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生産現場に『JUKI』を探る Vol.21

秋田丸善繊維株式会社 竹村 周夫氏
秋田丸善繊維株式会社 竹村 周夫氏
アパレル生産現場第20回
秋田丸善繊維株式会社

 秋田丸善繊維(秋田県大館市比内町扇田字本道端5番地の1、Tel:0186-55-1205、竹村周夫社長)は、国内工場としてプレタの高付加価値製品をフルアイテムで生産する「旬のものづくり」を目指している婦人服生産企業だ。その背景になっているのが、高い技術力と独自開発の機器・システムを含めた設備力である。JUKIのエッジコントロールシーマーの長いユーザーであり、発売を始めたばかりの新型エジコン「AE-200A」を昨年十二月に導入したのを機に、同社を訪れた。


嶋田興次郎専務
嶋田興次郎専務

微調整も簡単と現場の評価も高い新型エッジコントロールシーマー「AE-200A」
微調整も簡単と現場の評価も高い新型エッジコントロールシーマー「AE-200A」
ダイレクトドライブ高速本縫い自動糸切りミシン「DDL-9000B」も活躍
ダイレクトドライブ高速本縫い自動糸切りミシン「DDL-9000B」も活躍
レール上のイスに座ったまま軽快に作業する独自開発のライン
レール上のイスに座ったまま軽快に作業する独自開発のライン
プレタを「旬のモノ作り」で
フルアイテムに何でも挑戦


 秋田丸善繊維は、東京・墨田区にあった丸善繊維工業の生産部門として1969(昭和44)年9月に設立。比内町(当時)の誘致企業第1号で、「あきまる」の愛称で知られている。
 現在、人員は110人。働きやすい環境作りのため創業当時から託児所を設け、今も8人を預かる。もともとニット工場としてスタートしたが、生産アイテムはカットソー、ブラウスと変わり、約20年前から婦人服重衣料に切り替え、フルアイテムに対応出来る工場になってきた。
 その後、アパレルの海外生産シフトが進む中、ベターゾーンを中心としてきた同社は、高付加価値のプレタ生産への転換を目指し、主力の取引先である三陽商会の「エポカ」に取り組んだ。「エポカは当時プレタの上位ブランドだった。うちはお客さんから出てくる難しいデザインや素材に対応することで自分たちの技術力、研究開発能力を伸ばしてきた。ちょうどその条件に見合ったのがエポカで、いろんな面で成長出来るということから食い込んでいった」と竹村社長は狙いを話す。
 4、5年ほど前からは受注の繁閑差も顕著になってきた。このため三陽商会を中心とした展示会受注に加え、期中生産をベースにしたSPA型の取引先を広げ、年間比較的安定した受注状況になってきたという。
 こうした営業戦略の基本になっているのが「旬のものづくり」という発想だ。縫製企業は従来アイテム別に専門化し、同社もかつてはブラウス専門工場として業界内で一定の地位を得ていた。しかし、ファッションのトレンドサイクルは短くなり、消費志向も変化する中、年間通してブラウスを生産することは成り立たなくなると考え、「お客様が着たい時に、着たい商品を提供出来る工場になるべきではないか、と。そのために『生産者の原則から消費者の要望へ』というスローガンの下、自己改革を始めた」(同社「我が社のセールスポイント」)。
 竹村社長は「うちはこれを作らせて下さいという営業ではなく、今、お客さんが作りたいものを作りましょう、というのが基本的な姿勢」と強調する。モノ作りを担当している嶋田與次郎専務も「我々はまずやってみて、問題を解決していく。だからほとんどの仕事を拒否しない。ロスは出るが、将来の卵みたいなものだから挑戦していく。それをずっと続けてきた」と言う。それが取引先からも高い信頼を集める要因になっている。
 同社は2005年11月、大連市に独資の大連丸善時装有限公司を設立、翌年から稼働を始めた。研修生受入事業で縁があったのが大連市で、現在65人の人員。プレタでもコストを抑えたいという取引先の要望に対応するため進出したもので、秋田と同様にフルアイテムをこなす。「"あきまる"に出して頂くのと同じようにと言っている」(竹村社長)ことから、特に品質を重視。本社はすでに長く認定されているが、昨年1月から三陽商会の中国工場では第1号という自主検査工場の認定を受けた。


新型「エジコン」に入れ替え
デジタル化で調整が楽に


 「お客さんが作りたいものを作る」ことに同社が柔軟に対応出来る1つが、パターン・サンプルの企画・技術スタッフが充実していることである。ここのスタッフは10人で、7人がブランドごとに担当し、パターンチェック、工業用パターン、サンプルの作成まで行い、量産を指導する。「サンプルは自分だけ出来る作り方ではなく、アタッチメントやミシンを使い、量産をイメージして作る。だから基になるパターン修正は洋服を分かっている人でないと出来ない」と、嶋田専務はモノ作りの頭脳と位置づける。
 もう1つが研究開発力だ。竹村社長は「ミシンをどうやって使いこなすか、アタッチメントを工夫するとか、量産でしっかりした高付加価値の製品が出来るように設備を選択したり、開発したりするのが好きな人が多い」と胸を張る。ミシンの手元照明では、まだ一般化しないうちにLEDを使用したランプを自社開発、レーザーマーカーを採用した柄合わせ延反機も独自に開発してきた。縫製現場ではラインの効率的な運用とオペレーターの作業負担軽減を両立させる「Mライン」を開発。これはフロアにUの字のレールを敷き、その上をイスで移動する仕組みで、オペレーターはイスに座ったまま軽快に移動してミシン、アイロン作業をこなす。
 機器・システムを上手く活用する同社にあって、エジコンも長く使いこなしてきた自動機だった。かつては6台を備え、今でも2台が稼働している。ピンタックや裏地のはぎに使っているが、ピンタックが昨年当たりから再び増えそうな動き。このためJUKIから開発段階でのモニターを依頼されたのをきっかけに、発売と同時に1台を入れ替えた。嶋田専務は「要望した点はほとんど改良され、それ以上に使いやすくなった」と高く評価。エジコンを担当する裁断課の三沢直人係長も調整の簡単さを大きなメリットに挙げる。「以前の機種はカーブがきついと調整のためメンテナンスの担当者を呼ばなければならなかったが、新機種はデジタルの数値で微調整が出来るので、ある程度のカーブでもきれいに縫い合わせることが出来る。ピンタックでも素材の変化にすぐ対応出来る」。
 設備を含めた技術開発力を重視する竹村社長。秋田と大連の拠点を見据え、「あきまるを大連に移す考えはない。ここが母体となるように研究開発、技術開発を引き継いでいく人材を継続的に育成していきたい」と意欲を示す。


JUKIから「この一台」

エッジコントロールシーマー
「AE-200Aシリーズ」


世界のスタンダード自動機へ

この度、世界的な人手不足と、賃金の上昇など労働環境の変化から「品質・生産性を向上させながら脱技能を図らなければならない」ニーズの高まりを受け、2003年3月に販売を休止していたエジコンを復活させ、2009年9月から世界に向け、再発売しました。
再発売ですが、新エジコン(AE-200A)は単なる旧エジコンの焼き直しではなく、調整機能をデジタル化すると共に新たな機能も付加しながら、お求め易い価格設定としています。
多様化するデザイン、縫製仕様の変更がパネル操作で正確かつスピーディーに行え、新素材への対応及び段取り時間の短縮も可能としたコストパフォーマンスも高い自動機です。
〈品質・生産性向上と脱技能のために!〉
新エジコンは操作が簡単で、熟練が必要なカーブ縫いなども、経験の浅い作業者が行うことが出来ます。
単体ミシン縫製時に発生する「縫製途中でミシンを止めて行う合わせ直し」を必要としないので、「縫う時間」が短縮されると共にデザイン通りのシルエットに仕上がります。
縫い代も正確に縫い上げるので製品(特に接ぎの多いスカート類などの)サイズが正確になります。
そのためには前工程である裁断精度の正確さを求められますが、一方で裁断品質向上のキッカケともなり、裁断品質と縫製品質の相互向上というシナジー効果が生まれます。
日本で生まれ、厳しい日本の品質に応えてきたエジコンが、世界のグローバルスタンダードになるべく再登場しました。この自動機が皆様のお役に立てるのなら、これ以上の喜びはありません。
【コメント】工業用ミシン事業部営業統括部自動機チーム

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