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LBH-1790 高速電子眠り穴かがりミシン
オールマイティな自動機は一品生産に最適
シャツ作りの専門集団――素材、サイズの変化を自在に加工
 
CHOYAタケナカ株式会社 取締役社長 加茂 彰さん
取締役生産部長 大岡 勝さん
生産部生産第一課課長 酒井光雄さん
   

卓越した技能を持つ専門家集団が、こだわりの1品生産を可能にする。
オーダーシャツは、1品生産の仕事である。となるとベテランの職人さんによる丸縫いの仕事と思いがちだが、ここでは、工程ごとに卓越した技能を持つプロの職人さんによる流れラインの仕事として行われている。
 
 ライン化を実現するためには、職人さんの技能を前提として、パーツごとにジャスト・イン・タイムを可能にする、周到に組みあげられた工程管理システムが必要である。実は、これこそ、いま盛んに喧伝されている受注生産の基本“1個流し”の原理であり、それがここではかなり以前から行われているのだ。

  オーダーシャツを作り続けてきたCHOYAタケナカ㈱さんの創立は平成5年11月1日。創業以来ちょうど10年になるが、前身のタケナカ㈱時代の実績を加味すれば、創業は1923年と80年の伝統を有する。皇室を始めとして、各界の著名人のシャツを作り続けてきたオーダーシャツの名門である。

  現在、同社のシャツは北海道から九州まで、全国の百貨店を中心に販売されており、オーダーシャツのシェアでは国内の50%を超える。全国の百貨店、専門店から入ったオーダーは、東は千葉県南柏の工場、西は大阪・枚方、九州・高山のCHOYA工場に送られ生産される。3工場で生産する枚数は年間50万枚にもおよぶ。生産は、同社の南柏と枚方工場で約40%、丸縫い、部分縫いを委託している協力工場で60%を生産している。  

  一口にシャツといっても、いわゆるYシャツから、モーニングやタキシード用の前立にフリルの着いたもの、さらに両国の専門店からは、ウエスト175センチなどというオーダーも入る。多様である。それらをいかに効率的に作るか、そこが同社のノウハウである。
工場内01
オーダー工場といっても普通の工場と変わらない。パーツ班と組立班の2班編成に、データ入力班があるのが特徴といえよう。
  LBH-1790
高速電子眠り穴かがリミシンLBH-1790。カフスと前立専用に2台が導入されている。すぐ横でLBH-791がボタンダウン用に使われている。
 

納期は2週間。裁断は1枚ずつ。
 同社は、アローやエルメスなど著名なブランドのほとんどを扱っている。オーダー生産の仕組みは、以下のようになっている。
 
  まず、各ブランドの生地を百貨店に販売。百貨店ではその生地を使ったオーダーシャツを販売し、採寸した後、エリ、カフス、前立……などデザインへの要望を受け、生地、採寸データとともに同社に発送する。小売価格帯は、 10,000 円~ 50,000 円。同社が扱う生地は約 1000 種である。「店頭でお約束するお客様への納期は2週間ですから、搬送の時間を考えると、当社に与えられた時間は1週間です」と取締役社長の加茂彰さん。

  同社の工場は約 100 人、パーツ班と組立ラインの2班編成である。受注したシャツは、 CAD にデータが入力される。その後、生地とデータが CAM レーザー裁断機に送られて、1枚ずつ裁断される。サイズ外のものは手裁断である。裁断後、パーツごとに5枚を一束にして、パーツ工程に送られる。パーツ工程で加工後、この一束の5枚セットのまま、組立工程に送られる。組立工程では、各パーツを上から順番に組みつけていけば、それぞれのシャツが出来上がるという仕組みである。パーツの管理がきちんとされていれば、組み立ても間違いなく行われることになる。このパーツ工程での加工から組立工程へのパーツ供給の仕組みが、一つのノウハウである。

シャツ(左上)衿ステッチは、通常13-16針/3のところを同社では22目で縫う。(左下)カフスは外周差を考慮して内側に湾曲するように作られている。着心地はいうまでもない。(右)折りたたみも表にしわが出ないように、シャツに合わせて工夫している。 ボタン付け
ボタン付けはLK-1903。サイズやデザインが全部違うので、インデキサーは使用できない。一つずづボタンをつけてゆく。


多様な穴かがりをワンタッチで調整、再現性に優れていることが強み
 そんな CHOYA タケナカでシャツ作りの陣頭指揮をとるのがシャツ一筋に 50 年という取締役生産部長の大岡勝さん。今でもサイズ外や特別なシャツは大岡さんが手作りするという。「オーダーシャツは、パーツやネームの刺繍の書体までが違う。どの工程でも間違えたら商品になりません。オーダーのシャツ作りは失敗が許されないのです。お客様の中には、前回と同じに……とご注文される方もいらっしゃって、その意味で、再現性のある自動機は非常に有効です」と大岡さん。
 
  同社の特徴は、手作り感覚のオーダーシャツ作りだが、そんな同社が新しく採用したのが、高速電子眠り穴かがりミシンLBH-1790。同社では、従来から穴かがりミシンLBH-791を導入されていたが、これをボタンダウン専用にして、前立のボタンとカフスボタンの穴かがり用に2台導入された。
 
  「ボタン穴の形状や目数、糸が変わっても調整が不要、色糸交換などもテンションが自動バランスなので切れる回数が少ない。とにかく止まりません。お客さんの中には、前立のボタン穴ごとに糸色を変えて欲しいという注文もあり、これにも対応できる。こんな便利な自動機はありません」と生産第一課長の酒井光雄さん。

  なによりも糸換えや形状の頻度が高い同社の穴かがりには、縫いパターンのワンタッチ切り替え、自動での糸のテンション調整機構をもつLBH-1790はぴったりである。

 オーダーシャツの宿命は、進物で使われることが多いために、繁閑の差が大きいこと。しかし同社は、 CHOYA さんの伝統を踏まえて、技能向上にも力を入れ、閑散期を活用して技能育成に努めている。「技能者は若くても 10 年以上のベテランで、各工程の専門家。どんなシャツが来ても、一級の対応が出来る。納期の遵守と品質がシェアにつながっているのではないかと思います」と社長の加茂さん。同社は、高齢者雇用の優秀事業所であるが、これは技能重視の結果でもある。

 オーダーシャツの市場が縮小しつつある中で、シェアを拡大する同社の“品質・技術重視”経営は、傾聴に値する。

生地在庫
シャツの生地は各メーカーのものを百貨店に販売し、百貨店がその生地を元に販売する。同社にある生地の在庫はかなりの量に上る。
  ロットの管理
生産工程は、裁断、パーツ、組立と流れるが、5枚ロットにして送られる。通し番号と色別による管理が基本である。
 
取締役社長 加茂彰さん 「繁閑の差が40%もある中で、いかに納期を守るか、それが信頼につながっていると思います」と取締役社長の加茂彰さん。

取締役生産部長 大岡勝さん
「戦争直後はオーダーシャツは外人さんばかりで、デザインは一人一人個性的です。大変でしたが、でもそのおかげで技術力がつきました」と取締役生産部長の大岡勝さん。

生産部生産第一課長 酒井光雄さん
「このミシンは保全担当者が触ることはほとんどなくなりました。縫い形状も調整もオールマイティに出来るので、とにかく便利です」。生産部生産第一課長酒井光雄さん。









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