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vol.217特集[中国トップインタビュー]
中国でもブランド時代が到来、
2010年までに20-30ブランドを立ち上げたい
 
杉杉集団有限公司   董事長・総裁 鄭永剛氏
インタビュアー   重機(上海)産品服務有限公司 総経理 濱学洋
杉杉集団有限公司 董事長・総裁 鄭永剛氏
本部を上海の浦東地区に移して国際ファッションセンター構想を立ち上げるなど、ブランド戦略を重点課題に掲げて成長を続ける、杉杉集団の鄭永剛総裁に、これからの中国アパレル業界の方向をうかがった。

課題は西部の開発 投資の需要は大きい

 WTOへの加盟、SARSの被害……などこのところ中国産業界には大きな出来事がありましたが、現在の状況をどのようにお考えになっていらっしゃいますか?

 ここ数年、中国経済の発展が世界経済の発展の焦点となっており、製造業は品質も急速に向上してきました。中国WTOへの加入後は、国際競争に参加し、合弁企業などもたくさん出来ています。
 中国国内でも、消費者の意識も大きく変化し、市場の発達で、中国の製造業は国際的にも競争力を持つようになっています。SARSは、我が国の2003年の上半期、とりわけ第2四半期に、影響を与えましたが、中国経済の全体の勢いには大きな影響を与える事はなく、中国経済は、堅実に経済先進国へと成長してきていると思います。

 中国の経済発展の中で、国内の沿岸部と北西部、あるいは都市部と地方の経済格差が大きいことを懸念する声がありますが、この問題は解決されるのでしょうか?

 中国市場の潜在力は大きいものの東部、中部、西部の発展のバランスは悪く、国内でも大きな課題になっています。そのため、中央政府も西部開発に力を注いでいます。とくに重点施策として、自由経済や改革意識の醸成、さらに道路や電気などのインフラの整備の両面で力を入れており、インフラや産業施設の整備、ビジネスの立ち上げなど、積極的な投資を奨励しています。それによって西部地域などの経済を活性化し、内需の拡大を図ろうとしています。
 西部地区の開発には政府も民間も大変に関心を持って進めていますので、その格差も徐々に埋まっていくと思います。
 中国においては、あらゆる場面で開発の必要性があり、潜在的な可能性をもっていますから、国外の投資家にとっては、ここしばらくの間は、中国では有望な投資先を見つけるチャンスがあるはずです。投資というのは、基本的には需要があって成り立つもので、市場の需要さえあれば、投資のチャンスはあります。中国においては、投資のチャンスは今後も増加する事になるでしょう。

 その面では日本の企業にも積極的に投資をして欲しいということですね。

 ええ、日本の経済は現在の状況を見ていると、数年内での大きな発展はなかなか難しいのではないかと思われます。日本の企業には、どんどん中国に来て積極的に投資をしていただく、大きなチャンスではないかと思います。


今後の課題はブランドの育成 外国ブランドとの協力が不可欠

 お国のアパレル産業は毎年2桁の勢いで急成長を遂げていますが、現在の状況をどのように見ていらっしゃいますか?

 中国のアパレル産業を考えるときに、2つの分野に分けて考える必要があると思います。一つは、洋服を作る、いわゆるモノづくりを行うアパレル生産工場と、ブランドや服を企画デザインするマーケティング分野です。
 アパレル工場の分野については、ここ数年で中国は非常に力をつけ、国際的にも強い競争力を持つようになってきました。今後も技術力をつけて、輸出・国内需要への供給の両面でさらに拡大すると思います。
 いま、私たちにとって重要な課題は、ブランドなどのマーケティングです。
 消費者が個性化を始めていて、近い将来、中国の消費者の、ブランドに対する要求はだんだん高まっていくでしょう。しかし、残念ながらブランドの確立という点では、まだ産業界も消費者も成熟していませんから、十分に独自のブランドを開発することが出来ていません。そのために、当面はデザイン、マーケティングの両面で、知名度をもった外国のブランドと協力してブランド意識を育てていく必要があります。そうすることで、消費者にも、ファッション性や個性化……といった意識を育てることができると思います。
 ブランドには、ファッション性だけでなく、若さ、健康……などさまざまなイメージを持たせることが出来ますので、そうしたものが市場の要求とマッチして育っていくと思います。現状では、中国のブランドに比べて、フランス、イタリアといったヨーロッパや、アメリカ、日本……などのブランドは大きな知名度と影響力をもっています。こうしたものと協力して国内でもブランドを育てていく必要があります。

 消費者が成熟し、個性化していくと、必然的に自分の個性に合ったブランドを求める方向に進みますので、お国でもブランド育成が重要になってきますね。

 今後の3年は、中国ではブランド時代が到来するでしょう。それにしたがって、アパレル業界も大きく刷新され、消費者はますます個性化し、彼らのファッションやブランドに対する要求もますます強まると思われます。中国だけでなく、国内外のアパレル企業としては、ブランドや企業の業務提携・合弁事業などのチャンスは大いに広がっていくと思います。

杉杉集団有限公司 董事長・総裁 鄭永剛氏 時間刻みに移動し、打ち合わせ、会議……と続く超多忙な日課で、携帯電話もひっきりなしに鳴る。

SARSの影響はほとんどない

 そういう合弁や提携を進める際に、SARSのようなことはマイナス材料になりませんか? 産地を移す……というようなお話も出てくるのではないかと思いますが?

 SARSにより、市場は少し影響を受けましたが、長期的に見た場合、影響はそれほどありません。工場はベトナムや、カンボジアへと少し移っていますが、それは主としてコスト削減が必要な低クラスの商品であり、中クラスのものは、これからも中国で生産されていくはずです。

 中国の沿岸部では人件費が上がっていますし、工場も少しずつベトナム、バングラディッシュに移っています。中国の競争力は今後も維持できるとお考えですか?

 中国の競争力は、まだまだ強くなってきていると私は思っています。現在、アパレル工場の労働者給与から見ると、一人当りの一ヶ月の給与は100ドル前後で、先進国の日本、アメリカ、ヨーロッパと比べて、まだ大きな隔たりがあります。この角度から申し上げれば、人件費格差の分だけ成長する余地があるということだと思います。
 現在、中国のアパレル工場が生産しているのは、ミドルからアッパークラスの製品であり、最も低いクラスのものは、バングラディッシュ、ベトナム、カンボジア等の国へと移っていくでしょう。中国のアパレル業界の将来の方向を見ると、ひとつは、独自のブランドを確立する方向と、もう一つは、外国のブランド品のOEM加工を行うという方向で、いずれも技術力が求められるものです。これが、中国企業が将来に目指す方向であり、目標になると思います。

 御社としては今後の戦略としてどのように進めてゆかれるおつもりですか?

 杉杉集団のアパレル部門としては、多ブランド化、国際化を進めていく予定です。
 私たちは、これまでも杉杉ブランドをベースに、消費者のブランドに対する要求に合わせてきており、今後もその延長として必然的にアメリカ、日本、フランス、イタリアなどの国と協力したブランドを中国で確立していくことになるでしょう。それを順次、女性服、男性服、子供用、カジュアルといった各分野へ広げていき、異なる消費者ごとにブランドを確立し、中国市場のシェアを拡大していきたいと思っています。
 こうしたことが可能なのも、我々が販売面で独自に作り上げた非常に強大なネットワークを有しているためであり、それが市場での優位性になり、中国のアパレルのマーケティング面で大きな影響力をもっているということが出来ると思います。


2010年を目指して 20~30のブランドを確立したい

 具体的にはどのようにブランドを確立される予定ですか?

 現在、杉杉では13のブランドを有しています。ここ数年の販売額は急速に成長していますが、特にOEMの他ブランドの成長が大きいのです。私たちは、外国のブランドや企業との合弁や提携で、多く会社を起こし、支店を開設してきましたが、そうしたことが成長に大きく貢献しているということになります。
 たとえば、大東紡織さんや伊藤忠さんと合弁をおこなったりしてきましたが、今後もこうした提携や合弁会社の設立は積極的に進めていく予定です。

 独自の販売ネットワークを作られましたが、どのようなものかお話いただけますか?

 国内の販売体制は、代理店制で、チエーン店を展開しました。基本は1代理店は1ブランド体制ですが、実力のある代理店には複数のブランド品を扱わせています。
 西部地域にも代理店は多く、ブランドの増加にともなって、加盟店のグループもますます大きくなっています。

 お国は広く消費者もさまざまで、画一的にはいかない難しい点もあると思います。

 沿海地区は情報化も進み、香港・東京から近いこともあって、流行がダイレクトに入ってきて消費者も相対的に進んでいますが、西部地区では需要・流行は、3ヶ月程度の時間差が起こります。全体で商品が比較的長続きするという点でも、中国のアパレル業界にとっては行いやすい状況と言えます。

杉杉集団 董事長・総裁の鄭永剛氏と重機(上海)産品服務総経理の濱学洋 インタビュアーの重機(上海)産品服務有限公司総経理の濱学洋と。

進めたい日本の産業界との協力

 杉杉さんはアパレルだけでなく、ハイテク産業にも進出されています。杉杉集団としての将来的な戦略をお聞かせください。

 ハイテク産業でも、原材料や付属品の品質に対して、年々要求は高くなってきており、常に技術をアップさせる必要があります。グループとしては、杉杉集団有限公司は持ち株会社となっています。傘下の各企業は専門化されていて、プロの人材によって運営されており、アパレル部門はグループの主力商品となっています。
 グループにとって、多ブランド化、国際化は重要な戦略的な方向であり、持ち株会社の投資は多様化していますが、そのひとつがリチウムイオン電池の生産です。将来的に大変に期待される電子機器、ハイテク産業にも進出したいと思っており、持ち株会社としてこの分野にも投資していますが、経営には参加していません。
 私たちが投資している分野は、主としてハイテク産業の新材料に関する領域であり、この領域は、将来、中国の産業界のレベルアップに大きく貢献し、産業と共に成長が期待できる領域でもあります。その意味では日本の産業界の協力も欲しいところです。

 杉杉グループは単にアパレル業界のみならず、成長性のある産業に投資していくということですね。

 現在、杉杉は国内でベスト500企業の1つですが、将来、我々の順位はますます上がっていくはずです。同時に私たちもまた、世界にまたがる企業にしたいという目標がありますので、アパレルを核にして、ハイテク分野を発展させ、2つの分野について、先進企業へと成長していきたいと思っています。そのために、私たちは若い専門家達をたくさん採用し、プロフエッショナルな人材によって経営が行われるようにしていくつもりです。

 最後に、日本のアパレル業界にどのようなことを期待されますか?

 日本のアパレル産業は、作りが非常に精巧であり、市場理念もグローバル化しています。私からの提案としては、日本のアパレル業界がもっと中国のアパレルと力をあわせ、合弁や技術提携を進めて、持っている経験やブランドを中国市場に投入し、技術力やブランド力を生かされていく事を希望しています。

杉杉集団有限公司 董事長・総裁 鄭永剛氏
鄭永剛氏
1958年11月生まれ
1976-1979
 中国大連地区海軍部隊分隊長
1985-1989
 浙江省(イン)県綿紡績工場 工場長
1989-1992
 寧波市甬港服装総工場 工場長
1992年- 
 寧波杉杉股イ分有限公司設立 董事長・総経理
1994年- 
 寧波杉杉集団公司 董事長・総裁
重機(上海)産品服務 濱学洋
インタビュアーの重機(上海)産品服務有限公司総経理の濱学洋

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