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特集:天津の縫製企業紹介 TOPインタビュー

特集:天津の縫製企業紹介 TOPインタビュー
会社が成長するかどうかは“待っているか/取りに行くか”で決まるトップの仕事は「想出来、写出来、説出来、作出来」

天津長城服装集団
董事長 田 樹純

对谈者:
重機(中国)投資有限公司 北京分公司 総経理 高木康志
天津長城服装集団 董事長 田 樹純

 1984年にスーツ工場を始めて以来、天津を中心に、ベトナム、スリランカに工場を持ち、パキスタンでは綿花の栽培を行う。製品のほとんどが海外向けで、70%をアメリカに輸出する。企業が成長できるかどうかは"チャンスを捉える準備をしているかどうかで決まる"とおっしゃる田樹純董事長にお話を伺った。
中国アパレル業界の現状
人件費の高騰で今後は内陸部に


高木
天津長城服装さんは、1984年の創業以来22年になりますが、現在のお国のアパレル業界をどのようにご覧になっているでしょうか?
アパレル産業は、昔と比較すると考えられないほどの発展をしていますね。中国は国土の広い国で人口も多い。労働集約型の産業が発展しやすい環境にあります。しかし、沿岸部は既に人件費が高くなりつつあり、今後はアパレル生産の場は内陸部に移っていかざるをえないでしょう。
それにしたがって、上海や広東、天津などの大都市のアパレル工場は、付加価値の高いものを作らないとやっていけなくなります。
高木
御社もそうした大きな流れに合わせて舵取りをしていくことになりますね。
はい、こうした変化にいかに対応するか、それが経営のポイントになります。中国のアパレル産業はまだ発展すると思いますが、その場合に、基本的な方向としては、2つが考えられます。
(1)沿岸部から内陸部への工場の進出
(2)中国周辺の開発途上国で作り、それを先進国へと輸出する
この2つが中国アパレル工場のこれからの課題になると思います。
高木
天津や北の方面は今後どのようになると予想されますか?
ここ1、2年を振り返ってみると、2004~2005年は縫製工場では労働力不足が深刻でした。天津では、特に大きな問題となってはいませんが、今後募集はさらに激化すると思います。
これは縫製工場があるところに電子・電気産業が工場進出をしてきて、若い女性がそちらに移ってしまうためです。1社で1万人も採用すると、多くの縫製工場が被害を受けます。福建省などでも、地元の人たちは新しい工場に行き、結局、縫製工場には地域外の地方出身の人ということになっています。

「トップの仕事は、想出来、写出来、説出来、作出来。」と田樹純董事長。扱うアイテムの中心はアメリカのブランドである。
「トップの仕事は、想出来、写出来、説出来、作出来。」と田樹純董事長。扱うアイテムの中心はアメリカのブランドである。
「トップの仕事は、想出来、写出来、説出来、作出来。」と田樹純董事長。扱うアイテムの中心はアメリカのブランドである。
「トップの仕事は、想出来、写出来、説出来、作出来。」と田樹純董事長。扱うアイテムの中心はアメリカのブランドである。


ベトナムでも人人件費が上昇
価格のダウンを生産性向上でカバー


高木
縫製工場同士の競争でなくて、他の業種との人材の取り合いになっているのですね。
開発区に新しい電子産業の工場などが出来ると、そこに質の高い熟練工が取られてしまう。そういうところに採用されない、いわば未熟な質の低い人材は余っているのですが、そういう人たちを使うのは生産性向上や質の向上が必要になっている縫製工場ではなかなか難しいのです。
高木
人件費も上がっていますね。
今は、このあたりでも1200~1300元ほどになっています。縫製工場では、1000元を超えると物価から考えて難しいですね。
高木
人件費は上がり、逆に売価は下がるという状況ですね。これをどうやってカバーしていくかが工場として大きな課題になっているようですが、いかがでしょうか?
昨年秋に、ベトナムの工場を拡大しようと計画したのですが、ベトナム政府は最低賃金を40ドル/月から75ドル/月に引き上げました。ベトナムでも経営が苦しくなってきますね。
高木
そうですか、こうした流れは中国内だけではないのですね。
結局、こうした中で経営をしていくためには、生産性を上げるしかありません。当社は婦人物スーツ、スカートを中心に2004年には450万着生産しましたが、2005年には500万着になります。
高木
一方で、こうして生産性を向上させても、電気料金や燃料費などが上昇していますから、なかなか楽にはなりませんね。

発展するかどうかは
いつも準備しているかどうかの差


高木
ところで、御社の製品はほとんどが輸出ですね。
はい、Anne Kleinなど、アメリカのブランドを中心に、婦人用のスーツ、ジャケット、コート、スカート、パンツなど上下を作っています。製品の70%がアメリカ向けで、10%がヨーロッパ、20%がオーストラリア、カナダ、南アメリカなどです。
高木
輸出はいつ頃からはじめられたのですか?
1984年に創業したときからです。私は勤めたときには国営企業で、国からクォータの割り当てをもらって、外国貿易服装公司に製品を納めれば済んだのです。それが90年代になって、将来WTOに加盟すると予想し、自社で輸出できる権利をとり、それで輸出を始めたのです。
高木
もともと天津は繊維やアパレルの古い基地があったわけではないのですが、その天津で成功した要因はなにでしょうか?
会社が発展するかどうか、差は一つだけです。チャンスが来るときに、そのチャンスに備えて準備が出来ているかどうか、それと、チャンスが来るのをただ待っていたのか、自分からチャンスをつかみに行ったか…です。環境や体制がどうだったかもありますが、それ以上に大きいのは、経営者が頭をつかっているかどうかではないかと思います。

予測し、計画を作り、話し、実行する
北朝鮮、キューバ進出も視野に


高木
2005年はアメリカのクォータが撤廃されました。多くの工場が2004年の後半にクォータの撤廃をめがけて工場を拡張してきました。いざ、撤廃されていかがでしたか?
2004年度に景気が良かったために、多くの工場が思い切って拡張しました。しかし、いざクォータが撤廃されてみると、仕事が増える会社と減る会社が出てきて、多くの工場が倒産しました。会社は結局トップで決まりますから、経営者が先見の明を持ってしっかりやらないといけません。
高木
田董事長は、「想出来、写出来、説出来、作出来」と言う言葉をおっしゃっていますが、これは同じ意味ですね。
経営者は、時代の流れを見て、想:予測し、写:計画を作り、説:話し、作:実行することが必要と考えていて、それを社員にも伝えています。
高木
最後に御社の今後の方向をうかがいたいのですが…
天津工場は付加価値の高いものを生産することになりますが、そのためにはいい設備が不可欠です。それと、ベトナム、スリランカでは工場を買収し、パキスタンでは綿花の生産を拡大する予定です。良い素材の確保が重要になりますから。また縫製業とは別にベトナムで樹脂のサッシ生産工場を始めました。
高木
生産量としてはどのくらいを御考えですか?
週に10万枚生産すれば50週で500万枚になります。ウォールマートからパンツ20万枚の受注がありましたので、何とかこれを実現したいと思っています。
高木
人材の確保が大変になりますね。
そうですね、でも何とか当社には人はきてくれます。それと、IWSのウールマークを1987年に、ISO9000の認証を1997年に取得していますので、日本の市場にも何とか進出したいと考えています。
高い品質と生産性で安定した量産体制を確立。

「品質は生命線です」と劉金明副総経理。
「品質は生命線です」と劉金明副総経理。
工場の中でも6Sは徹底されている。
工場の中でも6Sは徹底されている。

本縫いミシンは一本針自動糸切りミシンDDL-8700-7。
本縫いミシンは一本針自動糸切りミシンDDL-8700-7。
素材には厳しい品質基準が設けられていて、品質検査センターでは常時70-80点の素材が品質検査されている。
素材には厳しい品質基準が設けられていて、品質検査センターでは常時70-80点の素材が品質検査されている。

自動玉縁縫機8台が導入されている。ほとんどフル稼働である。APW-196
自動玉縁縫機8台が導入されている。ほとんどフル稼働である。APW-196

自動玉縁縫機8台が導入されている。ほとんどフル稼働である。APW-196
自動玉縁縫機8台が導入されている。ほとんどフル稼働である。APW-196

22年にわたってJUKIを使用

 同社は、1984年天津市内でスーツ工場を創業したが、当初から販売先は海外、特にアメリカ向けである。ミシン、CADをはじめ設備は日本、ドイツ、アメリカなどの製品を導入しており、80%はJUKIのミシンである。
 現在は、3つの株式会社、3つの合資会社、3つの工場をもち、1500人が働くベトナム工場を入れれば、社員数は5000人に達する一大企業に成長している。
 海外への輸出が長いだけに、早くから品質向上に力を入れ、1987年にはIWSのウールマークを、さらに1997年にはISO9001の認証を取得している。JUKI設備の導入も、生産性と品質を求めてきた結果でもある。
 生産するアイテムは、男子スーツ、女子スーツ、ジャケット、スラックス、シャツ、医療用看護着…で、中心は看護着やアメリカ・ブランドのシャツなど。


高品質設備の導入で量産を効率化

 同社が手がけている看護着はウォールマートの製品で、年間20万着という量産品。この効率化が大きな課題だが、
  • 質の良い設備を導入することで、故障をなくし稼働率を上げる
  • 自動糸切りミシンなどを導入することで生産性と品質の向上を図っている
  • 油汚れなどを防ぎ、高品質を実現する
…などで量産体制を早くから確立したことがお客さんの信頼を獲得する重要なポイントになっている。
 導入しているミシンは、JUKIの一本針自動糸切りミシンDDL-8700-7をはじめ、ポケットセッター本縫自動玉縁機APW-196、1本針本縫ボタン穴かがりミシンLBH-781、電子サイクルマシンAMS-210D、高速電子本縫ボタン付けミシンLK-1903…など。
 現在、看護着の生産ラインは、2工場で1ラインが35名で約20ラインを確保、シャツラインは6ライン…と量産体制が確立されている。
 「クォータがなくなったおかげで、綿のパンツがベトナムにずいぶん流れましたが、中国内の工場では、もっと付加価値の高い製品を作らないとダメだということですね」と劉金明副総経理。

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