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特集 : バングラデシュ トップインタビュー

特集 : バングラデシュ トップインタビュー
品質優先でスタートからJUKIミシンを導入、
輸出はアメリカ向け中心にデニム製品が急成長

HA-MEEM GROUP:
Deputy Managing Director
Delwar Hossain

インタビュアー:
JUKI BANGLADESH LTD
Asst General Manager
Abdullah Siddiqui Nizam
HA-MEEM GROUP Deputy Managing Director Delwar Hossain
HA-MEEM GROUP Deputy Managing Director Delwar Hossain

工場前景
工場前景

建設中の新工場、年々成長が早く工場の拡張も急だ。
建設中の新工場、年々成長が早く工場の拡張も急だ。
 Bangladesh、正式な国名は、People's Republic of Bangladesh。1947年に英領インドからパキスタンとして独立したが、1971年には西の半分がパキスタンに、東の半分がBangladeshとして独立した。人口の半分は独立後に誕生した世代であり、国内でもパキスタンとの関係を知る者が少なくなりつつある。国境は西北東のほとんどをインドと接しており、南部にわずかにミャンマーとの接点がある。国土面積147,570平方キロメートルで人口約1億4000万人と人口密度は高い。首都はダッカで 人口約1000万人、言語はベンガル語。
 経済的には、2005年が6.71%、2006年が6.51%と成長率は高いが、急成長が続くアジア地域にあってもう一つ急成長に乗り遅れており、その要因として、インフラの整備の遅れ、政治・社会情勢の不安定さ、許認可等における行政手続きの煩雑さなどがあげられる。国土が平らで南部はたくさんの河川のデルタ地帯にあたり、乾季には乾き、雨季には水没する。そのために、定期的に洪水に見舞われ、それが開発の遅れをもたらす要因となり、経済の発展を妨げているという宿命を持っている。
 2006年度の輸出額は121億7,786万ドル、輸入額171億5,856万ドル…と輸出額は20%近く増えたものの輸入も増大し、貿易収支は約50億ドルの赤字となっている。
 主な産業は縫製業で、輸出の67%を繊維製品が占める。ほかにもジュート製品が5%を占めるなど、縫製業依存の体質が続いている。北部では綿花もとれるが、輸出用縫製品の素材も、大半が中国や米国からの輸入品で、自国の綿花の品質向上や素材産業の育成が大きな課題となっている。
 国別にみると、輸出先は、アメリカ28.8%、ドイツ16.8%、イギリス10.0%と欧米が多い。豊富な労働力を利用して縫製業は今後も拡大すると思われるが、欧米企業のコンプライアンス遵守への要求も強く、この面での整備も今後のポイントになっている。
 そんな同国で、アパレル業界をリードする企業の1つがHA-MEEM Groupである。

ラインは115人編成のチェーンシステムオペレーターのスキルで工程・設備を編成
トータル108ライン

 年々増大しているので、数字を挙げるのは難しいが2008年春の段階で、全社的に見ると23工場で108のラインが稼動しており、月に約200万枚を生産する。
 種類別に見ると、デニム製品が55%でボトムが65%を占めている。108ラインのうち、アパレルの縫製ラインが86ラインある。
 工場としては、他にデニムのwashing プラントが5工場あり、日産13万枚の処理能力を持つ。他にSand BlastとBrushing工場もあり、ジーンズの後加工に力を入れ始めている。
 セーター等を手がけるニット工場のほかに、刺繍工場もあり、重衣料はないが、その他ではほぼフルアイテムで生産している。
 「ボトム工場は基本的にチェーンシステムで生産しており、1ラインは70台のミシンと約115名の編成になっています。この編成で日産約1000枚、シャツだと1800枚くらい生産しています」とgeneral ManagerのMr. KAZI Morshed Ali。
 各ラインには品質管理担当者がいて、チェックは厳しく、工程から不良を出さない…が徹底されている。
 一日の稼働時間も基本的に決まっており、勤務時間は8:00-17:00で、残業は17:00-19:00までの2時間と決めている。
「ボトムが65%。デザインによって違いますが日産1000~1500枚」とMr.ALI(右)。JUKI Bangladesh LTD.のManager Sk Md. Kamruzzmanとは旧知の仲だ。
「ボトムが65%。デザインによって違いますが日産1000~1500枚」とMr.ALI(右)。JUKI Bangladesh LTD.のManager Sk Md. Kamruzzmanとは旧知の仲だ。

見る限りミシンはJUKI。本縫は自動糸切りDDL-8700-7を基本に、最新設備が導入されている。
見る限りミシンはJUKI。本縫は自動糸切りDDL-8700-7を基本に、最新設備が導入されている。

工程には仕様書が掲示され、リーダーの指導が徹底されている。
工程には仕様書が掲示され、リーダーの指導が徹底されている。

設備は最新機種が導入され、同社の高品質生産を支えている。(1)高速電子模様閂止めミシンLK-1930。10cm×6cmの広い縫製エリアを持ち、691の縫いパターを記憶できる操作パネル付の最新機種。多彩な縫いをワンタッチで切り替える、優れものだ。
(1)高速電子模様閂止めミシンLK-1930。10cm×6cmの広い縫製エリアを持ち、691の縫いパターを記憶できる操作パネル付の最新機種。多彩な縫いをワンタッチで切り替える、優れものだ。

(2)高速インターロックミシンMO-6716S
(2)高速インターロックミシンMO-6716S

(3)2本針本縫針送りミシンLH-3128。薄物用、厚物用、ジーンズ・厚物用…と多彩なゲージが用意されており、素材対応力がよいと好評だ。
(3)2本針本縫針送りミシンLH-3128。薄物用、厚物用、ジーンズ・厚物用…と多彩なゲージが用意されており、素材対応力がよいと好評だ。

(4)電子鳩目穴かがりミシンMEB-3200、高速電子本縫ボタン付けミシンLK-1903…などは、後工程にまとめておかれている数十台が並ぶ姿は壮観だ。
(4)電子鳩目穴かがりミシンMEB-3200、高速電子本縫ボタン付けミシンLK-1903…などは、後工程にまとめておかれている数十台が並ぶ姿は壮観だ。

(5)出番を待つ本縫自動玉縁縫機APW-895。
(5)出番を待つ本縫自動玉縁縫機APW-895。
スタートは市内の小さな工場
いまでは月産240万枚


NIZAM
御社は今ではバングラデシュ国内でも、トップクラスの縫製工場ですが、創業したのはずいぶん古いそうですね。
HOSSAIN
HA-MEEMグループが創業したのは1981年と古く、今年で26年目になります。グループの最初は、アパレル製品、素材などを扱う商社で、工場を始めてからはまだ10数年です。
NIZAM
販売をやっていらっしゃった当時はどんなものを中心に扱っていらっしゃったのですか?
HOSSAIN
洋品が中心で、デニム製品、布帛、ニット製品などのほかにコットンなどの素材を扱っていました。
NIZAM
デニムなども素材は綿花ですが、国内の素材を御使いになっていらっしゃるのですか?
HOSSAIN
コットン素材はアメリカから輸入したものを使用しています。最近は、国内でも、だんだん品質的に上がってきてはいるようですが、製品の輸出先でアメリカが多いということもあって、アメリカ産の木綿を使用しています。
NIZAM
商社から工場を始めたきっかけはどんなことだったのですか?
HOSSAIN
商社として企画・販売をしているうちにお客様が増えてきました。そのうちに、急な増産や新しいアイテムの開発など、お客さまからいろいろとオーダーやご要望を受けるのですが、自社で生産をしていないとアイテムや品質、生産量…などの面でどうしても、ご要望に応じられないことが多くなってきます。そんなことから、自社生産を手がけ始めたのです。最初はダッカ市内の小さな工場で5ライン、従業員500人からのスタートでした。16年前です。
NIZAM
現在はどのような…体制になっているのですか? 伺うたびに大きく成長されているので、驚くのですが…。私も把握しきれていません。
HOSSAIN
現在は、従業員32,000人で、23の工場でデニムジーンズ、シャツ、ボトム、婦人服、子供服、ジャケット、ニット、セーター…を生産しています。他に、デニムの素材工場がありますし、ジーンズのwashing工場、ダンボールや樹脂を生産する工場、刺繍工場などもありますが、アパレル製品としてはシャツを20ラインで月産78万枚、パンツやオーバーオールなどを66ラインで160万枚、合計で240万枚を生産しています。

輸出先は90%がアメリカ
"高品質"が次の受注を呼ぶ


NIZAM
当初から輸出を手がけていたようですが、輸出先はどちらですか?
HOSSAIN
現在、90%がアメリカ向けで、残り10%がヨーロッパ。生産規模からみて、最低ロット8,000枚と考えていますので、ロットが小さくて品質が厳しい日本向けはなかなか難しいですね。
NIZAM
ブランドとしてはどのようなものがありますか?
HOSSAIN
アメリカ向けは、Levi's(Kids Head Quarter)、GAP/OLD NAVY、JC PENNY、Khol's、VF(Nautica、Lee、Wrangler)、OSHKOSH、PVH、TARGET、WALMART、PARRY ELLIS、KELL WOOD…などです。
 また、ヨーロッパ向けとしてはNEXT、H&M、ZARA、CARREFOUR、TESCO、HEMA、M&S MODEなど。
全体で、デニム製品が55%を占めています。
NIZAM
現在は、注文が増えて生産が間に合わない状態で、工場を拡張すると、すぐにフル操業になり、また生産が追いつかない…という状態の繰り返しのようですね。こうした状態が続くのは、もちろん営業努力もあると思いますが、御社の経営政策としてこの点がうまくいっている…といったポイントがあればお教えいただけませんか? どこの会社も皆さん、受注を増やしたいと思っていると思いますので。
HOSSAIN
特にこれといって秘策があるわけではありません。ただ、1つだけ私たちがこだわっているのは品質です。設備も技術もそれを目指してきましたから、それが結果として製品の評価につながっていると思います。
 最初に工場を作るときに、どこの設備を導入するかという問題があったのですが、一番品質の高い設備ということでJUKIミシンを採用しました。価格的には安価な設備が他にもあったのですが、品質を優先した結果です。現在でも、99%のミシンがJUKIです。残り1%はJUKIで作っていないので欲しくても買えない(笑)。
 これが当社の製品の高品質化につながり、お客様の信頼をいただいて、受注につながっていると思います。

今後はデニムの成長に期待
洗い能力日産13万枚


NIZAM
受注の拡大、工場の増設が続いて新しい設備もどんどん入っていますね。
HOSSAIN
はい、受注が増えても、新しい工場を増設するので経営は決して楽ではないのですが、資金は設備の導入に投資しています。新しい、良い設備がどんどん出てきますから、そうしたものを導入しないと、品質だけでなく生産性の面でもお客様の要望に応えていかれません。
NIZAM
御社では、経験者を採用していますが一方で、初心者の訓練も行っていますね。同じようにミシン技術者も育成にも熱心に取り組んでいらっしゃいます。
HOSSAIN
そうですね。どんないい設備があっても止まってしまっていては使い物になりませんから、設備技術者の育成には力を入れています。ほとんど自社で修理できるので、JUKIにお願いするケースは少ないのですが、ただ1つ、最近はミシンが電子化されていて、そこは修理ができません。これが大きな課題です。
NIZAM
いざと言うときにすぐに対応できるようにパーツ等を準備するように努力していますが、今後も一層の努力が必要ですね。
 ところで、御社ではデニムは比較的新しく始められたアイテムですが、急速に伸びていますね。
HOSSAIN
はい、デニムジーンズは、中国やパキスタンで1992年頃から作られ始めましたが、バングラデシュで作り始めたのはここ数年です。当社も、デニム素材から手がけていて、全体の55%がデニム製品になっています。Washingプラントは1日に13万枚の処理能力を備えています。

経験者の採用で技術力は向上
コンプライアンスを重視


NIZAM
急成長でオペレーターの採用も大変と思いますがその点はいかがですか?
HOSSAIN
ほぼ常時募集していますが、90%は経験者が集まります。他社で経験しているオペレーターです。使用しているミシンなども、オペレーターには重要なようですね。採用は問題ありません。
NIZAM
新人の育成なども行っていますね。
HOSSAIN
はい、経験者だけでなく初心者も採用しますから、社内に初心者用の教育施設があります。経験者が採用できるので、それほどたくさんいるわけではありません。オペレーターの給与は平均90ドル/月で、ピースレートではなく固定給制度です。
NIZAM
もちろん最低賃金制度などクリアしていますね。
HOSSAIN
はい、そのほかにも、安全対策、過剰残業禁止とか、児童就労の禁止などのほかに、育児室を用意するなど、人権やコンプライアンスにはきちんと対応していますので、従業員も安心して働いています。
NIZAM
ありがとうございました。

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