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生産現場に『JUKI』を探る Vol.14

アパレル生産現場第13回
由利
由利社長 由利昇三郎氏
由利社長 由利昇三郎氏
 日本を代表する鞄(かばん)産地の1つである兵庫県豊岡市。産地の有力企業で、時代先取りで知られる由利(豊岡市上陰164-5、由利昇三郎社長)はいま、小ロット・多品種への対応へ向けて、多能工育成と機械化を両輪に国内生産の強化に取り組んでいる。JUKIの電子サイクルミシンAMSが、最新機種のAMS-224EHS-6030を含めて全部で18台。同社はJUKIにとってビッグユーザーであるばかりでなく、鞄業界はもとよりアパレル業界に対しても将来の方向性に示唆を与える製造メーカーである。


カバンの国内生産を強化

 大阪・伊丹空港からJACのプロペラ機でコウノトリ但馬空港まで約四十分。特別天然記念物コウノトリの最後の生息地で、保護、野生復帰への取り組みで知られる豊岡市は、柳行李をルーツとし、千年の歴史を持つ鞄産地である。由利の創業は1964年(昭和39年)で、法人化は1970年。比較的新しい会社だが、創業者である由利総太郎会長は進取の気性を持つ経営者として知られ、3年前に社長を次男の昇三郎氏に譲った。昇三郎氏は現在44歳。若い感覚でメード・イン・ジャパンの鞄作りに情熱を燃やしている。グループには、鞄オーダー店のアトリエNUU(アトリエ ヌウ)と、由利社長の兄である由利佳一郎氏がプロデューサーを務めるアートフィアーがある。佳一郎氏は世界的に権威のある工業デザイン賞「iFデザインアワード2009」を受賞した。
 生産アイテムはビジネスバッグ、レディスバッグ、トラベルバッグ、タウンバッグ、スポーツバッグなど多種多様。
 OEM(相手先ブランド生産)が主体で、国内の有名鞄メーカーのほか大手アパレルメーカーや家電といった異業種も増えてきた。3年前からは自社ブランドを立ち上げ、訪問時もアートフィアーの商品が流れていた。
 由利の総人員は145人。そのうち本社工場は80人。他に京都府京丹後市に自家工場の大宮工場(第1、第2工場)、豊岡市に15軒の外注工場がある。また、海外提携工場が中国・青島などにあり、現在は約35%が海外生産。ピーク時は60%が海外だったが、今は国内が65%で落ち着いてきた。
 今はむしろ国内強化に力を入れる考えだ。由利社長は「国内工場はだんだん少なくなっている。この1年で淘汰が進む雰囲気がある。一方で、これだけ悪い悪いと言いながら逆に良い工場を探しているというお話もある。国内基盤をきちっと持って動けば、最悪の事態は避けられるかなと思う」と話す。昨年スタートした大宮第2工場は国内強化の一環で、若手の労働者を拡大するというねらいだ。本社工場は今のスペースの中で最大限、稼働率を上げることに注力する。
豊岡鞄産地の有力企業である由利本社工場
豊岡鞄産地の有力企業である由利本社工場
昨年12月に入れたAMS224EHS-6030がフル稼働
昨年12月に入れたAMS224EHS-6030がフル稼働
1本針本縫い総合送りなど多くのJUKI製が…
1本針本縫い総合送りなど多くのJUKI製が…


多能工育成と機械化を推進

 多品種、小ロットに対応し、いかに利益を確保するかが最大の課題だ。「全体的なコストが下がっているので、当社が生き残るためにはクオリティの高いものを小ロットでやれるかどうか。普通なら絶対ロスが生まれて利益が出ない。それをどうやって利益を出して国内製造を維持するか、それが一番の問題。仕事は確保出来ると思う。利益が出るかどうかです」と由利社長は話す。
 利益を出すための方策は2つあると言う。1つは、各セクションに分業化している中での効率化、合理化。もう1つは、販路・営業対策と社員の活性化。「お客さんに対する販路をもう少し縮めて、出来るだけ小売店に近い問屋さんと取り組むと同時に、お客さんの中でメーン商品を取っていく。これらが全部揃えば、国内の利益はおそらく出るだろう。どれかが歯車が狂うと、国内で忙しい目をしても利益が出ない」(由利社長)。自社ブランドやオーダーメード店(NUU)でのトライも、社員の力を発揮させ活性化するための取り組みだ。
 各セクションの中での合理化、効率化では、 多能工化をミシンなどの設備とセットで考えている。「いろんなバリエーションのミシンで技術力の不足をカバーしようということで、設備投資は惜しまないで来た。一見遊んでいるように見えるが、それが技術をカバーしたり多能工化を助けている部分がある。それと平面の作業は極力コンピューターミシンを使うようにしてきた」(同)。CAD/CAMはスペイン製を導入。CAMは重ね裁断用とレザーの1枚裁断用の2機種を入れた。
 JUKIのミシンは上下送りをはじめ多数入っている。コンピューターミシン(電子サイクルミシン)のAMSは17年くらい前に遡るが、AMS-229B、224Cなど縫製エリアなどを考慮しながら多くの機種を導入。昨年12月、大型縫製エリア対応の新機種AMS-224EHS-6030を入れた。
 新機種への満足度は高いようだ。第1の利点は、縫製エリアの縦幅が今までのミシンより大きくなったこと。従来分けていたのが一度に縫えるようになるなど、作業面での合理化の可能性が増えた。第2は、縫い速度が速くなり、次の縫いに早く行ける。空送りの時間も非常に短くなり、次が素早くセット出来る。第3は、タッチパネルの操作。液晶画面で縫製形状、縫い速度、上糸張力の拡大縮小のパーセントが一目でわかる。縫い速度は人によって違うが、速度が数字で出ることによって、作業目標に繋げることも出来る。また、縫いパターンのパーセントを変えることによって、大きさを微妙に変えたり出来る。さらに、段差対応機能が格段にアップ。高さに合った押さえで縫っていくことが出来る。品質アップは当然だが、作業者は技術をあまり必要とせず、作業者の負担が減った。設定を保存出来るので、次に来たとき再度設定をし直す必要はなく、ロスタイムが大幅に減少。部品では、針穴ガイドへの負担が大分減った。記憶媒体も新しいEタイプからはコンパクトフラッシュになり、容量が増えてコンパクトになった。
 柳澤啓介製造部長は、「以前は一般ミシンの人は一般ミシンだけを縫っており、コンピューターミシンとは完全分業制だったが、今は、コンピューターも踏めるし、一般のミシンも踏めるという形。多能工の意味合いが変わってきている。平面作業はコンピューターミシンを出来るだけ使おうということで、新製品が出る度に会議しています」と話す。取材には、地元のミシン販売店であるクロサキ(黒崎将昭社長)にも同行して頂いたが、機種の選定からメンテナンス、ラッパの製作まで、JUKIの代理店でもある同社への信頼は絶大だ。
 最後に由利社長は、「革商品を作るところが日本で減っている。うちは革をだんだん増やしているが、革のレザー商品では美しさや糸締まりなどが勝負になってくる。この点でもJUKIさんには大いに期待しています」とエールを送る。メーカーにとって最良のユーザーとは、最も厳しい要求を突きつける顧客のことである。
JUKIから「この一台」

ワイドなエリアもスピーディ!AMS-224E シリーズ 入力機能付き電子サイクルマシン

 AMS-224EはAMS-Eシリーズの大型縫製エリア対応機として08年12月に発売開始されました。この機種の発売により、小型エリア(AMS-210E)から大型エリアまでをEシリーズ化して、AMS全機種の操作方法・入力方法・パターンデータを共通化することができました。縫製エリアは横450mm×縦300mm(AMS-224E-4530)、横600mm×縦300mm(AMS-224E-6030)の2機種を揃え鞄・袋物の把手付け、ベルト付け、小物パーツの多数個取り、靴/スポーツシューズのパーツ付け(左右1足分)やエアーバックなどの縫製に広いエリアが活用できます。
 エンコーダ制御及び電装の改良により、最高縫速度2,500針/分の高い生産性、重い素材やクランプの高負荷による縫いの位置ズレ(脱調)の防止、最小分解能0.05mmで斜めの精度が高くなり曲線のパターンがなめらかとなります。
 縫製動作中の消費電力は 従来機種対比約 30%低減するなどJUKI独自の基準をクリアした 環境に優しい「JUKI ECC PRODUCTS」(※)認定商品です。
JUKI ECC PRODUCTS

※(※)「JUKI ECC PRODUCTS」
※JUKIでは、2009年3月に「JUKI環境ラベル認定制度」をスタートしました。環境に関する38項目のアセスメントを実施し、基準をクリアした製品を「JUKI ECO PRODUCTS」として認定しています。
※詳細につきましてはhttp://www.juki.co.jp/eco/8_products.htmlを参照ください。

【工業用ミシン事業部商品企画部】

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