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モノづくりウォッチ
目標は"新卒の高校生が一生勤められる会社"
"ドルフィンシステム"で新しい管理システムを導入する
 
有限会社 ファッションしらいし
㈲ファッションしらいしの代表取締役白石さんは、独立されるまで、現在、ギルドエイペックスの代表を務める㈱ことぶきの鑓田社長の元で仕事を勉強しました。ギルドエイペックスは高品質婦人服作りを目指すグループとして知られ、会員となっている各社は高級プレタ生産の技術は折り紙付きです。

フルオーダーのウエディングドレス生産を手がけましたが、素材はシルクです。日常的にあまり使う素材ではありませんでしたが、婦人服の素材として、サテンやタフタ、ベルベットなどを手がけてきましたから、「それほど違和感はなかった。難しいとは感じなかった」といいます。技術力をつけていれば、応用でいろいろなことができる……という見本のような感じがします。

15年前の昭和61年(1986年)に現在地に移転してきた当初は4人で始めた同社も、今では25名を擁する工場に成長しています。都内では縫製工場の維持は難しいといわれてきた中で、なぜ同社が成功したのか、その評価はなかなか難しいところですが、少なくとも「入社してきた高校生が一生勤められる工場にしたい」という思いで、社員一人一人ときちんとコミュニケーションを行い、付き合いをしてきた結果ではないかと思われます。

白石正裕さん
代表取締役
白石正裕さん
品質方針   
白石さんは、工場作りのポイントを、「人を育てる環境作り」であるとおっしゃっています。しかも、当初は、社員に給料を払うと、自分たちに残るのはわずかで、社員たちから誘われても一緒に食事にもいけない状態だったとおっしゃっています。こうした状態でも工場を経営する……この初心を忘れずに、バブル経営に陥らなければ、工場は長続きするのではないでしょうか?

こうして考えた場合、工場のポイントとして2つのことが重要になってきます。言い換えれば、一人一人の社員たちが一生勤めることができるためには、会社側と、社員の両方にある程度の責任と自覚が必要であるということです。

「社員の責任と自覚」とは、全社員が技能を高め、精一杯力を発揮して効率的に作業を行えるように努力するということです。自分に力がないと感じる社員は、それだけで自信が持てず、会社にくることも嬉しくなくなります。明るい前向きな気持ちで仕事に向うためには、一人一人が力をつけて、同じような効率で仕事ができることが条件になります。これを実現しようというのが、白石さんが言う「人を育てる環境作り」ではないでしょうか。
  工場外観  
こうした環境を作るのが、「会社の責任と自覚」です。つまり、社員が技能を高めることができるような機会を用意するということです。その一つが、ドルフィンシステムで、工程ごとに作業時間と難易度をポイントにした「ポイント早見表」が基盤です。

これは標準となる作業スピードを明確にしておいて、各作業者が自分の能力のレベルを確認することができます。能力が低い人には、ハードな仕組みと写るかもしれませんが、本誌でも紹介したように、手の遅い人は自覚していた、遅いことに悩んでいることが多いのです。知られることを嫌がりますが、こうしたことをオープンにして、いかに力をつけられるか……という努力の方向に意識を向けることで、仕事に対するイメージを前向きに変えることができるようになるのです。

ポイント早見表の素晴らしい点は、工程が違っても、ポイントで作業の量を比較することができるという点にあります。これまでのインセンティブの評価制度も、全工程を比較することが出来ますが、これは評価できるだけで、その結果を元に、技能を向上させるような仕組みがありません。しかし、このポイント早見表では、どの工程が弱いか……ということが明確に分かりますので、その工程の技能を磨くことで、技能者は力を向上させることが可能になります。

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