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特集 : インドネシア トップインタビュー

特集 : インドネシア トップインタビュー
2年おきに400台の工場を新設
国内市場/輸出ともインドネシアの将来性は大きい

BUSANA APPAREL GROUP:
M.MANIWANEN,
Chief Executive Officer

インタビュアー:
JUKI シンガポール 社長:
小西 浩樹
M.MANIWANEN,Chief Executive Officer  小西 浩樹 社長
M.MANIWANEN,Chief Executive Officer
小西 浩樹 社長

ボゴール/Bogor工場
ボゴール/Bogor工場

「インドネシアには技術があるので、今後も楽しみです」とMr.M. MANIWANEN
「インドネシアには技術があるので、今後も楽しみです」とMr.M. MANIWANEN


List of Production Facilities
工場名/所在地 設備台数
  月産量
 
•PT. Ungaran Sari Garment
Ungaran unit1 600
280,000(pcs)
  unit2&3 600
250,000
Congol unit4 500
180,000
  unit5 550
150,000
Pringapus unit6 400
200,000
  unit7 400
200,000
  unit8 500
225,000
•PT. Citra Abadi Sejati - Cileungsi
Cileungsi unit1 400
100,000
  unit2 400
50,000
  unit3 300
70,000
  unit5 400
100,000
•PT. Citra Abadi Sejati - Bogor
Bogor unit1 1,100
250,000
•PT. Buana Indah Garments
Purwakarta unit1 700
150,000
 インドネシアは、人口2.28億人、面積約190万平方キロメートル。国土は1万数千の島々からなり、太平洋とインド洋の間にある。多くの島からなっているために、宗教、風習、芸能をはじめ、風土や自然環境などもそれぞれ地域性が強く、天然資源に恵まれた国でもある。宗教はイスラム教88%、キリスト教8.9%、民族はジャワ、スンダなど27種族に分かれるが、大半はマレー系である。言語はインドネシア語。
 産業は農業が中心で、鉱工業が続く。輸出量が輸入量を上回る貿易収支の黒字国である。農林水産業ではカカオ、キャッサバ、ココナッツ、米、コーヒー豆、天然ゴムなどが多く、ココナッツの生産量は世界一。鉱業資源にも恵まれていて、金、鈴、石炭、天然ガス、銅、ニッケルの採掘量が多い。OPECには設立以来加盟する産油国であるが、2004年以降は輸入が増えて、現在は輸入量が産出量を上回る状態のため、2009年1月から脱退している。
 経済成長率は、ここ数年、平均して5~6%と安定して成長を続けており、2008年度も第3四半期までは6%台の経済成長を維持したが、欧米の経済危機による輸出の伸び悩み、国際金融危機の影響等から、第4四半期には5.2%に減速(2008年通年では6.1%)。
 繊維・アパレル産業は、部分的に石油から合成繊維製品も作られており、特にポリエステルのプリント繊維が知られる。これまでは、政府が製鉄、航空機製造など主要産業を国有化し、保護政策の下で発展させてきたために、どちらかといえば繊維産業は遅れをとってきた。アパレル製造業は、海外からの進出も多く、ほとんどがOEMで欧米への輸出。技術的には高いものがあるが、人件費も高くなってきており、インド、バングラデッシュへの流れのなかで、いかに対応するかが大きな課題となっている。国内市場は安価な中国製品が席巻しており、今後、高品質化への期待がある。


インド・チェンナイ/Chennaiに2工場、16ライン

小西:
今日インドから、戻ってこられたと伺いました。お忙しくご活躍されていらっしゃいますが、インドはどちらに行ってらっしゃいましたか?
MANIWANEN:
今年(2009年)の2月にインドのチェンナイに工場を作りまして、そこに行っていました。
小西:
ついにインドに進出ですか。国内にもたくさんの工場を持っていらっしゃいますが、チェンナイでいくつめの工場になりますか?
MANIWANEN:
国内は4地域に14工場がありますが、チェンナイには新たに2工場を作りました(図表参照)。将来的に全部で16ラインになる予定ですが、今のところはまだ14ラインしか稼動していません。
小西:
オペレーターは何人くらいいらっしゃるのでしょうか?
MANIWANEN:
人数としては700人規模ですね。まだスタートですから、あまり手のかからない難しくないものを作っていますが、2年ほどかけて徐々に技術力をつけていき、本格的な生産体制に入りたいと思っています。
小西:
チェンナイでオペレーターを700人採用されましたが、採用では難しいことはありませんでしたか?
MANIWANEN:
はい、特に問題はありませんでした。高い技能を持った経験者だけを採用できれば問題はないのですが、それは無理です。なので、採用を決めてから仕事を始めるまで、3ヶ月ほど、オペレーターの訓練をしました。これは、国内でも採用をするときにはいつもやっているので、問題ありません。

スタートは1975年200台から
2年ごとに400人の工場を新設


小西:
チェンナイ工場を入れて、全部で確か、16工場になったと伺っています。社員は何人になりましたか?
MANIWANEN:
チェンナイも入れると、全部で、14,000人になりました。
小西:
国内でも有数のガーメント企業といっていいと思います。元々のスタートは、テキスタイルを手がけていらっしゃったと伺ったことがありますが……。
MANIWANEN:
テキスタイルをやっていたのは私ではなく、先代です。父が1963年にポリエステルの繊維を作るテキスタイルの会社を始め、紡績、染色、織物を行っていました。その会社は、いまは兄である長男がついでいます。
私は1975年にSemarangのUngaranでアパレル工場を始めました。ミシン200台の工場で、主として国内市場に出す商品を作っていたのですが、85年に輸出を手がけるバイヤーと知り合い、輸出専門の工場に転換しました。
小西:
国内から輸出縫製に転換するというのは、技術力を向上させて品質向上を目指すということと同時に、輸出の仕事を確保するという2つの課題を解決しなければならないわけですね。口で言うのは簡単ですが、なかなか大変なことと思います。
MANIWANEN:
そうですね。輸出に転換したとき、工場は400人になっていました。技術力という点では、品質向上が最大のポイントということで、オペレーターの教育の仕組みを作りました。
このときの経験から、アパレル工場を運営する基本単位として400人が最適と思い、以来、工場を拡張する場合は、400人の工場を作ることを基本にして、2年ごとに工場を拡張してきました。
一方、輸出の仕事を確保するという点では、2年かけて輸出のバイヤーさんを確保するようにしましたが、品質が向上したことで、引き合いも増えて、仕事は増えていきました。1997年ころからは為替が安くなったことで、多くのアパレルがインドネシアから出て行ったために、逆に仕事が増えてきたことも大きいですね。


高いオペレーターのスキルでインドネシアへの期待は大きい

小西:
いま、インドネシアのガーメント産業はどんな状況にあるのでしょうか?
MANIWANEN:
インドネシアは人件費が安いこともあって、台湾、香港からも多くの工場が進出し、欧米に向けた輸出製品を扱っています。一方、国内市場は中国製の安価な商品が溢れて、国内で生産される状況にはありません。
いま、アジアのガーメント産業を見てみると、中国の人件費が高くなった結果、仕事が、チャイナプラスワンといわれる国々に流れています。量産の安いものはインド、バングラデシュでいいでしょうが、技術力という点ではまだまだですから、フォーマルシャツやステッチの多い商品などは難しい。
こうした仕事はベトナムに流れていますが、すでにベトナムは飽和状態に近く、技術力が高いインドネシアに、中国の仕事が流れてきます。今後ますます仕事は増えると思います。


流れは多品種少量化へ

小西:
2年おきに400台の工場を新設しているとのことですが、技術者やマネジャーはどうしているのでしょうか?
MANIWANEN:
オペレーターは募集すれば集まります。この点は問題ありませんが、経験者ばかりではなく初心者も多いので、社内で3ヶ月かけて育成しています。400人を採用して、3ヶ月かけて生産に移れるよう、システム化しています。この仕組みは最初の頃に作りました。
班長、リーダークラスは社内で育成し、新しい工場を作ると、そのラインのリーダーに起用します。オペレーターの技術はインドネシア人でもOKなのですが、工場のマネジメントはインドネシア人でなかなかできる人がいないので、インド人を採用しています。彼らはうまくマネジメントしてくれます。
小西:
ところで、国内の市場にはまったく興味はありませんか?
MANIWANEN:
輸出市場は相手先ブランドのOEM生産です。もし、ドメスティック市場をやるとすれば、どうしてもブランドが必要です。自社でブランドを育てるのは大変なので、ブランドのライセンスを取って生産し、国内市場に出すというのはあるかもしれません。
小西:
いま、御社では客先から指定された素材を手配し、デザイン、パターンも提案しています。作る気になれば、ブランドも可能だと思いますが。
MANIWANEN:
ブランドをやると、販売が課題になります。私たちにはない機能ですので。国内市場は、興味はないわけではありません。
小西:
御社はアメリカがメイン輸出先ですが、このところアメリカ経済の景気後退の影響はありますか?
MANIWANEN:
ほとんどありません。当社は元々、多品種、マルチプロダクトを目指していますので、品種は多いのですが、ロットは小さくなる傾向にあります。
小西:
国内市場にも興味をお持ちで今後が楽しみですね。2年後の工場新設にあわせて、ミシンを用意してお待ちしています(笑)。
ありがとうございました。
低コスト、小ロット化を目指しスキルを育成
マルチアイテムで高品質・高生産性を実現する
「ロットが小さくなり、低価格化が求められているので、オペレーターのskill向上が重要なテーマ」「JUKIのノウハウを使ってください」と語る同社スタッフとJUKIのサービススタッフ。写真左から,石田(JUKI Singapore), Mr. RAJEER RAKHRA(Unit Head PT Citra Abadi Sejati-Bogor),Mr. RAJ KUMAR(Strategic Head),Anton Sudeo(ミシン代理店のOBOR Machinery),LEWIS TAN(JUKI Singapore)。
「ロットが小さくなり、低価格化が求められているので、オペレーターのskill向上が重要なテーマ」「JUKIのノウハウを使ってください」と語る同社スタッフとJUKIのサービススタッフ。写真左から,石田(JUKI Singapore), Mr. RAJEER RAKHRA(Unit Head PT Citra Abadi Sejati-Bogor),Mr. RAJ KUMAR(Strategic Head),Anton Sudeo(ミシン代理店のOBOR Machinery),LEWIS TAN(JUKI Singapore)。

工場の全景。照明も明るく、きれいに整理されている。生産性の高さが伺える。
工場の全景。照明も明るく、きれいに整理されている。生産性の高さが伺える。

本縫一本針自動糸切りミシン(DDL-9000)
本縫一本針自動糸切りミシン(DDL-9000)

高速電子閂止めミシン(LK-1900AHS)
高速電子閂止めミシン(LK-1900AHS)
作業環境の改善で生産効率を向上

 同社の16工場の中でも、ボゴール/BogorにあるPT Citra Abadi Sejati の工場は中高級品を生産する同社の主力工場でもある。生産するアイテムは、アウトドア用の
  • ジャケット(45%)
  • ボトム(55%)
で、ロットは300~10,000。
「以前はもう少し大きかったのですが、量的には以前と変わらないのですが、ロットが徐々に小さくなっているので、それだけ手間がかかって大変です」とMr. RAJ KUMAR(Strategic Head)とMr. RAJEER RAKHRA(Unit Head PT Citra Abadi Sejati-Bogor)。
 同工場は1,100名の社員がいるが、1ラインは50名の編成で、14ライン、生産量が月産250,000枚である。小さいロットで、これだけの枚数を上げるためには、生産効率の向上、特に品種切り替えなどの段取りの効率化を求められるが、このあたりは2人の手腕と言っていい。現場の班長とのコンビで、生産効率を徹底的に高めている。
 その証拠に、工場内は整理整頓されていて、明るくきれいだ。照明も明るい。オペレーターが作業をしやすいように、環境にも気配りがなされている。「当然JUKIのミシンも、高品質化や生産性には重要な設備」とリップサービスも忘れないが、ほぼ100%がJUKIミシンであることを見ると、そのまま受け取っていいのかもしれない。


オペレーターのスキル向上を目指して

 「バイヤーさんとの話では、いつも低コスト化がテーマになる」(Mr. RAJ KUMAR)というほど、コストダウンは大きな課題だが、同時に、リードタイムの短縮化も強く求められている。
 最初のサンプル作りから言えば、素材の選定やデザインの検討などで、生産に入るまでに100日くらいかかるのですが、GOが出たあとは納品まで3週間ほど。
 同社が手がけるのは、NIKE、KENNETH COLE、MEXX、ESPRIT、CALVIN KLEIN、TMMY HILFIGER, ANN TAYLOR, PCH, PERRY ELLIS, TALBOTS, LIZ, CLAIBORNEなどのブランド。工場ごとにアイテムを決めて生産する。中心的な工場がサマランの、PT.Ungaran Sari Garmentsで、ここだけで、150万枚/月 を生産する。
 同社は、マルチアイテムと称して、さまざまなアイテムを手がけているが、それを工場ごとに分けて担当している。アイテムが多様なだけに使われているミシンも多様で、本縫一本針自動糸切りミシン(DDL-9000)をはじめ、自動玉縁縫機(APW-196)、高速電子閂止めミシン(LK-1900A)、高速電子模様閂止めミシン(LK-1930)などが活躍している。

三本針腕型二重環縫(MS-1261)
三本針腕型二重環縫(MS-1261)
自動玉縁縫機(APW-196)
自動玉縁縫機(APW-196)
高速電子模様閂止めミシン(LK-1930)
高速電子模様閂止めミシン(LK-1930)

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