JUKI Magazine PageNavigation

生産現場に『JUKI』を探る Vol.18

アパレル生産現場第17回
イワサキ
イワサキ 社長 安達正敏氏
イワサキ 社長 安達正敏氏
 一昨年秋以来の世界的大不況は、いわゆるプレタ工場にも大きな打撃を与えた。世界の有名ブランドのライセンス生産や国内アパレルのプレタゾーンを数多く扱ってきたイワサキ(東大阪市菱屋西6-2-3、安達正敏社長)も例外ではなかった。受注量の落ち込みに対して、人員のスリム化を図る一方、受注アイテムの幅を拡大するとともに、加工技術による差別化をさらに進め、技術提案に力を入れてきた。この結果、海外に流れるかに見えた仕事が、他では出来ないため、結果的に同社に戻っているという。岩崎靖璋会長や安達社長などが次々と発想するアタッチメントや道具類を駆使しての加工技術のベースを提供しているのがJUKIのミシンだ。LZ-2290A-SR-7(ダイレクトドライブ高速電子本縫千鳥縫自動糸切りミシン、クイックリバース仕様)の様々な応用展開など、イワサキの縫製現場はアイデアに満ち溢れている。


独自の加工技術で差別化
LZ(千鳥ミシン)も自由自在に活用


様々な用途開発で活躍するLZ-2290A-SR-7
様々な用途開発で活躍するLZ-2290A-SR-7

同社提案のハンドステッチ風刺しゅう
同社提案のハンドステッチ風刺しゅう
 岩崎会長、安達社長に案内されて応接室に入るやいなや、取材に同行したJUKI、JUKI販売のスタッフとの間で、LZの独自の使い方について熱い会話が始まった。イワサキのお2人の表情には、「早く現場を見て欲しい」という気持ちがありありだ。しかし、まずは会社の現況からうかがうことにした。
 「うちも昨年は仕事がすごく足りなくて、人員を減らしてサイズを小さくした。本社工場は90人を切り、鹿児島、長崎の分工場と合わせて約100人になっています」と岩崎会長。「取引先のブランド閉鎖が相次いだのがきつかった」と安達社長は続ける。今回の不況がトップクラスのプレタ工場であるイワサキをも直撃した格好だ。
 創業が1947年(昭和22年)の老舗。1970年から単独認定事業内訓練校「岩崎洋裁高等職業訓練校」を開設。新卒者を寮生として社内で教育し、技能者育成を続けてきた。高い技術、技能に裏打ちされたモノ作り。加えて2004年には、北川服装から加工設備と取引先を引き継ぎ、2次加工・特殊加工の技術を中に取り込んだ。
 受注量の減少に直面し、同社が取った営業面での戦略は、取引先の数を無闇に増やすよりも、1社の中でのアイテムの幅を広げること。これまでジャケット、スーツ、コートといった重衣料だけでなく、カットソーも扱うようにした。1枚当たりの単価は低くても工程数が少ない分、生産枚数が上がる。採算的にも問題はない。しかも、全てスポンジングを通すなど、重衣料の技術をベースにした同社のカットソーは一味違うとの評価を得ている。
 もう1つは、加工などによるモノ作りの差別化をさらに進化させることである。この点で、北川服装から引き継いだ2次加工・特殊加工の技術が寄与。「特殊加工と縫製技術の相乗効果」(安達社長)が今、不況からの脱出の有力な武器になりつつある。
 「高級品もコストを下げるということで、海外へ出す動きになったが、デザイナーがこういう加工を入れたいと言うと、海外には頼めない。うちは全部出来るので、まとめてやってくれということになる。結局もとの数量に戻っているという感じ」と安達社長は話す。


「作り」をデザインまで昇華
国内工場の方向性示唆


特殊な押さえでボタンホールの玉縁縫いを行うAMS
特殊な押さえでボタンホールの玉縁縫いを行うAMS

アウトカーブの三ツ巻きが出来るメカ式送り出し装置
アウトカーブの三ツ巻きが出来るメカ式送り出し装置
 本縫い、基本機種は全てJUKIのミシンが並ぶ縫製現場。その中に千鳥のLZ-2290A-SR-7はもとより、電子サイクルマシンAMS-210C、電子ハンドステッチマシンFLS-350Nなどが配されている。ちょっと見には同じようだが、それらの機械の使い方を見せてもらうと、一味も二味も違う。
 今回の取材の目玉であるLZ-2290A-SR-7でも、例えば「前端のステッチで、裏はジグザグの千鳥。表にはまつり目が何も出ない」といった使い方など多種多様。上下の糸が繋がっていない「ハンドステッチ風刺しゅう」は、デザインと技術が一体となった同社の技術提案としてアパレルの企画に採用された。「いずれマネされるでしょうが、少なくとも今シーズンは当社だけのオリジナル技術です」と安達社長。変わったところでは、プリーツ屋さんからの依頼によるもので、押さえを付けてプリーツ加工したものに三ツ巻き千鳥をかけ、その端をプリーツが開かないようにたたく。「ミシンを15度傾け重力、慣性を利用して縫っているが、これは油が入っていないダイレクトドライブの利点」(岩崎会長)だ。既に10万メートルくらい作り、全てベトナムなど海外に輸出されているという。LZ-2290A-SR-7は現在、2台入っているが、「専用機的に使いたい」と将来への期待を述べる。
 本縫いのDDL-9000DSもメカ式送り出し装置を付け、アウトカーブの細幅三ツ巻きが出来る。これには岩崎会長のアイデアが生かされている。AMSでは、安達社長の自作による特殊な押さえでボタンホールの玉縁縫いを行う。ハンドステッチマシンのFLSでは、刺しゅうの五番糸で2本取りが出来るようにした。
 人材教育をはじめ創業以来の基本路線は堅持しつつ、差別化の幅を縦、横に広げる。加工技術やアタッチメント・道具類の開発に自己満足することなく、それを技術提案にまで高め、営業戦略に生かす。生き残り競争が一段と厳しくなる中、イワサキは国内工場の1つの方向性を示している。


JUKIから「この一台」

ダイレクトドライブ高速電子本縫千鳥縫自動糸切りミシン(クイックリバース仕様)
LZ-2290A-SR-7


飾りステッチ用としても活躍
<多様なパターン縫いが1台で可能に>


 元々、千鳥といえばファンデーション関係で多くお使いいただいていますが、この機種は従来のメカ式と異なり2点、4点千鳥はもちろんTステッチなど20パターン(通常機:LZ-2290Aシリーズは14パターン)の飾り縫いをパネル操作で設定でき、多種のアイテムで多様なパターン縫いで使用されています。更にコンデンスカスタム機能を使えば素材、工程にあわせたオリジナルな模様(止め縫い)を設定できます。
 また、縫いパターンをパネル操作で変更できるので、少量生産であってもミシンを入れ替える必要もなく対応できます。


<婦人服、子供服などの飾りステッチで活躍>

 最近良く見かける婦人や子供服の襟や前身などの飾りステッチで多く使われています。特に、カスタムパターン機能を用いて襟、前端などに花や星等を模した連続模様の飾りステッチなどです。従来は刺繍機で飾りを入れていた箇所でも、(1)内製化が容易で短納期化が望める (2)刺繍機の枠入れ作業が不要であり生産性が良い (3)枠を使わないのでステッチ長さに制約がない などの理由でLZ-2290A-SR-7をご使用のお客様が増えております。今回訪問した(株)イワサキ様でも、高級プレタポルテに一味加えるアクセントとしてこのLZ-2290A-SR-7を用い、色々な模様を創意工夫され入れられていました。

 JUKIでは、お客さまの声を聞き、お客様の必要な設備を今後も作り続けていきたいと考えております。

【コメント】JUKI販売 営業推進室

JUKI Magazine PageNavigation