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特集:インド

インド
テキスタイルとガーメント----垂直統合で
目指すは"世界一"のアパレル企業

BOMBEY RAYON FASHION LIMITED
AMAN AGRAWAL Vice Chairman

「競争相手が何をしていようと、興味はありません。自分たちのしたいことをやるだけです」副社長のAMAN AGRAWALさん。
「競争相手が何をしていようと、興味はありません。自分たちのしたいことをやるだけです」副社長のAMAN AGRAWALさん。

シャツの脇工程で試用されている2本針腕型二重環縫ミシンMS-1190M
シャツの脇工程で試用されている2本針腕型二重環縫ミシンMS-1190M

均一な仕上がりの製品を生み出す剣ボロ付け自動機、操作する真剣なまなざし
均一な仕上がりの製品を生み出す剣ボロ付け自動機、操作する真剣なまなざし

床にレールが敷かれていて裁断機が移動する
床にレールが敷かれていて裁断機が移動する

織物工場にも、年々2倍近い成長を続ける活気があふれている
織物工場にも、年々2倍近い成長を続ける活気があふれている

少人数でフル稼働。清潔な工場内に整然と並ぶエアージェット織機郡
少人数でフル稼働。清潔な工場内に整然と並ぶエアージェット織機郡
5年間で17.5倍の急成長
秘訣は顧客満足


 「アメリカの景気後退や、オイル価格の高騰などの影響を受けてインド経済も、アパレル業界も決していい状態ではありません。しかし、Bombay Rayon Fashion Ltdは順調に業績を伸ばしています。理由は、お客さんがヨーロッパ中心であることなどがありますが、最大のポイントは、リードタイムを大幅に短縮化することで、顧客満足を実現していることです」とおっしゃるのは Bombay Rayon Fashion Ltd 副社長のAMAN AGRAWALさん。
 同社は1986年に設立。レーヨンの生産を始めたが、1992年に紡織をスタート、さらに、2003年にガーメントの生産をはじめた。それ以降の同社の成長はめざましく、2003年度にはわずか8億ルピーにしか過ぎなかった売上高が、2008年度にはなんと140億ルピーと、わずか5年間で17.5倍も成長した。2倍、4倍、8倍、16倍…と、ほぼ毎年2倍にちかい驚異の高成長である。
 世界的な景気後退、インド経済も振るわない中で、なぜ、同社はこんな高い成長率を続けられるのか。その最大の秘訣は、顧客満足(CS:Customer Satisfaction)にあるというのがAMANさんの答えだが、うかがってみると、このCSという言葉の中には、成る程とうなづかされるいろいろな要素が含まれている。


3年間でリードタイムを半減
源はテキスタイルとガーメントの垂直統合


 「これまで販売に苦労したことはありません。仕事はあります。しかし、それは、Bombay Rayon Fashion Ltdの仕事にお客さんが満足してくれているからといえるでしょう。お客さんに満足していただけなければ、仕事はきません。例えばリードタイムの短縮化ですが、以前は、受注してから納品するまでに60日~120日もかかっていましたが、最近はほとんどの商品が60日で納品できます。それだけ、お客さんは発注を遅らせることができて、リスクを低減できるということになります。
 短納期化が出来た理由は、テキスタイルとガーメント、それにボタンなどの副資材をすべて自社で生産するようにした結果です。しかも、数年前からデザインセンターを設置し、デザイン力を向上させてきました。お客様に対して、提案力もついてきた。デザインから素材、縫製、付属品…自分たちですべて調達できるから、お客様の要望に迅速に合わせられる。これがBombay Rayon Fashion Ltdが成長を続けられる秘訣です」とAMAN氏。
 ガーメントのオーダーをもらっても、テキスタイルが間に合わなければ、納期は遅れる。「納期を自分たちでコントロールできないのは、経営としてもよくない。お客様の要望に応えようとすれば、すべて内製化するしかありません」とAMAN氏。同社がテキスタイル、ガーメント、ボタンなどの副資材をすべて内製化してきたのも、CSを実現するためであり、それが顧客からの信頼につながっているのだ。


インド最大のテキスタイル工場が稼動

 Bombay Rayon Fashion Ltdが現在手がけるのはテキスタイルでは、紡績以外すべて。素材は、コットンを中心にポリエステル、テンセルなどの合成繊維からウールまで。コットンが80%で合成繊維が20%。「これはそのままお客様からの受注の結果で、お客様の要望があればそれに合わせて生産する素材は変わってくる」とAMAN氏。このあたりの柔軟さが、成長を続ける要因だ。
 現在、自社で生産する素材はほとんど自社のガーメント用に使用するが、2008年11月に日産60万メートルというインド最大のテキスタイル工場が完成すると、40~50%が外販に回される予定だ。しかし、やがてガーメントの販売が伸びれば、次第に自社使用に移行していくことになる。
 売上げを見ると、テキスタイルが40%、ガーメントが60%。ガーメントの80%が、ヨーロッパ、アメリカに輸出されており、国内市場向けはわずか20%。
 日産150,000着、ガーメントの輸出量では既にインドNo.1だが、AMAN氏にはインドNo.1という位置には関心がないという。


競争相手に興味はない
目指すはガーメント世界No.1


 「インドで一番…ということに関心はありません。自分たちは自分たちがやりたいことをやっていくだけで、競争相手がどこの会社で、そこが何をしているか…気にしていません」とAMAN氏。2005年には株式を上場し、資金繰りも楽になった。将来を見すえた思い切った設備投資も可能になり、時代の先端でマーケットをリードする。
 無名の会社時代には人材採用が難しかったが、今では多くの専門家が是非使って欲しい…と門をたたいてくる。34歳という若さが生むエネルギーが会社を引っ張り、工場の中にも成長への活力があふれている。
 「中国とインドを比較したら、技術的にも遜色ないので、コスト的にインドに仕事が来る。英語が通じるので、コミュニケーションが容易だ。これらを考えるとインドは将来的に大きな可能性を持っています。海外進出? まだまだインドでやることがたくさんある!」--インドの可能性を熱っぽく語る若きリーダーにはすでに世界一の将来の姿が見えているのかもしれない。

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