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生産現場に『JUKI』を探る Vol.12

アパレル生産現場第11回
株式会社クラロン
クラロン社長 田中須美子氏
クラロン社長 田中須美子氏
 東北を地盤とする学校体育着の専門メーカーとして知られるクラロン(福島市八木田字並柳58、田中須美子社長)を訪問した。「みんなが望む健康、みんなに優しいスポーツウェア」を創業の理念に掲げ、障害者雇用では実雇用率35.56%と福島県下では3年連続でトップの実績を誇る。品質の良い機能的な製品の提供を目指して、ミシンも「油汚れ」を極力無くし、省電力・省資源・低振動・低騒音などに配慮した「ダイレクトドライブ」や「ドライヘッド」、「セミドライヘッド」の「人と地球にやさしいミシン」を導入している。


東北を地盤に学校体育着場

 クラロンの創業は1956年(昭和31年)2月。肌着からのスタートだったが、1964年の東京オリンピックを控え、スポーツ熱が高まる気運をいち早くとらえて昭和34年、スポーツウエア作りを始めた。「これからはスポーツの時代」-。幾つもの役職を兼任し、地元の名士でもあった先代・田中善六社長の先見の明であった。従業員150人。企画から製造販売まで一貫の会社である。
 現在の取り扱い商品は、スポーツウエア、水泳用品、武道、体育用品で、「メーンは体操服ですが、スポーツに関しては全て。お客さんのご要望に応じて何でもやります」と田中須美子社長。スポーツウエアだけでも、トレーニングシャツ・パンツ、ジャンパー、スラックス、トレーナー、グランドコート、Tシャツ、ポロシャツ、ランニングシャツ、ラグビージャージ、サッカーパンツ、グランドパンツ、バスパン、ハーフパンツ、ショートパンツと実に様々だ。
 本体のクラロンのほか、関連会社のクラロンスポーツが販売を担当。販売先は、青森を除く東北各県と新潟県、栃木県、茨城県の幼稚園、小学校、中学校、高校の約1200校の児童、生徒に供給している。少子化の影響で以前とは違ってロットは小さい。
 基本的にはオーダーシステムで、学校が注文するデザイン、数量に基づいて作る。ある程度この分は大丈夫だというのを作っておいて、それからシーズンになった時に追加という形になるが、「同業他社に比べてうちの場合は、学校毎にデザインが違う。学校と密接なやりとりをしてデザインを決めていくので、その学校のものを別の学校に回すということが出来ない」(氏川守義専務)。
 生地の仕入先は、社名の一部にもなっているクラボウ、クラレ(クラレトレーディング)のほか、東レ、カワボウ、東洋紡など。生成で契約しておき、それをいろいろなカラーに染めてもらう。企画と数量の読みが重要になる。「学校、仕入先さんともコミュニケーションがいちばん大事。心と心の付き合いを心がけています。地産地消で全て日本製のオールジャパンです」と田中社長は話す。
油汚れにセミドライタイプのDDL-9000A-MS
油汚れにセミドライタイプのDDL-9000A-MS
「使いやすい」と評価のAPW-895
「使いやすい」と評価のAPW-895

障害者雇用は福島でトップ

"地産地消"で地域にも貢献

 同社を語るとき、障害者雇用を抜きには語れない。現在、40人が身障者で、身障者実雇用率は県下でダントツに高い。「昭和43年から本格的に雇用を始めたが、会社が始まった31年頃には既に障害のある子もいた。その頃は、障害者という名前もなかった。41、2年の頃、政府が言い出した時も、障害者を雇わなくてはならないという特別な気負いもなかったし、ごく自然でした。どんなにつらい時でもリストラせず、バブル崩壊の時でも、障害を持っている子供を一人も辞めさせないで頑張った。今もその心構えで、辞めさせるというような不名誉なことはしたくない」と田中社長はキッパリ。
 同社の場合、知的障害者が多いが、適材適所でその人の能力に合った仕事を探している。もう一つはトレーニング。「知的障害者だからと言って、こういう仕事は出来ないと決めつけるのではなく、トレーニングすれば、段々出来るようになる」と氏川専務は言う。障害者の大会であるアビリンピックには積極的に出場させ、ほとんど入賞を果たしている。「アビリンピックは非常に良いチャンス。出場させるのは負担も大きいが、通常やっている単純な作業にプラス複合された仕事をやらなくてはいけない。そのトレーニングを通じて、その人の能力がうんと上がる」(氏川専務)。
 生産現場は、障害者がどこで作業しているのかわからないほど一体感がある。裁断、縫製、仕上げ、管理を合わせて全部で約130人。部門別構成は、裁断17人、縫製が100~105人、仕上げ11人、管理5人。縫製は10班から成る。 
 機械総数は161台。そのうち縫製のミシンは130台。本縫い系統はほとんどJUKIで、最近、高速本縫自動糸切りミシンDDL-9000A-MSを入れた。自動機・特殊ミシンでは、昨年夏に入れて「使いやすい」という評価のポケットシーマー(本縫自動玉縁縫機APW-895)、高速電子閂止めミシンLK-1900A-SSなどの最新機種が入っている。
 同社全体の生産のうち4分の1以上は白物。油汚れへの対応は課題だった。汚れた油が付いたりしたら、スプレーガンで全部一つ一つ油落としをしないといけない。大変な手間になる。今回、針棒からオイルが出ないセミドライタイプの9000A-MSで、「うちで油が出る分については防止できるようになった」(氏川専務)と評価する。「当社は、将来的にはまだまだ改良改善が必要。JUKIさんにはいろいろなことでサポートして頂いているが、もっと緊密にしていきたい」とは氏川専務からの要望だ。
電子閂止めミシンLK-1900A-SS
電子閂止めミシンLK-1900A-SS
ショールームに展示された商品の一部
ショールームに展示された商品の一部
JUKIから「この一台」

人に地球に「やさしいミシン」

ダイレクトドライブ、ドライ化の技術で開発

 JUKIのミシンは、省電力・省資源・オイルレス・低振動・低騒音などに配慮しています。それは、地球環境だけでなくその工場で働く人、地域の人々にもやさしいミシンです。
 JUKIは、その「やさしいミシン」の開発に取り組んでいます。代表的な技術の一つに「ダイレクトドライブ」があります。これはミシンを動かすモーターを、ミシン頭部に内蔵(ベルトを使わず主軸に直結)する技術で、モーターのパワー伝達ロスを無くし、省電力、低振動で且つ静かなミシンを作ることができます。単に省エネだけでなく、作業をするオペレーターさんの負荷を軽減できます。
 もう一つ「やさしいミシン」の技術で、「ドライ化」があります。ミシンは車やオートバイ以上に高速で回転するため摩擦や磨耗が発生し、これを防ぐために油が使用されています。この油を使用しない、使用してもなるべく少なくするといった技術が「ドライヘッド」「セミドライヘッド」になります。ドライヘッドミシンでは、一切給油が不要で廃油がでません。セミドライミシンでも、面部(針棒、天秤まわり)への給油は不要です。これにより、廃油がなくなり環境を汚染しないだけでなく、ほとんどの縫製工場で不良項目の第一位である「油汚れ」が減少し、生産性、品質の向上はもちろんのこと、シミ抜き作業や縫い直しが減り、シミ抜き剤による環境への負荷、オペレーターさんの負担が軽減します。
 今回訪問した㈱クラロン様でも、高速本縫自動糸切りミシンDDL-9000A-MSをはじめ、本縫自動玉縁縫機APW-895、高速電子閂止めミシンLK-1900A-SSなどの「やさしいミシン」をお使いです。JUKIではその他にも多種多様の「やさしいミシン」をラインアップ(23種、60モデル:09年1月現在)しており、今後も「やさしいミシン」開発を進めていきます。

【営業推進部販売支援課】

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