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生産現場に『JUKI』を探る Vol.2

アパレル生産現場第1回
山田辰 出雲ファクトリー
山田辰の唯一の直営工場である出雲ファクトリー
山田辰の唯一の直営工場である出雲ファクトリー
 アパレル工業新聞とJUKIとのコラボ企画・第三弾「生産現場に『JUKI』を探る」。初回(07年4月1日号)は、プロローグとしてJUKIのマザー工場である大田原工場を紹介したが、今回はアパレル生産現場の第一回として島根県出雲市の山田辰出雲ファクトリーを訪問。JUKIの本縫自動玉縁縫機APW-895を導入して販売戦略にまで活用している事例を紹介する。

仕様の変化にも自在に対応
短納期・小ロットを生産

 山田辰(本社・大阪市、山田正一社長)は、ツヅキ服(別名=つなぎ服)のメーカーとして知られる1911年(明治44年)創業の老舗ユニフォーム製造卸である。定番の「オートバイ(AUTO-BI)」ブランドに加えて、進化版の「AUTO-BI・EVOLUTION」、さらに今年から展開を始めた提携ブランドの「ディッキーズ(Dickies)」や腰部負担軽減のワークパンツシリーズ「ヒューマンバランス・ユニフォーム」など、機能性・耐久性・着用感をベースにしながら、今までにない斬新なワーキングウエアのラインアップが注目されている。
 同社の年間生産点数は43万点(昨年実績)。そのうち約8割を海外で生産しているが、小ロット・短サイクルのオーダーを中心に国内生産が欠かせない。その中核が唯一の直営工場の出雲ファクトリーである。工場の設立は今から16年前の1991年。現在、人員は40人で、年間10万着を生産する。

 足立卓巳工場長は「短納期・小ロットのものが多いですね。自動車整備学校などは、デザイン優先のところがあるので、APW-895で玉縁を作ったりします。おそらく国内で唯一だと思いますが、特殊なところでは、レーシングスーツを作っています」と工場の紹介を始めた。

いきなりAPW-895の話が出てきた。足立工場長に聞く。

――APW-895はいつ入れましたか?
 「今年3月です。学校関係のユニフォームをやる関係で、従来も玉縁はありましたが、片玉、両玉、長さが極端に短いものなどが出てきて、どうしても対応しにくかった。895の場合は、両玉、片玉の玉縁がワンタッチで簡単に、オペレーターでもすぐ出来る。そういうことでいち早く導入させていただいたのです」

――以前は、具体的にはどういう問題が?
 「男性の保全係が、片玉と両玉の取り替えをやっていましたから、大変でした。今はオペレーターがパネルで、簡単にワンタッチでできる。もちろん工具なしです。作業効率がかなりアップしました。スピードも速いし、生産性が全然違う」

――その他では?
 「布をセットする時のマーキングのポジションも改良され、失敗もなくなり、より作業しやすくなった。あと押さえ戻しもパネルでオペレーターが簡単に操作出来る。コーナーメスもきれいに切れ、返した時がすごくきれい。何よりも、パネルがあることによって、作業者がどういうものを作るのか絵で確認出来るのがいい。作業者は研修生もいるので、目で見てわかるというのは、安心ですね」

 縫製の現場に案内される。ゆったりと、明るい作業場。イートンのハンガーに真っ赤なつなぎ服が下がっている。本縫い、タコ巻き、ポケットセッター、そして玉縁など。あちこちでJUKIのミシンが活躍している。
 「設備に関しては、当初と随分変わりました。素材は厚い物から薄い物、後加工したものなど、いろんな素材がある。年間10万点作りますが、ロットは百枚を中心にその前後。1枚からでも作る。200と聞いたら大きなロット。その中でこれだけの種類の素材をこなそうとすると、その都度ミシンの調整をするのがなかなか難しい。品質面では、日本製は海外に負けるわけにはいかない。オペレーターの技術もさることながら、機械に頼るウェイトが高くなったのです」

 タコ巻については、極端に薄いものをこなすのに苦労していたが、JUKI松江が近いこともあって、3年前くらい前にMS1261でこれをクリア。「これはうちの生命線。1番薄いのは不織布。最近では鳥インフルエンザ用で、1日3回替える。そういう素材のタコ巻きは縫いにくい。一方、堅いのは、レーシングスーツ用の防炎素材。中が3層くらいになっている」

 APWについては、さらに次のような話が出た。
 「特需の物件の中には、胸が片玉でズボンが両玉というものもあり、従来そういう製品はお断りしてきた。大量にロットがあれば別ですが、僅かなロットでは値段も合わない。でも、今回APWを入れることによって出来るようになったのです」
 一つの服の中での仕様の違い。さらにペン差しの口のサイズもバラエティーが広がった。ペン差しの口を玉にしたタイプも作れるようになった。単に生産性だけではなく、仕様対応が広がり、受注がしやすくなった。

 素材対応、品質アップ、ミシン調整の容易さ、生産効率。そして、販売戦略への設備機器の活用。ここには、「メーカーしている」アパレルの姿があった。
工場長 足立卓巳氏
工場長 足立卓巳氏
タッチパネルで両玉・片玉の切り替えが簡単-と高い評価のAPW-895
タッチパネルで両玉・片玉の切り替えが簡単-と高い評価のAPW-895

JUKIから「この一台」
本縫い自動玉縁縫機「APW-895」

 「実用性」を重視し開発
 本機を商品企画するにあたり、いちばんこだわった部分は機械の『実用性』の部分でした。機械の基本性能を上げて生産性を上げても、縫製の仕様が変更になり機械が使用出来ないのであれば、お客様にせっかく高額な自動機をご購入いただいても無意味な物になってしまいます。
 この度のAPW-895は両玉、片玉の切替機構を標準装備、見やすく使いやすい大型カラー液晶タッチパネル操作を採用、パネルワンタッチで両玉・片玉の切り替えが可能になりました。また、片玉・両玉の切り替えをしても折り込み板と針の位置が変わらないので調整作業も不要です。
 さらに簡単ゲージ交換機構頭部搭載で、頭部を倒さず上面からの釜軸位置調整が可能になり、従来機の約半分以下の時間でゲージ変更が出来るように配慮いたしました。
 もちろん、大切な生産性も世界最高水準の最高3,000rpmのダイレクトドライブ頭部を搭載、マシンタイムを短縮し、優れた生産性を実現致しております。(従来機比較返し縫いで35%、コンデンス縫いで16%の短縮
 また、当社環境方針のもと、本機でのエネルギー消費の削減に取組み、消費電力設計された、優れた機種です。(平均消費電力を60%削減、また待機時の消費電力は90%削減致しました)
 APW-895は近年ますます多様化するメード・イン・ジャパンのモノ作り、市場ニーズに対し対応出来る商品であると捉え、JUKIの『こだわり商品』が縫製製造現場で活躍することを願っております。

【コメント】APW-895プロダクトマネジメントチーム(PMT)
(注)PMTは企画・開発・製造・営業が一体となった組織です。
実用性を重視した「こだわりの商品」のAPW-895
実用性を重視した「こだわりの商品」のAPW-895
玉布折込機構は、当社独自のダンパー機構で生地厚の変化を吸収。生地厚0.7~2.0mmまで面倒な大押さえ底面ラバーの交換が不要
玉布折込機構は、当社独自のダンパー機構で生地厚の変化を吸収。生地厚0.7~2.0mmまで面倒な大押さえ底面ラバーの交換が不要

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