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TOPインタビュー

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豊富な労働力を背景に年率50%の急成長
新しい設備が高品質・高生産性の源泉


銅陵東隆華東服装有限公司
総経理 厳亦尚さん
副総経理 黄瑞銘さん

インタビュアー:
重機(中国)投資有限公司 中西部地区統括部長 平松義輝
銅陵東隆華東服装有限公司 総経理 厳亦尚さん  副総経理 黄瑞銘さん  インタビュアー:重機(中国)投資有限公司 中西部地区統括部長 平松義輝

 安徽省銅陵。銅の産地として知られるこの町で、最新の設備を導入して輸出用の商品を手がけ、大きく躍進しているのがこの工場である。安価で豊富な労働力、そして上海へ車で6時間という立地…今後を期待させるに十分である。
年率50%の急成長
豊富な労働力が大きな魅力


平松
御社は、2002年にスタートされたと伺いましたが、このところ大変な急成長ですね。
2002年4月に500人の工場で始めましたが、03年に750人、04年に980人、そして07年には1500人と増えています。
平松
年率50%の急成長ですね。ところで、御社は社名に銅陵が入っていますので、もともとここ(銅陵)で創業された会社ですか?
はい、この会社はここで始めました。ただ、この工場を作った本部というか親会社は上海にある貿易会社です。
平松
その上海の本部は、縫製はやっていなかったのですか?
もともとは貿易会社でしたが、その後縫製も手がけました。ベッドカバーや婦人服なども手がけていて、2つの工場があって、いまは全部で6,000人ほどの社員がいます。
平松
ということは、では御社は上海の会社で受けたオーダーを加工するという形で始まったわけですか?
当初はそういう形でしたが、その後、自分たちで独自に客先を開拓して、今では、独自の営業活動で仕事をしています。
平松
開拓された先というのはどんな会社ですか?
最初は日本の蝶理ですね。この会社が独自の開拓のきっかけになりました。その後、Calloway、ミズノなどとのお付き合いが始まりました。
平松
生産しているアイテムとしては、ニットも布帛もやっていらっしゃいますね。
スポーツウエアやTシャツなどニットを中心にダウンなども手がけています。
平松
そもそも、ここで工場を始めたのはどんな理由からですか?
最大の理由は採用ですね。まだ周辺には若い人がたくさんいます。地元で仕事がないために沿岸部に出て行かざるを得ないのが現状で、地元で仕事があれば、みんな喜んで自宅から通って仕事をします。自宅から通えるというのは大きいですね。


社員の90%は地元出身
給料は自宅通勤で1,000~1,200元


平松
なるほど、確かにそうですね。毎年たくさんの若い人が上海や浙江省、江蘇省に出ていましたが、地元で仕事が出来ればその方がいいですよね。上海などでは最近人件費が上がって縫製工場はやっていかれなくなりつつあるといわれていますが、人件費も少し違うでしょうね。そういうことも進出の大きな要因になっているのではありませんか?
それは大きいですね。豊富な労働力があってしかも、人件費が安い。上海あたりではオペレータの給料は1,500元といわれていますが、ここでは1,000~1,200元くらい、当社でも1,200元ですから、加工費が下がっている中で、この差は大きいですね。
平松
豊富な労働力ということですが、採用はまったく問題ないですか?
問題ないですね。特に、工場も新しく、設備がいいということが知られていますので、募集すればいくらでも集まります。中には、浙江省、江蘇省の工場で働いている人たちも応募してきますから、採用するのはほとんど経験者で、70%がUターン、30%が地元です。
平松
いかにみなさん地元で仕事をしたいかということですね。旧正月などのときに採用を行うわけですね。
旧正月に帰省したときに募集をかけます。寮にも入れますが、入る人は1/3ですね。自宅から通いたい人はバスで送迎していますが送迎する範囲は30分くらいですね。結婚した後も仕事が出来るなど魅力と思いますし、健康保険など福祉施策もきちんと用意していますから、それも大きいと思います。
平松
これまでは、安徽省・銅陵から上海に出稼ぎに行くというのが流れでしたが、これからは、安徽省に工場があれば、多くのオペレータが帰ってくるようになりますね。


新しい設備がお客さんの信頼の源
安徽省に増える工場の進出


平松
御社は自動糸切りなど新しい設備を積極的に入れていらっしゃいます。新しい設備を使ってみて、いかがですか? 経験者といっても御社の場合、本縫いミシンはほとんどすべてが自動糸切り(DDL-8700-7)ですから未経験者が多いと思いますが、その点はいかがですか?
自動糸切りを経験している人はほとんどいませんが、すぐに慣れますね。これを経験すると、もう糸切りなしは使えませんから、他工場にはいけません。
 ただ、設備という点で一番大きいのは、JUKIの設備をたくさん入れていることでお客さんの信頼をいただけるということですね。取引を始めるときは、取引先は必ず視察に来て生産工程をチェックしていきます。仕上がりの品質が問題にされるのですが、JUKIのミシンを導入しているのを見ると、それでOKが出ます。
平松
それが日本のメーカーと取引を拡大される秘訣ですね。オペレータの採用が容易ということで、最近、このあたりに工場が進出してきませんか?
増えています。もともとこの地域は大きな工場は少ないのですが、工場団地を作って誘致することも積極的にやっています。新しい工場を建てて進出してくるケースと、地元の工場を買収して拡大するケースと2つがありますが、どちらも増えています。この近くは、香港の資本が入って地元の工場が変わるケースが多いですね。
私も厳総経理も地元の工場にいたところを、この工場に誘われました。近くにも工場がありますが、ずいぶん変わりました。
平松
銅陵は、上海まで600kmほどですから、車で5,6時間。夜、車で出れば、朝には上海の港につきます。その意味では輸出用の生産基地としては絶好の立地ですね。
そうですね。その意味で安徽省は今後工場の進出が増えると思います。ただ、進出が相次いでいます。今はまだ人件費が安いのですが、少しずつ上昇しています…。


デザインはCADデータを受け取り

平松
最初に現在1,500人…と伺いましたが、いま、ライン編成はどのようになっていますか?
従業員1,500人のうち、1,350人が縫製工程に従事していて、1ラインが約30人。1工場にそれが9ラインあって、工場が5棟あります。ニットが多く、各工場のうち、4ライン分くらいが布帛を担当しています。
平松
仕事は、デザインを受け取って縫製加工ですね?
デザインはCADデータをネットで受けています。生地も基本的には支給されていますが、中には副資材も支給される会社もあります。糸も指定されますが、これは当社で手当てします。
平松
CADデータを受けてサンプル出しまでどのくらいですか?
1日か2日でサンプルを出します。
平松
生産ロットの大きさはどのくらいですか?
作る物によりますが、Tシャツなどで、20,000枚~26,000枚、他のブランドで、5,000~10,000枚くらいですね。ロットは決して大きくありません。これは日本向けの輸出品が多いためですが、今後、ロットが小さい日本向けの製品は、利益を確保するためには、高付加価値商品作りを目指しながら、同時に、ロットの大きなヨーロッパ向けの仕事などを探す…というのが重要な課題です。
平松
ヨーロッパのロットの大きな仕事を開拓する…とおっしゃっていましたが、具体的に想定しているヨーロッパの得意先はあるのですか?
はい、フランスのブランドを開拓中で、そのための内部的な整備をしているところです。


山東省に工場を進出

平松
国やブランドによって、オーダーを受ける際に求められる条件が違いますから、そのための環境整備が必要だということですね。
日本の仕事を受注するためには品質が安定していることが必須条件ですが、ヨーロッパやアメリカの会社と取引を開始するためには、いわゆる社員の待遇やそのための環境が重視されます。従業員数にあわせたきれいで清潔に手入れされたトイレがあるか、休憩室の有無、勤務時間、休暇…などですね。そうした点が重要なポイントとしてチェックされますので、そのための環境の整備が大切になります。
平松
新しい取引が始まると、また工場の拡張が必要になりますね。
近く工場を広げますので、すぐに1,800人の工場になります。2,000人を超えるようになったら、リスクを分散するという点からも、ここの工場は2,000人で止めて、山東省に工場を進出しようと考えています。
平松
ここの工場はどうされるのですか?
先ほども申し上げましたが、高付加価値化ということが目標になります。技術を向上させて、より高級品を高い生産性で作る工場にしたいと思っています。
平松
ありがとうございました。いっそうのご発展をお祈り申し上げます。
銅陵の工場前景
銅陵の工場前景
「ここ1、2年安徽省に工場が増えていますね。人件費も上がっています」と総経理 厳亦尚さん副総経理 黄瑞銘さん
「ここ1、2年安徽省に工場が増えていますね。人件費も上がっています」と総経理 厳亦尚さん(左)、副総経理 黄瑞銘さん(右)

最新設備の導入で高品質生産を実現
30人編成のラインで高い生産性を実現
「技術力の高い工場ですから、サービスも気が抜けません」安徽省重机服装設備有限公司総経理万瑞新さん
「技術力の高い工場ですから、サービスも気が抜けません」安徽省重机服装設備有限公司総経理万瑞新さん

本縫いミシンは自動糸切りDDL-8700-7の1000台を始めJUKIミシンがたくさん入れられている。
本縫いミシンは自動糸切りDDL-8700-7の1000台を始めJUKIミシンがたくさん入れられている。
セミドライオーバーロックミシンMO-6714D
セミドライオーバーロックミシンMO-6714D

高速電子閂止めミシンLK-1900A
高速電子閂止めミシンLK-1900A
シリンダーベッド偏平縫ミシンMF-7823
シリンダーベッド偏平縫ミシンMF-7823

工場を拡張し、ラインを増設工事中。既にミシンも用意されている。
工場を拡張し、ラインを増設工事中。既にミシンも用意されている。
メンテナンスはディーラーとしての信頼になる重要な仕事の一つでもある。
メンテナンスはディーラーとしての信頼になる重要な仕事の一つでもある。
最新設備で高い生産性

 「品質を支えている1つの要因は設備」と黄服装経理はおっしゃるが、縫製ラインに導入されているのは自動糸切りミシンということも、安定という点で貢献していることは間違いないだろう。
 工場のライン編成は約30名単位になっており、アイテムにもよるが1ラインの日産量は300~450枚。同社ではライン単位で生産性を把握しており、成績の良い社員を掲示板に掲示して表彰している。
 2006年11月の実績でみると、第1工場の211人のオペレータで、1,500元以上を獲得した社員は88名、1,300元以上は33人、第2工場の200人の中で、1,500元以上が91人、1,300元以上が133人、全社で1,800元以上の獲得者が34名…という具合で、生産性は非常に高い。


基本は8:00-18:00、残業でも2時間

 同工場の特徴は、生産性も高く、同時に品質も安定しているということにある。勤務時間は8:00~18:00、残業を行っても20:00まで。生産性が高い理由は経験者が多いことも上げられよう。安徽省の工場は沿岸部に比較して技術的に差が有る…といわれがちだが、実態はそんなことはない。
 「黄副装経理はもともと技術者ですから、設備のことをよくご存知です。簡単な修理などご自分でやってしまいますし、それだけに設備の使い方はよく理解されています」とお付き合いの長い安徽省重机服装設備有限公司総経理万瑞新さん。
 工場では、布帛とニットが分けられているが、「各ラインともどちらも流せる」(黄副総経理)というあたりも技術力の証明といえるかもしれない。結局は高い技術力が高い品質と生産性をもたらすことになるといえよう。

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