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特集 : ベトナムのアパレル産業

特集 : ベトナムのアパレル産業
躍進する"チャイナ・プラス・ワン"
アパレル輸出は豊富な労働力を背景に年率2ケタの急成長
22年目を迎えたドイモイ路線

 "チャイナ・プラス・ワン"のアパレル生産地として注目されるベトナム。道路を一杯に広がってバイクが走る光景は、ベトナム経済の脈動を感じさせるが、とはいえインフラの整備もゆるやかで、決してあわてない。それがベトナムと中国の違いといえるかもしれない。
 1986年に導入されたドイモイ(刷新)路線が22年目を迎えて、外資導入をめざした構造改革や国際競争力強化に取り組んでいる。この間、アジアの通貨危機などの影響を受けて成長率は一時低迷したものの、全方位外交、アセアン、アジア・太平洋諸国等近隣諸国との友好関係の拡大に努め、1995年7月、米国と国交正常化、アセアンに加盟。1998年11月、APECに正式参加を進めてきた。
 この結果、ベトナム経済は、2000年に6.7%,2001年6.8%、2002年7.0%、2003年7.2%、2004年7.9%、2005年8.4%…と高い成長率を達成。縫製業は輸出産業として2ケタの成長を続けている。2007年1月11日、WTO正式加盟を果たし、GDPが順調に成長する一方で、上半期の貿易赤字は47億7,000万米ドルに達し、通年予測の47億米ドルをすでに上回った。
 今年の目標は国内総生産(GDP)成長率8.5%だが、慢性的貿易赤字、未成熟な投資環境などの懸念材料もあり、ドイモイの進展の裏で、貧富の差の拡大、汚職や官僚主義の弊害などのマイナス面も顕在化している。重要なのは成長率ではなく、行政や金融を中心とする改革を加速し、しっかりした法制化・制度化を進め、汚職の防止、国営銀行や企業の株式会社化、さらには生産性の向上など、中長期的に成長を持続するための改革が必要だとの意見もある。


人口の3/4が40歳以下--若い市場に期待感

 こんな中でアパレル業界は輸出産業の花形であり、年々2ケタの成長を遂げている。しかし、ここにきて国内アパレルは2極化が進んでおり、高品質化が生き残りの大きなポイントになっている。ベトナムのアパレル製造業が、高品質を求められるまで成長してきたとえよう。
 2005年1月のクォータ撤廃後、"チャイナ・プラス・ワン"として注目されるベトナムだが、同時に、各国とも、人口の3/4が40歳以下という若い市場と豊富な労働力に魅力を感じ、積極的な進出を目指している。労働力だけでなく、若い市場への期待があるのだ。
 現在、国家による積極的な外資誘致政策等もあり、投資ブームに沸いて外資系企業の進出が相次いでいるが、この投資熱を押し上げるのが、中国とアジア各国をつなぐベトナム縦断高速道路網、アジアンハイウエー構想である。
 ベトナムにとって最大の課題が素材の供給であり、多くのメーカーは素材の供給を中国から行っている。そのために、国境を挟む中国・ベトナム間の陸路輸送の整備が急がれているが、2005年12月には中国広西チワン族自治区の区都である南寧と、ベトナムとの国境である友誼関を結ぶ全長約180kmの高速道路「南友高速」が開通。雲南省からのルートとともに、広東省・香港といった巨大市場をもつ中国広西チワン族自治区とのルートが完成した。高速道路網が整備されれば、アジア全体の経済発展に大きく寄与すると期待されている。




JUKI/ブランド力で総合展開

 JUKIのベトナム進出は30年以上前にさかのぼる。現地アパレル企業のサポートを開始し、JUKIブランドが本縫ミシンの代名詞となるほど認知度が高まった。現在はハノイとホーチミンに拠点を設け、営業・サービス活動を行っている。

特集 : ベトナムのアパレル工場 - -ホーチミン(1) トップ対談

特集 : ベトナムのアパレル工場 - -ホーチミン(1) トップ対談
急成長の秘訣は高品質設備を活用した高品質生産
高品質を武器に国内市場にも積極的に展開

VIETTIEN:
Vice General Director NGUYEN KHAC CHINH
Vice General Director LE VIET TOA
インタビュアー:
JUKI SINGAPORE PTE LTD Chief Representative
Nobuhiko YAMAZAKI
JUKI SINGAPORE PTE LTD Chief Representative Nobuhiko YAMAZAKI
JUKI SINGAPORE PTE LTD Chief Representative Nobuhiko YAMAZAKI
「6年前、それまでの国営企業を株式会社化し、コーポレーションになりました」と語る輸出・海外担当Vice General Director LE VIET TOA さん
「6年前、それまでの国営企業を株式会社化し、コーポレーションになりました」と語る輸出・海外担当Vice General Director LE VIET TOA さん
「工場を新設されたい会社があれば、いつでも喜んで、ベトナムでの工場運営のノウハウをアドバイスします。どうぞお気軽に御問い合わせ下さい」と語る技術・生産担当のVice General Director NGUYEN KAC CHINHさん
「工場を新設されたい会社があれば、いつでも喜んで、ベトナムでの工場運営のノウハウをアドバイスします。どうぞお気軽に御問い合わせ下さい」と語る技術・生産担当のVice General Director NGUYEN KAC CHINHさん

 年率20%を越える高い成長を実現してきたベトナムを代表する国営のアパレル工場が、株式会社制度も導入し、更なる進化を目指して、国内市場にも積極的に対応し始めた。今後は製糸業も手がける計画という。
本社工場には3,000人がいて、そのうち400人が管理部門、2,600人が縫製を担当し、シャツなどを生産している。
本社工場には3,000人がいて、そのうち400人が管理部門、2,600人が縫製を担当し、シャツなどを生産している。

シャツ工場。明るく清潔で、5Sもしっかりと行われ整理整頓が行き届いている。
シャツ工場。明るく清潔で、5Sもしっかりと行われ整理整頓が行き届いている。

シャツ。輸出仕様と同じ品質で国内市場にも販売している。品質の高さで市場では高い評価を得ている。

シャツ。輸出仕様と同じ品質で国内市場にも販売している。品質の高さで市場では高い評価を得ている。
シャツ。輸出仕様と同じ品質で国内市場にも販売している。品質の高さで市場では高い評価を得ている。


本縫ミシンは100%JUKIで、自動糸切りミシンDDL-9000が導入されているほか、電子眠り穴かがりミシンLBH-1790、高速電子閂止めミシンLK-1900、2本針腕型二重環縫ミシン MS-1190なども導入されている。
本縫ミシンは100%JUKIで、自動糸切りミシンDDL-9000が導入されているほか、電子眠り穴かがりミシンLBH-1790、高速電子閂止めミシンLK-1900、2本針腕型二重環縫ミシン MS-1190なども導入されている。

本縫ミシンは100%JUKIで、自動糸切りミシンDDL-9000が導入されているほか、電子眠り穴かがりミシンLBH-1790、高速電子閂止めミシンLK-1900、2本針腕型二重環縫ミシン MS-1190なども導入されている。

本縫ミシンは100%JUKIで、自動糸切りミシンDDL-9000が導入されているほか、電子眠り穴かがりミシンLBH-1790、高速電子閂止めミシンLK-1900、2本針腕型二重環縫ミシン MS-1190なども導入されている。

本縫ミシンは100%JUKIで、自動糸切りミシンDDL-9000が導入されているほか、電子眠り穴かがりミシンLBH-1790、高速電子閂止めミシンLK-1900、2本針腕型二重環縫ミシン MS-1190なども導入されている。

本縫ミシンは100%JUKIで、自動糸切りミシンDDL-9000が導入されているほか、電子眠り穴かがりミシンLBH-1790、高速電子閂止めミシンLK-1900、2本針腕型二重環縫ミシン MS-1190なども導入されている。

本縫ミシンは100%JUKIで、自動糸切りミシンDDL-9000が導入されているほか、電子眠り穴かがりミシンLBH-1790、高速電子閂止めミシンLK-1900、2本針腕型二重環縫ミシン MS-1190なども導入されている。
国営企業からコーポレーションへ
アパレル生産の一大グループを形成

 
山崎
御社はベトナムを代表されるアパレル工場で、年率2ケタの成長を続けていらっしゃいます。国営企業としてスタートされましたが、現在はたくさんの株式会社も傘下におさめていますね。
TOA
はい、以前はすべてが 1社の単独国営企業でしたが、6年前に組織変革を行い、子会社等を株式会社化して"Corporation"に変革をしました。合弁企業も多数設立し、1大グループ企業になっています。
CHINH
Viettienとして自社工場を9つ持っていますが、そのほかにも、100%出資の子会社や、海外資本との合弁企業など、たくさんのグループ会社が出来ました。組織図に入っているのは会社名だけで、それぞれいくつかの工場を持っていますから、工場の数にすると相当になります。
山崎
本社がそれをすべて管理されているのですね?
TOA
はい、本社には財務部門や輸出入部門、人事部門、技術部門、マーケティング部門、物流部門…などがあり、ここが全グループの管理を行っています。
山崎
ここ数年でずいぶん増えましたね。
CHINH
すべてが数年の内に作られたというわけではなくて、以前からあった会社もあります。ここ数年の間に、縫製工場だけでなくさまざまな工場の設立を経験しました。外国企業との合弁でアパレルの仕事をしたいという方に対してのアドバイスなどもさせていただいていますのでご相談下さい。
山崎
ありがとうございます。それは心強いお言葉ですね。
 ちなみに、現在の売上高はどのくらいですか?
TOA
2006年度の売上高は約1億5,000万 USDで、このうち国内向けが約2,300万 USDです。


納期、品質の安定…でベトナムに
海外からのオーダーが増大

 
山崎
御社はかつて輸出がほとんどでしたが、国内向けも増えているのですね。
TOA
最近は国内市場にも積極的に展開しており、15%ほどを国内向けに販売しています。輸出先は、アメリカ28%、日本25%、ヨーロッパ23%で、国内15%を除いた残りの10%がその他アジアなどの国になっています。4年程前までは、アメリカが50%を超えていたのですが、現在は比率が減少しています。今後は日本向け比率が少し増えると思っています。
山崎
アメリカが減少しているというのはどんな理由でしょうか?
TOA
アメリカ向けの輸出が減少しているわけではないのです。他の国への輸出が増えた結果、相対的にアメリカの比率が減少してきたということです。特に日本への輸出がここ数年で、10%ほど増えていますので、その影響も大きいですね。
山崎
日本向けが増えているというのはどういう理由でしょうか?
CHINH
最近は、"China + one"ということが言われています。その"one"というのがベトナムを指すことが多いのですね。日本からのオーダーが増えているのは、中国への一国集中を避けたいというリスク分散をねらう日本企業に、納期を守る、品質が安定して信頼できる…という点でベトナムの工場が評価されているということと思います。
TOA
日本とベトナムの首相が御互いに行き来して、工場用地の貸与や税制の優遇措置、輸出入手続きの簡略化…など積極的な連携を目指して、新たに協定を結ぶなどの努力をしていることも大きいと思います。
CHINH
最近は、オーダーはあるが作る工場がないという状況が生まれています。当社でも2007年度は400万USDの投資を行って新しい工場をHo Chi Minh以外の地域にも作っています。理由は、Ho Chi Minhでは採用が少しずつ難しくなってきているということです。


成長の秘訣は高品質なモノづくり技術
よい設備が高品質を生む

 
山崎
ところで、御社は毎年20%を超える成長を続けていらっしゃいます。それだけお客様からの要望があるということですが、オーダーがくる理由、こうした急成長を続けてこられた秘訣はなんでしょうか?
CHINH
このことは会社案内でも紹介させていただいていますが、最大のポイントは、高品質な製品作りを目指してきたことではないでしょうか。それに加えて、価格と納期がしっかり厳守している、QCDをご評価いただいた結果と思っています。
 当社はいろいろな国向けに製品を作ってきましたが、一番難しかったのが日本向けです。日本向けに作り始めたときには、お客さんの品質要求が厳しくて大変でした。そして、日本向けの商品を作り始めて気がついたのは、この高い品質要求を満足させるものが作れれば、どこの国にでも通用する…ということでした。
 それ以来、当社は"日本の要求品質"を社内標準にしようと決め、そのための作り方を研究してきました。そして、その作り方を標準としてオペレーターの教育をしてきました。その高品質作りを支えてきた大きな要因が、日本製のよい設備を使ってきたことであると思います。
 1996年から本社工場でシャツなどを作り始めましたが、今では100%JUKIミシンですし、そのうちの90%が電子ミシンです。縫い品質、安定性、操作性…どれをとっても、このミシンが一番です。オペレーターも一度JUKIミシンを使うと、他のミシンを使いたがりません。
TOA
最近は、Ho Chi Minhでも採用が難しくなっていますが、学校を出てきた若手のオペレーターも、CHINHさんが作った教育プログラムを利用して研修しますが、技術の習得が早いのも操作性のいいミシンのおかげと思います。
山崎
そうおっしゃって頂くとうれしいですね。ありがとうございます。


成長著しい綿シャツ、スポーツウエア
めざすは国内市場への展開

 
山崎
御社は紳士、婦人物のシャツやパンツ、ジャケット、スーツなど多くのアイテムを手がけていらっしゃいますが、最近、伸びているアイテムはありますか?
TOA
そうですね、綿シャツやパンツ、それにスポーツウエアなどですね。
山崎
先ほどのお話で、国内市場に15%を出していると伺いました。これまで輸出を目ざして、国内市場は余りターゲットにしていなかったようですが、それだけ国内需要が大きく成長してきたということですか?
TOA
実はベトナムはアパレル生産量の多い国でGDPの65%を占めています。逆に就業者数でみると、人口8400万人のうち農業従事者が65%を占めています。アパレル製品の多くが輸出される一方で、輸入も増えているのです。ベトナムは人口の3/4が40才以下という若い国ですから、国内市場も急速に成長しています。そうした人たちに向けて、国内市場にも展開するため、販売網を整備しているのです。
山崎
手がけられている製品は、日本品質ということになると、国内市場では高級品になるのではないかと思いますが…?
CHINH
商品は3つのカテゴリーに分けています。1つは、10~15ドルの事務服やユニフォーム類、2つ目は20~25ドルの中級品、3つ目が50~70ドルの高級品です。
 ものづくりという点では、同じラインで生産していますので、作りを変えるということは出来ませんので、輸出品と同じ品質のものを国内市場に向けて出しています。ブランドも、シャツやスーツのメンズ「viettien」、18歳-25歳を対象にしたジーンズなどのヤング向け「Vee Sendy」、輸出向けの「T-up」がありますが、おかげさまで、Viettien製品は品質がいいと高い評価をいただいています。
TOA
いま、国内市場に向けて350の代理店を設置し、特にボリュームゾーンである中級品を中心にスーパーなどへの展開を図っています。現在は15%の国内市場の販売比率を25%に引き上げることが当面の目標です。


年々難しくなるHo Chi Minh市での採用
アパレル製造業から製糸業へ

 
山崎
チャイナ・プラス・ワンの輸出アパレルのトップ企業として、御社への期待も大きくなると思いますが、今後はどのような目標をお持ちですか?
TOA
わが国には若い労働力が豊富にありますが、Ho Chi Minh市内では人件費も上昇し、当社でも、平均給与は120ドルほど。だんだん採用が難しくなっています。
 ご承知のように、わが国のアパレル生産は素材が大きな課題になっていて、当社でも70%が輸入に頼っている状態です。この解決が急務なのですが、こうしたことも考慮して、将来的に素材作りに挑戦する計画です。
山崎
縫製業と2本立てで進むわけですか?
CHINH
はい、現在の縫製業務はこれ以上拡大せずに、2009年から素材作りを始める予定で、計画を進めているところです。
山崎
新しい事業展開には技術の導入も必要で、大変なお仕事になりますね。ご成功をお祈りします。

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