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わが社のモノ作り戦略 第21回

都ドレス 代表取締役社長 松本 静夫氏
都ドレス
代表取締役社長 松本 静夫氏
都ドレス
代表取締役社長 松本 静夫氏

 栃木県佐野市にある都ドレスは、シルク商品のモノ作りで培った高い技術をベースに薄手素材の対応では定評があります。プレタのブラウスやドレス、スカートなどを手掛けていますが、メード・イン・ジャパンへの関心が高まるなか、既存の取引先はもちろん、新規先からの発注依頼も増えているそうです。高級商品の生産だけに油汚れなどを防ぐため、縫製現場ではJUKIのセミドライや完全ドライの本縫いミシン、セミドライヘッド高速オーバーロックなどの導入も進めています。松本静夫社長に現状と今後についてお聞きしました。


薄手素材のモノ作りで高い評価

栃木県佐野市でブラウス、ドレスなどの婦人服プレタを手掛ける都ドレス
栃木県佐野市でブラウス、ドレスなどの婦人服プレタを手掛ける都ドレス

培ってきた高い技術力で薄手素材のモノ作りでは定評
培ってきた高い技術力で薄手素材のモノ作りでは定評

縫製現場で活躍する完全ドライタイプの高速本縫い自動糸切りミシン「DDL-9000B」
縫製現場で活躍する完全ドライタイプの高速本縫い自動糸切りミシン「DDL-9000B」
―都ドレスさんと言えば、シルク商品を得意とする工場として知られています。
 創業者の先代(松本喜二氏)は戦時中に東京に出て紳士服のオーダーで修業、戦後は出身地の佐野に戻って婦人服のオーダーも手掛けたそうです。しかしこれからは既製服の時代だと判断し、昭和36(1961)年に法人化し工場を立ち上げました。その時、既製服として柱とする商品を考え、ヨーロッパにも行ったりして、高級品のシルク商品に着目してスタートしたわけです。私が都ドレスに入社したのは今から34、5年前の33歳の時でしたが、当時は100%近くシルクでしたね。ブラウスとドレスが中心で、取引先はジュンがメインでしたが、大手アパレルさんはほとんど取引しました。その頃、シルク商品はデパートでは箱に入れてガラスケースの中に陳列していました。ブラウス1型の受注で2、3千枚あり、それがコンスタントに続くので、シルク商品はこんなに売れるんだと驚きましたね。

―そのシルク商品でプレタのモノ作りのベースが出来上がったわけですね。
 同じブラウスやシャツと言っても、各アパレルさんでケンボロ一つとっても仕様がみんな違います。だから工場でパターンや仕様などを検討する企画課はもう大変でした。当時はシルクも日本製100%でしたが、その後、中国製のシルクが出てきました。それをある百貨店で販売を始めたので見に行ったところ、まだ品質的にも問題があり、これだったら心配ないと思いましたが、一方で日本製シルクが極端に少なくなっていきました。そのためにシルクのグレードと同じ素材だったら綿でも合繊でも何でも対応していこうと、シルクで培った技術を生かして間口を広げてきたわけです。今、シルク商品は本当に少なくなり、年間生産の10%もないでしょう。シルク素材で見るとプリントがだいたいイタリー製、無地が中国製です。


シルク商品でプレタの基盤

―現在の概要は。
 現在、都ドレスが36人、別会社のラモードマキが10人弱で合わせて約45人ですが、中国人実習生も受け入れています。生産アイテムはブラウスが1番多く、続いてドレスとスカートが一緒くらい。素材は布帛からカットソーまであります。生産量はアイテムによって多少違いますが、ブラウスで月産6千から8千枚です。昨年と比べると今年は受注量が増えています。いつもであれば5月連休までが春夏物のピークですが、今年はちょっとズレて5月に入ってピークを迎え、6月も夏物の受注が入りました。アパレルさんに聞くと、セールと一緒にプロパーにも力を入れて売りたいという話でした。もう一つは、国内生産への回帰という流れもあったようです。主力取引先の1社も、中国生産していた布帛のブラウス系を国内に戻したということです。ロットが小さくて手を出せませんが、新規先からの問い合わせも多いですね。

―薄手素材対応では高い評価を受けていますが、モノ作りで重視しているのはどこでしょうか。
 生地がレーヨンやポリウレタンなどいろいろな素材が混ざって物性的にもまちまちで本当に難しく、かえってシルク100%がやりやすいくらいです。うちでは展示会サンプルを受ける時に60cmから1mの長さにカットした生地の上から120度Cのスチームを全面的に掛けて必ず収縮試験します。その結果、収縮が大きいとアパレルさんに伝えてパターンの修正を依頼し、任せられると社内の企画課でパターン修正を行い、そのパターンで作った各色サンプルが展示会に掛かるわけです。その後、現物の生地が入って来ると、先上げサンプルを作り、確認を取ってから現物裁断します。それでも心配な生地の場合には1枚分先に上げて寸法を測って確認します。すべてではありませんが、難しい生地にはそういう対応を行います。事前にサンプルを何回もこなすことで縫製仕様の検討ができる側面もあります。現物で見て理解できるように、先上げサンプルはボディーに着せて注意点を付けて出荷まで回しています。

―現場での対応は。
 裁断ではCAMを導入して丸2年になりますが、正確な裁断ができることで縫製にもいい影響が現れています。薄手素材の場合、例えばバイアステープなんかは伸ばしてしまうのでバンドナイフなどの手裁断では本当に難しいんです。CAMは吸い込んで裁断するので正確に寸法どおりにカットできます。ただ、柄合わせがあるので、CAMが使えるのは裁断の半分くらい。と言うのは、アパレルさんが要望する柄合わせは半端じゃなく、タテヨコきちんと決めて欲しいって言うんです。だからそれはしょうがないですね。うちは人が比較的自由に移動するので、裁断が間に合わなければほかの部署から応援に行きます。それで対応できるんです。縫製も針と糸調子、押さえ金を上手く調整していく必要があります。そのあたりは長くやって来た経験がいかされていると思います。


若手の技術者育成を目指す

―若手の技術者教育にも力を入れていますね。
 ブラウスなどを中心とした春夏型アイテムが主力ですから切り替え時の10、11月はどうしても仕事量が薄くなります。その時期に熟練者を講師として若手の技術教育の勉強会を行っています。勉強会では自分で裁断させて丸縫いさせます。講師が縫い方を指導し、仕事が終わってからの時間を使って2週間くらいで仕上げます。基本的にはケンボロ、前立て、台襟、シャツ襟というブラウスが最初。次にデザイン物に入り、ピンタック、フリル、三ツ巻きを取り入れてちょっと難しいデザインに挑戦します。だいたい3種類くらいのデザインに3年間で取り組みます。以前は綿素材が対象でした。最近はポリエステルのデシンタイプで作っていますが、素材も変えていきます。やりたい社員は何回でも取り組んでいますよ。

―今後の取り組みについては。
 メード・イン・ジャパンへの関心が高まっていますので、より中身を良くしていこうと考えています。そのためには技術者の育成が第1ですので、中国人実習生を少なくして日本人を増やし、できるだけ若い日本人の技術者を育てようという方向を目指しています。今春も専門学校出身の新卒者が3人入社しましたし、来年も3、4人採用できる見通しです。服作りが難しくなっていますので、これからも専門学校を中心に採用していく予定です。専務を務めている長女(松本聖子さん)が引き継いでくれることになっているので、それまでにしっかりとした体制にしてバトンタッチしていきたいですね。
JUKIは世界のアパレル生産を全力でサポートします
セミドライのダイレクトドライブ高速本縫い自動糸切りミシン「DDL-9000B」
セミドライのダイレクトドライブ高速本縫い自動糸切りミシン「DDL-9000B」

セミドライヘッドの高速オーバーロックミシン「MO-6700DAシリーズ」
セミドライヘッドの高速オーバーロックミシン「MO-6700DAシリーズ」

高速電子単糸環縫い根巻きボタン付けミシン「AMB-289」
高速電子単糸環縫い根巻きボタン付けミシン「AMB-289」
高級品の生産で活躍するセミドライや完全ドライ

 都ドレスの縫製現場では、JUKIのダイレクトドライブ高速本縫い自動糸切りミシン「DDL-9000B」のセミドライタイプや完全ドライタイプ、またセミドライヘッド高速オーバーロックミシン「MO-6700DAシリーズ」などが活躍しています。
 DDL-9000Bのセミドライタイプや完全ドライタイプの針棒には、耐摩耗性と潤滑性に優れた特殊表面処理のDLCコーティングを施すことにより更にドライ性能を向上しており、グリスの交換は10年以上不要という特長があります。MO-67000DAシリーズは主要駆動部の特殊表面処理やグリス給油方式に加え、針棒機構、上ルーパー機構を無給化したドライ技術を継承していますので、縫製中の油汚れが解消されているようです。
 工業用ミシンでは商品を油で汚す心配がありました。薄手素材の高級商品を生産しているだけに、JUKIのセミドライタイプや完全ドライタイプミシンを導入することによって、商品への油汚れを解消しようという目的です。

縫製作業中の油汚れを解消

 松本社長も「シルクのような薄手素材や裏地は油を吸い込みやすく、落とすのが大変でしたが、セミドライや完全ドライのミシンを採用したことで油汚れが本当に少なくなりました」と性能に対してコメント。MO-6700DAシリーズはブラウスの脇縫いや袖刳りなどの工程に使われていますが、「商品が汚れないので重宝しています」と高く評価して頂いています。
 一方、国内の縫製現場で課題の一つになっているのがまとめの内製化です。松本社長は「かつては20件くらいあったまとめの内職屋が現在では4件だけになった」と話します。そこで大きな戦力になっているのが、いち早く取り入れた JUKIの高速電子単糸環縫い根巻きボタン付けミシン「AMB-289」です。
 AMB-289は紳士婦人服外衣の根巻きボタン付けミシンでは最高の生産性を発揮する機種で、1台で平ボタン、シャンクボタン、マーブルボタン、力ボタン付けがワンタッチ切り換えでスピーディーに行えます。国内ばかりでなく、海外の工場でも自動機の有力機種として導入されています。
 2005年から5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動に取り組んでいると言います。地元で開かれた5Sセミナーに参加した社員が評価し、全社的にスタートしたそうです。AMB-289を透明プラスチック板で囲んで作業するようにしているのもその成果の一つで、折れ針が飛び散らないようにするためのアイデアです。
 今では置き台やいろいろな工夫が生まれ、ボトムアップの力を引き出しているそうです。

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