパレル工場が中国と勝負していくためには、技術力を生かして中国にはできないクリエイティブなものを生み出していかなければならないのではないかと考えました。そう思って工場を見ると国内は捨てたものではないと思いました」と社長の田代真一さん。

 管理部門の5人は全員家族であり、そうした思いは共通である。チームワークも抜群で、意思決定に対するベクトル合わせはまったく問題ない。

LZ-2290Aを活用した模様ステッチライン   LZ-2290Aを活用した模様ステッチライン   LZ-2290Aを活用した模様ステッチライン
ダイレクトドライブ高速電子本縫千鳥縫自動糸切りミシンLZ-2290A-SR-7を活用した模様ステッチライン。新しいタイプのステッチとして注目を集めている。


商社からセレクトショップへ転換  独自性を生かした商品作りを目指す
 ちょうどそんなころ、アパレル業界でも大きな変化が現れる。同社でも、それまでは大阪の商社経由からの仕事が中心であったが、中国の量産品に移行した商社が国内アパレルから撤退するケースが増えたのである。この影響で、「出雲地区でも、かつてタウンページで5ページほどあったアパレル関連の会社が、今では1ページしかない」という状況になってしまった。

 こうした変化のなかで、同社は生き残りをかけた決断をする。それが前述の技術力を活かしたクリエイティブな仕事を開発する……という路線への確認である。そしてこれを機会に、取引先も東京に切り替え、アイデアと技術力で勝負できるセレクトショップ向けの商品を手がけるようになったのである。

 もちろんそうしたことが簡単にできるほどやさしくはない。毎日の仕事をこなしながらも、メーカーの求める物を探り、それにあわせた新しいアイデアを開発し、サンプルを作り、提案する……ということを繰り返すことが求められるのだから、仕事はそれまで以上に増えることになる。実は、新しい商品・技術を開発するということはそれほど難しくない。難しいのは、その技術でサンプルを作り、適した得意先を探して説得して、実際に商品化にこぎつけることなのである。


設備を活用することで差別化を実現 シームロック、模様ステッチライン
 開発のポリシーは、「最新の設備を利用した新しい活用法の開発」(常務取締役田代尚也さん)である。同社は、セーター以外は、ニットだけでなく、布帛製品も手がけており、「横編みもののボトムも手がけている」(同)ためにさまざまなミシンがあり、こうした設備を有効に活用することで新しいデザイン・技術が生み出したい……というのがねらいである。 そして、こうして生まれたのがシームロック技術であり、また模様ステッチラインと名づけられた一本針本縫千鳥縫ミシンによる直線ステッチに変わる技術である。

 最初に開発したのが、シームロックである。
  「これは改造したオーバーロックミシンで縫うのですが、模様でステッチ縫いができるのでは……と思いつき、生まれたのが模様ステッチラインです。文字が入れられれば、ブランド名もステッチラインにできるので、応用範囲は広い。これは面白いと思いました」と田代尚也さん。
  「刺繍などの技術で飾りを入れるという発想は昔からありましたが、この模様ステッチラインはワンポイント的なものではなく、エンドレスでできる。刺繍では時間がかかりすぎて量産向きではないが、これならば量産も可能なのでこれを生産体制に乗せようと考えたのです」と田代真一さん。

MF-7823   LK-1900A   LBH-1790
さまざまな設備が入れられている。この多様さから新しい縫い技術、デザインのアイデアが生まれる。
  高速シリンダーベッド3本針両面飾り縫ミシンMF-7823
  高速電子閂止めミシンLK-1900A
  高速電子眠り穴かがりミシンLBH-1790


素材開発・ネット環境の活用…… “作る”専業からの脱却は可能
 この模様ステッチラインは、誰でも簡単にできるというわけではない。ちょっとした工夫が必要で、ブランドをイメージさせる模様ステッチラインの開発が最大の課題だ。ブランドイメージをいかに針落ちに変換できるか、入力ソフトPM-1を駆使した工夫が求められるが、これをクリアできたのも、これまでアパレルに非常に近いところで仕事をしていた経験があるからである。いわばミシンとパソコンを組み合わせたIT技術が同社にあったことから、模様ステッチラインの開発は問題なく進んだ。

 このプログラムを作るのが、常務の田代尚也さん。すでにいくつかのアパレルにはサンプルを提示して、受注まで進んでいる。いろいろなフォントを開発することで、デザインとして活用できるために、いろいろな提案が可能になる。

 「私が経営していたころとは環境も変わり厳しくなりましたが、新しい技術でいろいろなことができそうで楽しみです」と専務の田代昊子さん。模様ステッチラインの今後が楽しみだ。
田代真一さん
「中国ではできないことを新しい発想で生み出したい」と社長の田代真一さん。
田代昊子さん
同社のスタートは、専務の田代昊子さんが始めた縫製工場から。

田代尚也さん
新しい設備の使い方も、IT技術の活用から生まれる。「可能にする工夫が大変です」と常務取締役の田代尚也さん。

出雲市の工場
出雲市の工場。

縫製場 ボタン付けやオーバーロックミシンなど、ほとんどがJUKIのミシン。中国とフィリッピンからの研修生の技術の習得も早い。



有限会社 田代縫製
島根県出雲市武志町
創業:昭和54年4月、設立:昭和59年
社長:田代真一
従業員数:37名
生産品:ニットシャツ、ジャケット、パンツなど婦人服
関連工場:(有)ノア、アロースリー




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