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REPORT[マザー工場]
商品企画から販路開拓までそれぞれの専門家の手を借りて推進、
目指すはファッションを発信する縫製工場
 
フジ株式会社   代表取締役 須賀 敦男さん
 加工専業に限界を感じたフジさんは、創業26年目にして商品企画、パターンメイキング、グレーディング、さらには直販まで、着実な事業拡張を進めています。


裁断工程の内製化から始まった自立企業への道

  東京郊外は東村山市で昭和40年に創業、設立からは25年を数えるフジさんは、若い女性向けのきれい系カジュアルファッションを創り出すアパレル生産企業。「創り出す」と書いたのは同社が服作りをするだけでなく、実際にファッションを発信しているからである。

  同社も創業から20年近く、今から5、6年前までは縫製加工を生業としていた。バブル崩壊後もしばらくはヤング向けブランドアパレルの受注加工をしていたこともあり、94年頃には週休2日、6時終業という恵まれた就業環境のなか、10名で1500万円の月商を稼ぎ出していた。

  「現在の加工賃はその頃の半分」と言う社長の須賀敦男さんだが、先代社長、現在の会長である父、聰太さんから会社を引き継いだ98年、縫製加工だけやっていては会社が立ち行かなくなるという危機感を覚えたという。

  まず取り組んだのは一貫生産体制の確立。創業地から車で数分の現社屋に移転、スペースを確保した上で裁断設備を整えた。その後パタンナー折込で新人を採用する。同時に企画、デザインの専門家を招聘して取引アパレルからマスターパターン作成、グレーディング、さらにはサンプル生産の受注を開始。次いで営業経験者を採用と、着々と自社製品発信の準備を続けてきた。

  02年夏、丸井の通販カタログ「Voi」(年間4回発行)に自主企画ブランド「Ideal(アイディール)」を掲載。満を持しての活動開始だ。着実に培ってきたプランドアパレルでの加工実績と暖めてきた企画力が評価されての「Voi」でのビジネスは好調で、見開きページに掲載された際には1型で5000枚を売り上げた。

  自社企画商品は生産を考慮したパターン作りができるため一般の受注加工よりも生産性は3割程度高い。お客との距離も格段に縮まった。縫製加工業の限界を強く感じていた須賀社長がさらなる直販の推進を目指したのは自然のなりゆきである。社内体制の確立にかけた5年間の投資の成果を開花させる時が来た。


須賀聰太会長と須賀敦男社長 パターン作成  
新たな挑戦を続ける須賀社長と生産体制をサポートする先代・須賀聰太会長   流行を取り入れたデザインを提案、生産性の高いパターン作成を行う企画スタップ。「自分達が企画してた商品をお客様が買ってくれることを実感できる通信販売は本当にやりがいを感じます。」  


販路確保は生き残りのための絶対条件

 そんなときに知ったのが経済産業省の「中小繊維製造事業者自立事業」。自らリスクを負ったマーケティング、商品企画、販売により下請賃加工形態からの脱却を図る目的の助成制度だ。同社が作成した100枚近い申請書は、個展開催による卸先開拓、インターネットやテレビによる通販事業への参入に関する具体的な計画で埋められており、まさに同事業の趣旨にかなった内容。[本事業についてはP14-15を参照]

 
助成金を受け、同社の活動はさらに勢いを増す。10月に楽天市場にショップをオープン、シンプルでファッショナブルなサイトでは「縫製工場発!」が謳われ、掲示板に届く顧客からの満足を伝えるメッセージには須賀社長自らコメントを返信する。サイトオープンから4ヵ月、すでに月商は100万円を越える。

  11月には東京・青山で個展を開催、新たな卸先を得たうえに、思いがけないチャンスが到来する。イオングループから店舗出店の打診があったのだ。全国のショッピングセンターがキラーテナント誘致に走り、店舗構成に特徴を打ち出せないなか、若い社長率いる縫製企業発信のファッションはユニークであり差別化できる。商品のセンスと品質は丸井の通販や個展での評価から折り紙つきだ。

  販売チャネル拡大の一方で、生産能力の確保とコスト吸収のため中国に合弁工場を立ち上げた。先代社長の指導のもと、研修制度で来日した中国人研修生が中心となっての縫製加工では、本社工場同等の製品が仕上がってくるという。

  3月6日、イオンのファッション専門ビル、大分フォーラスと姫路フォーラスに「Ideal」ブランドを販売する「nf plant's(エヌエフプランツ)」がオープンした。店売りの成果が出るのはこれからである。今秋からはテレビショッピングへの進出も予定されている。「自社企画の商品を売りたい」というは夢は誰もがもつ。だが、作ったものを確実に売るための販路を自ら確保してゆく同社の姿勢は、アパレル生産企業の新しい方向を示唆しているかもしれない。

縫製場 「ideal」サイト  
JUKIの設備が並ぶ縫製場には若い女性も多い。日本での研修後、中国での生産を支える中国人研修生の姿もみられた。   楽天市場のidealサイト。社長自らWebマスターとして活躍する手作りサイトでは月商100万以上を既に稼ぎ出す。 http://www.rakuten.co.jp/ideal/  

代表取締役 須賀敦男さん
代表取締役 須賀 敦男さん

ブランドタグ
ブランドタグ
ブランドタグ
同社のオリジナルブランド「Ideal」。工場からの発信を強調するブランドタグからは同社の心意気が伺われる。

裁断部門
少量生産、追加生産に対応する裁断部門。中国の工場にも裁断パーツをここから出荷する。

「nf palant's」

「nf palant's」

「nf palant's」

「nf palant's」
大分フォーラス内にオープンした「nf plant's」

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