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<特集:常熟のアパレル工場>
ブランドを選択――大きく変化する中国の消費者、世界一の設備が可能にする、世界一のブランド品生産
 
波司登股フン有限公司  総裁・董事長 高徳康さん
インタビュアー  重機(上海)産品有限公司 総経理 濱学洋
折からのダウンジャケットブームで、世界のダウンを供給し続ける中国最大のダウンウエア生産企業が波司登股フン有限公司。この会社を率いる高徳康総裁は、国会議員に相当する全人大代表でもある。同社の代表的なダウンウエアの2つのブランド、“波司登”と“雪中飛”は国内シェアで長年第1位、2位を占めており、中国国内で同社のシェアは圧倒的である。


品質第一が国家免検を実現 国際競争力を有するブランドに認定

 御社のダウンウエアは大変な人気で、波司登ブランドは8年連続でシェア1位、雪中飛は3年連続で2位……と独走状態です。現状をどのようにお考えですか?

 波司登は95年から連続してトップ、2000年からは雪中飛が第2位にいますが、これは品質を第一に重要なテーマとして手がけてきた結果と思っています。 2002年9月に中国ブランド戦略推進委員会が「国際競争力を有する世界のブランド」として、16のブランドを認定しましたが、“波司登”はそのひとつに選ばれました。江沢民全国家主席、胡錦濤国家主席のお2人からも大変に高い評価をいただきました。アパレル紡織工業では唯一選ばれたブランドでしたが、これも品質第一でやってきた結果と思っています。

 御社の製品は確か、品質が優秀だということで、国家免検製品に指定されていますね。

 これは品質向上を奨励するために始めた制度で、品質の高い商品を生産する企業には国家質量監督検験検疫総局から「産品質量国家免検製品」として指定され、ノー検査で出荷できるという得点があります。当社の波司登、康博、氷潔などの製品が4年連続でこれに指定されています。ノー検査になっても、社内では出荷前に以前と変わらないに厳しい検査が行われていますから、高い品質を保って、消費者の皆様からも高い評価をいただいています。

 御社が作っているダウンウエア製品には、どのようなブランドがあるのでしょうか?

 上から、波司登、雪中飛、康博、氷潔、五金花の5つです。

 これは、ブランドの位置付けから見ると、波司登=高級品、雪中飛=アッパーミドル、康博=ミドル、氷潔、五金花は普及品……ということになりますか? 上位のブランドは都市型のファッション製品、氷潔、五金花などは質実向けブランドという位置づけですね。都市型の上位ブランドが売り上げを大きく伸ばしているということは、消費者にとって、品質もよく、御社の位置づけも非常に高いということでしょうね。

広大な敷地にあるこの本社工場
ショールーム
広大な敷地にあるこの本社工場も手狭になり、拡張する予定だとか。
  工場の一角にはお店を思わせるようなきれいなショールームがある。


シェア50%以上、高品質生産の秘訣は、 デザイン・技術を支える設備

 品質第一で経営してきた結果、高いシェアと売上を実現した……とのことですが、具体的にどのようにして品質を向上させてこられたのでしょうか?

 1976年にこの近くの康博村で農村企業としてスタートしたとき以来、目標は中国のナンバー・ワン企業になるということでした。それは決して、最大の企業という意味ではありません。
 そのために、ISO-9001やISO-14000などの国際的な標準を取得し、英国のURAS製品証なども取得してきました。 服装業界は、デザインとともに品質が重要視され、特に消費者は購入した商品の品質が悪ければ、2度と買ってくれません。いいデザインを活かし、高品質を目指すには技術を高めることが必要なのですが、その際に設備の力は非常に大きな位置を占めると考えています。
  悪い設備を使って高い品質の製品を作ることはできません。ここまで品質が向上したのは、JUKIの設備を導入している結果でもあります。加工する素材は薄物、厚物さまざまですが、設備がそれにきちんと対応してくれる、それが高品質のものづくりに大きく役立っているのです。
  縫製品は毎年、デザイン、素材、品質が向上しないと、消費者に飽きられます。JUKIミシンは毎年新しいミシンが開発されていますが、私たちも最新の設備を導入しています。当社で使用しているミシンは約8,000台ありますが、その半数以上はJUKIさんのミシンです。新しいミシンが新しい製品の品質向上につながるので利用させていただいているのですが、その結果、消費者の信頼を得ることができるのです。

 ご利用いただいてありがとうございます。そうおっしゃっていただくと設備メーカーとしても、いい商品を開発しなければという気になってきます。

 政府の幹部や各地方で縫製工場を経営されている方が工場見学にたくさんいらっしゃいますが、JUKIの設備を見ていただいて、私たちは高品質の製品を作っていることに誇りを持っています。



中国NO.1から世界のブランドへ 国内と輸出で繁閑差を調節する

 このところ御社は輸出にも力を入れていますね。ダウンウエアの分野では、すでに中国の波司登というよりも、世界に輸出する企業に成長されているのではないでしょうか?

 私としては、中国のブランドにとどまらず世界ナンバーワンのブランドを目指しています。世界で一番いいブランドの製品を作るには世界一のミシンでなければならないと思っています。設備の選定は、私が見て決めますが、必然的にJUKI製品になります。

 そういえば、高総裁はもともと縫製、デザインをされていたのでしたね。設備もよくお分かりなのですね。

 今ではやりませんが、設備はわかります。中国の消費者の意識も最近大きく変わってきて、品質がよくなければ買っていただけませんし、またブランドを選ぶようになっています。
 国内で100数社がダウンウエアを販売し、それぞれブランドがありますが、消費者は有名ブランドを購入したがります。工場の前にショップを展開し、そこで当社の製品を販売していますが、そのお店でも毎日55万元~60万元の売上があります。これは波司登、雪中飛などのブランドの効果ではないかと思っています。

 アメリカにも輸出されていますが、ブランドは何ですか?

 アメリカはボストンのブランド名で輸出しています。

 自社ブランドで輸出されている以外にも、OEMで作っていらっしゃいますね。

 はい、NIKEやJCペニー、リズ・クライボーン、P.カルダンなどの製品を生産しています。

 それだけブランドがあると、デザイナーもかなりの数がいらっしゃるのでしょうね。

 50~60名のデザイナーがいますが、今後、ブランドの価値がいっそう高まってくるでしょうから、デザイナーの存在はますます重要になってくるのではないでしょうか。
 それと輸出が重要なのは、ダウンウエアという季節性のある商品に対して、国内市場と輸出市場で繁閑の差を調整できるというメリットがあるからです。上半期は輸出向けのOEMの商品を手がけ、下半期は国内向けを手がけるという、組み合わせが効果的なのです。


ミシン8台、社員はわずか11名、 受注に90kmの道を自転車で通う

 御社は、売上高38億元、従業員10,000名、年間生産数2,000万枚という大きな会社ですが、最初のスタートは、どんな状況だったのでしょうか?

 1976年に父が康博村で創業した、社員11人、ミシンがわずかに8台という小さな企業がスタートです。カジュアル、スラックスなどの委託加工を行っていましたが、私は、デザインや縫製もやりましたが、外回りを担当していましたから、受注と納品に上海にある得意先まで約90kmの道のりを自転車で通いました。
  受注した仕事が終わると、それを自転車に積んで上海まで運び、新しい仕事をもらってその型・デザインと素材を受け取って自転車に積んで戻ってくる、それが終わるとまた納品して……ということを繰り返しました。反物ですから荷物は120kg~150kgもあり、それは大変でした。
 やがて、自転車がオートバイになり、小型自動車、トラック……というように変わってきましたが、当時は自動車をほしいと本当に思いました。現在のようにこんなにたくさん自動車を持てるようになるとは考えもしませんでしたので。

 カジュアルからダウンウエア専門になったのはいつころからでしょうか?

 95年ころですね。92年に鄧小平首相が開放政策を言いはじめ、93年に中国の上海など南を視察しました。それで一気にこちらの産業が発展しました。
  ダウンウエアは最初は委託加工でお願いしていたのですが、これから市場があると考え、95年ころから本格的に生産を始めました。常熟には紡織、軽工業、服装という3つの産業と、服装卸売市場がありましたので、自社で加工してもやっていけると思いました。

中国全人大代表でもある高総裁
会社創業の地・康博村
中国全人大代表でもある総裁のお話は力強く説得力がある。
  会社創業の地・康博村で住宅を建設し、低価格で住民に提供している。


人を大切に育てることが発展の基礎 創業時の11人の社員は現在は幹部

 御社の創業の康博村というのはどのあたりなのでしょうか?

 この工場(常熟)のすぐ近くです。昔は畑しかないところでしたが、今ではずいぶん開発されました。会社の出身地ということもあり、村の発展に寄与したいということで最近は、住宅開発を行っています。

 だそうですね。村で宅地を開発し、住宅を建設して、それを低価格で販売しているとかうかがいました。なんでも、20数万元の資産価値がある住宅を10万元ほどで販売されているそうですね。植林にも積極的でこれもボランティアで資金を提供されているそうですね。

 はい、住宅は村の人たちと一緒に、会社の社員たちにも住んでもらっています。私も実はそこにひとつ家を持っているのです。

 社員を大事にされているようですが、それも発展の基盤になっているのでしょうね。

 創業時の11人の社員のほとんどが、いまでも会社の幹部として活躍してくれています。企業は人を大事に育てないとだめです。

 今では常熟にはカジュアル製品を作る工場が300社ほどあるといいます。なぜこれほどの工場が集まってきたのでしょうか?

 縫製工場の集中は康博が発祥です。最初は少なかったのですが少しずつ増えたカジュアル産地が形成されてきたのです。ダウンジャケットの加工を手がける協力工場もたくさんありますし、紡織、軽工業、卸売市場がある……といったことも集まる理由のひとつではないでしょうか?

 御社の製品はロシア、アメリカなどいくつかの国際博覧会でも金賞を獲得してその品質は高く評価されています。今後の輸出も楽しみですね。ありがとうございました。

202本のラインで年産2,000万着
品質・生産性向上を支える各種の自動機


波司登は中国最大のダウンウエア生産企業で、最新の設備と優れた技術で中国を代表する企業に成長している。常熟市内にある工場では、202本のラインで年間2,000万着の商品が生産されている。1ラインは35-50名のオペレ-ターから編成されており、24台のダウン自動計量注入機とともに、約7,000台の各種のミシンが導入されている。

 国家免検製品として認可されているだけに、最後の仕上げ検査は丁寧に行われており、出荷前には全点検針機を通すほか、ダブルチェック体制が敷かれている。

 ラインで使用されているミシンはJUKIの本縫自動糸切りミシンDDL-8700を中心に、高速電子閂止めミシンLK-1900、高速電子眠り穴かがりミシンLBH-1790……なども導入され、同社の高品質ものづくりを支えている。

広々とした縫製場
広々とした明るい工場で作られるボストンのダウンジャケットは、確かな品質で世界中に輸出されている。

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