JUKI Magazine PageNavigation

特集:不景気の中でも元気な企業 トップインタビュー4

特集:不景気の中でも元気な企業 トップインタビュー4
日本向けOEMに特化して勝ち残り戦略
多品種・小ロット・短納期を徹底

南通大敬制衣有限公司
董事長総経理 程 實
南通大敬制衣有限公司  董事長総経理 程 實
南通大敬制衣有限公司
董事長総経理 程 實

 江蘇省の南通大敬制衣有限公司は1994年に設立された日本向けOEM工場である。従業員約750人、ミシン約1000台で、ジャケット、ブルゾン、コートなどを年間60万点生産している。南通に限らず、沿海部の縫製工場は人件費などコスト上昇と人手不足から将来的な見通しは決して明るくない。足元を見ても、日米欧など先進国市場の消費低迷、ドル安など逆風が吹いている。しかし南通大敬程董事長は「南通で縫製工場10社のうち8社が倒産しても、残りの2社になる」と自信をみせる。その背景には、中国から日本への服装輸出がなくならない限り、多品種・小ロット・短納期のシステムを徹底すれば勝ち残りは可能との読みがあり、そのうえでJUKIの自動機が大きな役割を果たしている。
南通大敬制衣有限公司
南通大敬制衣有限公司

MO-6714S 高速オーバーロックミシン

MO-6714S 高速オーバーロックミシン
MO-6714S 高速オーバーロックミシン

AMB-289 高速電子単糸環縫根巻きボタン付けミシン
AMB-289 高速電子単糸環縫根巻きボタン付けミシン

LK-1900A-SS 高速電子閂止めミシン
LK-1900A-SS 高速電子閂止めミシン

AE-200A エッジコントロールシーマー
AE-200A エッジコントロールシーマー

LK-1900A-SS 高速電子閂止めミシン
LK-1900A-SS 高速電子閂止めミシン
量販店向けからSPA、百貨店・専門店向けに転換

 設立してからの3.年間は、日本商社経由で量販店向け婦人服を受注し、アパレルに納品していた。途中で、南通では比率の低い紳士服に切り替えたが、量販店向けという商品ゾーンは変わらなかった。量販店向け商品は、ある程度ロットがまとまり、納期も長い。生産という点では取り組みやすいが、販売価格が低く、縫製工賃も安い。にもかかわらず品質管理が極めて厳しい。
 転機になったのは1997年。日本の有力SPA(製造小売業Specialty store retailer of Private label Apparel)から、紳士コートを1型60着、8型、計480着を大至急必要。素材はハンドキャリーで運ぶので3日間で生産できるか、との打診があった。通常の発注先である香港の縫製工場は、これではとても対応できないという。「ぜひやりますと受け、3日間徹夜で仕上げた」と程董事長は振り返る。


納期は、空路1週間、船便2週間が基本

 こうした対応ができる縫製工場は中国大陸に珍しいと高い評価をうけ、このSPAから定期的な発注が入るようになる。その評判が日本のアパレル業界に広がり、百貨店・専門店向けの大手アパレルからの受注もどんどん増えていった。
 今では量販店向けの商品はゼロ。商社経由も少なく、アパレルとの直接取引が中心になった。21の生産ラインで月間4万~4.5万点を生産する。「一時期を除き、21のラインで生産するブランド、アイテムはまったく違う。生産性の比較などできない」と程董事長は笑う。そのくらいの多品種・小ロットだ。
 高額商品が多いため、面料や副資材は日本から持ち込む加工貿易が90%を占める。短納期対応も完全に定着している。日本から素材を送ってから、完成品が日本に到着するまで、空路で1週間、船便なら2週間が基本になっている。
これを可能にしているのが大敬の生産システムだ。レイアウトは組立をU字に並べ、その中に特殊設備、アイロン等を配置。パーツ部門では数量管理を徹底し、組立部門では2~3枚を1バンドルとすることで仕掛品圧縮とリードタイムの短縮を図っている。さらに
 「営業マンは私一人。しかも日本に出張して営業することはほとんどない。日本からお客が来てくれる」と程董事長は言う。日本のSPAや百貨店・専門店アパレルはシーズン前に大量発注しない。在庫リスクを避けるためだ。しかし売れ筋商品はシーズン途中でなくなってくる。補充しないと機会損失となる。そのためには季中に追加生産しなければならない。こうしたSPA、アパレルにとって南通大敬はなくてはならない存在になっている。


内陸部への移転はまったく考えない

 南通大敬の1本の生産ラインには20数人の工員がいる。その総コストは電気代なども含め1日当たり6000元だという。1997年はもっと多くの工員がいたが、それでも3200元だった。この数字は南通のコスト上昇を端的に示している。
 また他産業に比べ残業が多いなど労働環境が劣る縫製工場は思うように工員が集まらなくなっている。
 すると一般的には、労務コストが安く、人手も豊富な内陸部に工場を移転して、事業を続けるという発想になる。実際、安徽、江西、河南、湖北省などへ移転する、沿海部の服装公司も少なくない。
 しかし南通大敬にその考えはまったくない。程董事長は「単品量産型の工場なら可能かも知れないが、うちのような多品種・小ロット・短納期型の工場では不可能だ。物流の問題も大きい」と語る。
 残された選択肢は、南通で日本向けに多品種・小ロット・短納期対応を徹底しながら、縫製工賃の60%を占める人件費をどう削減するか…。ここで大きな役割を果たしているのがJUKIのミシンである。


省力化に力を発揮するJUKI自動機

 2008年12月、上海市嘉定の重機(中国)投資で生産性を向上させる設備の展示会が開かれた。訪れた程董事長は1台のミシンの前で足を止める。エッジコントロールシーマーのAEC-126Aである。このミシンは2003年に生産は打ち切られており、中国でも販売されていない機種だが、沿海部では今後、自動機の需要が増えると考えたJUKIが参考出品したものだった。
 「これは省力化に役立つ」と直感した程董事長は、1台を工場に試験設置し、約60日間実際に使用。技術部や班長の意見を集約し、いろいろと注文をつけた。それを反映し、新商品として9月の中国国際縫製設備展覧会(CISMA2009)に出品されたのが、AE-200Aシリーズである。
 南通大敬の21本の縫製ラインは10本ずつ2階と3階に分かれている。程董事長はさっそく、このAE-200Aを2台購入し、各階に配置した。ジャケットの背中心や袖下などの直製部分だけでなく、曲線部分の縫い合わせが、未熟練工でも早く、安定してできるこの機種は、コートのフード部分などの生産にも最適で、今秋冬物から即戦力になっており、さらに台数を増やす予定だ。
 こうした例は2年前にもあった。高速電子単糸環縫根巻きボタン付けミシンAMB-289を2台導入した。1台で6人分のボタン付け作業ができるようになったという。
 1994年の操業開始以来、南通大敬のミシンはほとんどがJUKI。「性能と品質が信頼でき、アフターサービスも充実している」のが理由。加えて程はJUKIの魅力として「「どんどん新商品を投入してくる」ことを挙げる。「省力化に役立つミシンを次々に開発してほしい」と希望している。


日本市場にとって不可欠の存在に

 「米国も、日本も、韓国もそうだったように、中国でも沿海部の縫製産業は今後ますます縮小していくだろう」と程は予測する。続けて「南通で10社中、8社がなくなっても南通大敬は残りの2社に入りたい」と。
 そのためには、日本のアパレル業界にとってなくてはならない存在になること。日本市場の価格志向に対応して、中国素材を使った一般貿易も始めている。

JUKI Magazine PageNavigation