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特集 : ベトナムのアパレル工場 - ホーチミン(2)

特集 : ベトナムのアパレル工場 - ホーチミン(2)
課題は多品種少量生産を支える生産管理
年々難しくなる技術者の採用に教育で対応目指す

MOUNTEC :
Director MR.CHUONG VAN DUNG
Vice Director MR.THANH-LONG LE
「どのくらいの品番があるか…多すぎて数えられない」とTATONKAの多彩なアウトドア用品を手がけるDirectorのMR.CHUONG VAN DUNGとVice DirectorのMR.THANH-LONG LE。
「どのくらいの品番があるか…多すぎて数えられない」とTATONKAの多彩なアウトドア用品を手がけるDirectorのMR.CHUONG VAN DUNGとVice DirectorのMR.THANH-LONG LE。

 TATONKAのブランドで知られるドイツ・ブランドのアウトドア用品を生産する工場がベトナムのホーチミンシティにあるMOUNTEC社。TATONKAの特徴はアルパインザックからサイフのようなトラベルの小物まで製品の種類が豊富なこと。その生産を一手に引き受けているのがベトナムにある同社の2工場である。商品は、ここから世界中に配送される。


Ward9工業団地にある同社工場。
Ward9工業団地にある同社工場。

ドイツ系の工場だけに整理整頓が行われている。TATONKAからも、職場環境の改善には厳しい指導があるという。
ドイツ系の工場だけに整理整頓が行われている。TATONKAからも、職場環境の改善には厳しい指導があるという。

生産管理を担当する部門は忙しい。
生産管理を担当する部門は忙しい。

多品種少量生産とあって裁断のやりくりも大変だ。
多品種少量生産とあって裁断のやりくりも大変だ。

現場にはさまざまな最新のミシンが導入されている。2本針本縫ミシン(大釜) LH-3178、2本針本縫ミシン(角縫) LH-3188、筒型1本針本縫総合送りミシン(倍釜)DSC-246
現場にはさまざまな最新のミシンが導入されている。2本針本縫ミシン(大釜) LH-3178

現場にはさまざまな最新のミシンが導入されている。2本針本縫ミシン(大釜) LH-3178、2本針本縫ミシン(角縫) LH-3188、筒型1本針本縫総合送りミシン(倍釜)DSC-246
2本針本縫ミシン(大釜角縫) LH-3188

現場にはさまざまな最新のミシンが導入されている。2本針本縫ミシン(大釜) LH-3178、2本針本縫ミシン(角縫) LH-3188、筒型1本針本縫総合送りミシン(倍釜)DSC-246
筒型1本針本縫総合送りミシン(倍釜)DSC-246
品番は“無数”課題は生産管理

 TATONKAは1994年、それまでアメリカ・ブランドのライセンス製造をして、ヨーロッパ市場に供給してきたドイツ人のウィンドルフ・シェッキンガーが設立したブランドである。会社はアルプスの山々を背にしたドイツ南部Dasingにある。その製品とデザインは、アウトドアの長い歴史と文化をもつヨーロッパの人々の間で、信頼性と品質が高い評価を受けてきた。2005年には息子のアンドレス・シェッキンガーがTATONKAの社長に就いた。
 TATONKA…とは、アメリカ先住民の言葉でバッファローを意味するとか。これはロゴマークにも採用されていて、その形は商品イメージであるワイルドで力強さを表現している。
 同社商品の特徴はアイテムが豊富なだけでなく、消費者の好みに応じられるように、同じ用途の製品でも価格帯や素材、デザインなどを換えていくつかのタイプを用意していることにある。それだけに供給する側にとっては多品種少量の需要に緻密に応えるための生産管理が大きな課題であるが、TATONKAの100%資本のMOUNTEC社を率いているのが、DirectorのMR.CHUONG VAN DUNGとVice DirectorのMR.THANH-LONG LEである。
 TATONKAはドイツにあって、生産指示はすべてドイツの本社から届けられるために、その間の橋渡し役をするのがVice DirectorのMR.THANH-LONG LEだ。
 一体、年間で流す品番はどのくらいあるのか、アイテム、素材、デザイン…など、製品のバリエーションが無数にあって、実数はなかなかつかみみにくい。カタログで見ると250ページ。各種のリュックサック、デイバッグ、トラベルバッグ、小物入れ、アクセサリー、カメラバッグ、ウエストポーチ、雨具、ヤッケ、ブルゾン、防寒具、テント…などなど。これだけのものを作るのは並大抵ではない。


2つの工場で年間100万個を生産

 こうした複雑な生産管理を手配し需要に応えるのがお2人の役割だが、MR.CHUONG VAN DUNGは1989年にベトナムの国営企業に入り、93年にMOUNTEC社の設立と同時に移ってきて初めてアパレルを担当することになったという。96年にDirectorに就任して現在まで続いている。
 MR.THANH-LONG LEは、ドイツで生まれたベトナム系のドイツ人。「ドイツで学校を卒業したあと、アパレル関係の仕事をしているときに、TATONKAの経営者に出会って同社に移ってきた」。MOUNTEC社にはドイツ人として赴任している。いわば、ドイツのTATONKAとMOUNTECの間をつなぐ調整役である。
 デザインや素材は基本的にドイツから送られてきて、ベトナムでの資材の調達は少ない。ベトナムには2工場があり、両工場で生産量は年間およそ100万個。第1工場は450名、第2工場に350名の社員がいる。
 ラインの編成は、450人の第1工場は3グループに別れ、それぞれ5ライン=合計15ラインがある。1ラインのオペレータは平均25名。グループごとに担当アイテムは一応決まっているが、時期によってお互いのやりくりもする。
 手がけているものがバッグなどの厚物中心なので、それなりの厚物の縫製技術が求められ、設備も特殊なものが要求される。オペレータも、経験者が多く、積み重ねた高い技術力がTATONKAの評価を支えている。
 特に扱うのが、アウトドア用品や山岳用品、キャンプ用品などであり、品質が命といってよい。縫製技術だけでなく、バッグやリュックサックなどのデザイン・機能も高いレベルを求められるためにオペレータの養成は工場存続の基盤になっている。


ますます多様化する製品デザイン
求められる厚物ミシンの開発


 同社の課題は、手がけるデザインの多様化が進み、かつては考えられなかった新しいデザイン・機能が製品に付加されて、現場での加工が年々難しさを増していること。リュックサックのクッションなどは素材技術の発達で厚さが3cmにも及ぶものがある。厚物用のミシンでも3cmもの厚さをコントロールできる押えはない。「手で押し付けて素材を入れて縫製作業を行っているのですが、こうした新しい需要に応えるためにも、新しいタイプのミシンが欲しいですね。JUKIミシンは操作性もいいし、何よりも品質が安定しているので、たくさん導入していますが、こうした厚物分野の新しい商品も開発して欲しいですね」とMR.THANH-LONG LEは言う。
 同社は、TATONKAからデザインを入手してそのデザインからパターンを起こして生産するが、設備について特に注文はないという。サンプルを作って送れば、作り方は問われないという。逆に言えば、商品開発に当たってはデザイン・機能が優先され、既存の設備でどのように加工するか…はMOUNTECのお2人次第という訳である。
 MR.THANH-LONG LEは、年度の計画や打ち合わせでドイツのTATONKAに行くが、加工法の面で注文を付けられることは少なく、むしろ、工場の環境整備、オペレータの人権などについて厳しい指示があるという。
 「製品の多様化に伴って高い縫製技術が求められていますがホーチミンシティでは採用が難しくなっていて社員教育も重要です。また現在7名いる技術者の補充も必要で、技術教育などもしっかりと行いたい」とMR.THANH-LONG LE。
 「TATONKAは、現在はアジア地域では余り知られていませんが、今後、販売の増大が期待されると、オペレータや技術者の育成、設備の開発が重要になり、JUKIを頼りにしていますので、よろしくお願いします。」(MR.CHUONG VAN DUNG)
 アウトドア、バッグの領域は市場も膨らみつつあり、今後の期待も大きい。

バックやリュックサックでは、厚物…という言葉では解決できない多くの難しい作業がある。クッションの入った5cmほどの厚さを縫う。バックやリュックサックでは、厚物…という言葉では解決できない多くの難しい作業がある。クッションの入った5cmほどの厚さを縫う。
バックやリュックサックでは、厚物…という言葉では解決できない多くの難しい作業がある。クッションの入った5cmほどの厚さを縫う。

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