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わが社のモノ作り戦略 第5回

鶴屋ファッション株式会社 専務取締役 宮崎 郁子氏
鶴屋ファッション株式会社
専務取締役 宮崎 郁子氏
鶴屋ファッション株式会社
鶴屋ファッション株式会社 専務取締役 宮崎 郁子氏

 国内工場の生き残りのハードルはますます高くなっているが、岐阜県羽島市にある鶴屋ファッション(宮崎修市社長)は「何でもこなす工場」として活路を切り開いてきた。婦人服オールアイテムを手掛けるのはもちろん、ダンス用ドレス、チュチュ、デニム製品、紳士服まで対応する。また、パターンからサンプル、さらにお直しにも取り組む。現場でこうしたモノ作りを引っ張っているのが宮崎郁子専務で、今後に向けて若手技術者の育成にも力を入れている。長女で副社長を務め、営業を担当している裕江さんの2人にお話を聞いた。


「何でもこなす工場」で活路開く

何でもこなせる工場として国内で頑張る鶴屋ファッション
何でもこなせる工場として国内で頑張る鶴屋ファッション
―前身は洋裁学校だったそうですが。
 両親がこの羽島で洋裁学校を開き、それからオーダーをやり、父が縫製を始めたんです。それを5人姉妹の真ん中だった私が引き継ぎ、主人が社長となって一緒に昭和50年8月に会社を立ち上げました。

―現在は。
 鶴屋ファッションのほか、この敷地内にCADによるパターン作成からサンプル製作と製品リフォーム、お直しをする「マザークラフト」、ダンス用ドレスなどを手掛ける「ジェイルー」という会社があり、グループ全体で今30人です。生産しているのは婦人服が主力で、ジャケットをはじめオールアイテムに対応しています。コートもダウンから手掛けていますし、ワンピース、スカート、パンツ、シャツ、ニットと重衣料から薄物まで、それからジェイルーでは社交ダンスのドレスやバレリーナのチュチュをやらせて頂いています。東京コレクションに参加しているデザイナーブランドとも取引があり、仕上がりがコレクションぎりぎりになり、東京まで持っていって間に合わせたこともありました。婦人服だけでなく、紳士物のブルゾンやダウンコートもやっているので、最近は男性歌手の衣装でスーツまで依頼されて製作しています。社内はこっちで薄物のドレス、こっちでチュチュ、こっちでデニムを縫ってという感じで、社員は本当に大変です。


みんなと違う仕事をやろうと

バック縫いも出来て好評なダイレクトドライブ高速電子本縫い千鳥縫い自動糸切りミシン、クイックリバース仕様「LZ-2290A-SR-7」
バック縫いも出来て好評なダイレクトドライブ高速電子本縫い千鳥縫い自動糸切りミシン、クイックリバース仕様「LZ-2290A-SR-7」

電子鳩目穴かがりミシン「MEB-3200R」が活躍
電子鳩目穴かがりミシン「MEB-3200R」が活躍
―どうしてそんなに生産アイテムがバラエティーになったのですか。
 以前、大手商社経由の仕事をしていましたが、景気が悪くなるとアパレルさんは工場に対して「ないものは出せない」という。実際、そう言われた時があり、要はみんなと同じ仕事をしているからそうなるので、違う仕事をやろうというのがきっかけです。幸運にもいろいろな方からあれが出来ないかこれが出来ないかと紹介され、依頼されるとやりますよと。紳士物はほとんど経験がなかったので、先生を呼んで来て学びましたし、それこそ主人の背広をほどいてひっくり返して(笑い)。とにかくミシンを使えば縫えるんだからという気持ちで取り組み、紳士スーツも出来るようになりました。要はパターンが違うだけですから、社内のパタンナーが紳士物と婦人物のパターンを出来るようにしたら、縫うのは比較的簡単ですよね。別会社のマザークラフトはお直しを受けていて毛皮も革も来ますので、それが経験になり、毛皮屋さんのように仕上げて欲しいと要望されたら困りますが、縫えないモノはないくらいになりました。それで年中仕事が切れなくなったわけです。以前は今日は昼で終わり、明日はお休みという時もありましたが、4、5年前から暇な時がなくなりました。何といってもそれが一番いいことです。

―文字通りなんでもこなす工場ですね。
 洋裁学校を開いていた両親のもとで一通り技術は学んできましたし、手仕事でオーダーを作ってきた経験があり、その時に培ったモノ作りの心構えがあったから出来たのでしょうね。だからみんなにも知らなかったら勉強すればいい、やったことがなかったら試してみようという精神を持たせました。誰かがやっているはずだから、うちだって出来るでしょうと。とりあえずやってみて、1回は失敗もあるかも知れないけれど取り戻せばいいし、失敗は踏み台になります。そんなに大きな失敗もなくやって来られましたけどね。

―でも、なんでも受けると効率が悪いでしょう。
 それが一番欠点です。だけどもやめられないというか、頼まれたら断れないんです(笑い)。最近は取引先さんがこれくらいの工賃は必要でしょうと理解して下さるので助かります。ですから、シンプルなモノは最近見ません。パンツでもポケットがいくつもあって、普通のパンツ工場さんがやらないモノが来ます。あまりに小ロットの場合はサンプルグループが担当します。逆に、マザークラフトが受けているお直しは全員やれるようにしていて、量がある場合は今日1日はお直しと言って全員で分担して対応します。


パターンも縫いも分かる人を

―マザークラフトではパターンから受けているそうですが。
 だからほかの工場にない強みがあると考えています。最初はサンプル縫製だけでしたが、CADを導入してパターンをイチから引き、ファーストサンプルをやりますという流れにしていきました。今ではデザイン画や現物でのご相談にも対応しています。昔はパターンからやってましたけど、いつの間にか縫製だけになってしまい、実はパターンをやる人がいない時にCADを入れたんです。それから入社して来た若手に先生をつけて指導し、その子が腰を据えてやってくれるようになったわけです。パターンが悪いと一生懸命縫製でやってもいい商品が出来ません。今私どもではパターン・サンプル段階で、量産ではこういうシワが入りますよとか、これはツレますからこうしたいですと提案したり、取引先にパターン修正をしてもらうようにしています。そうすることで本番の量産で大きなクレームはほとんどゼロになりました。それが信用となり仕事を頂けていると考えています。

―パターンと縫いのマッチングがいいモノ作りの基本ということですね。
 うちのパタンナーには、ここでパターンを作ったら、自分で縫えるし本番で縫った商品が確認できると話しているんです。私もサンプルを縫った時にはボディーに着せて、あなたのパターンはこうだよと見せているんです。そういう環境があることは技術者を目指す社員にとって幸せと思います。今、パターンの中心になっている子はこの線はおかしいと分かるようになっているので、いいパターンが引けています。縫製からこの線は縫いにくいとか、縫い代がちょっと違うよと飛んできますからパターンの子も勉強になります。パターンと縫製が直結しているので、商品の仕上がりが見えます。本当に仕事も人も繋がっているんです。みんな繋がって、これで初めていい服が作れると思うんです。昔はそうだったですからね。これからはこのパターン部門にもっと人数を増やしたいし、この子たちが縫えるように指導したいと思いながら2人、3人と養成しています。


取締役副社長 宮崎 裕江氏
取締役副社長 宮崎 裕江氏
刺激的なセミナー
取締役副社長 宮崎 裕江氏

―人材育成に力を入れていますが、裕江さんは今年7月にJUKIの縫製研究所が開いているマネジメントセミナーに参加されたそうですね。
裕江さん
受講した動機は生産管理の流れを勉強したかったからです。それとモチベーションを高める手法も学びたいと考えていました。これまでいろいろなセミナーに参加してきましたが、JUKIさんのセミナーは3泊4日という長さで何やるんだろうと、しかももう200回近く開催されていて歴史があり、どんな講習か興味がありました。ただ私はずっと工場の現場に付いていられないので、1人で行っても学んだことを工場に反映させるのは難しいと考え、現場に一番近いところにいる入社2年半の竹内(晴美)を連れて行って、2人で勉強してきました。

―受講した感想は。
裕江さん
2人で行ったのでその場で彼女とうちだったらこうするねとか、改善はこうしなきゃと話し合え、すぐノートに書き留めておくことが出来ました。それで彼女は帰ってきたらすぐにストップウオッチを持って現場で時間観測し、専務に改善提案をしています。このセミナーはグループ実習を取り入れていて、初めて会った人と同じチームで一つのことを頑張ろうというのはあまり体験できない機会でした。一致団結の心地良さみたいなものを久しぶりに味わえましたが、それは3泊4日という合宿形式だからこそそういうことに真剣に取り組めるんだということが理解できました。参加されている方々もすごく刺激的で、その後もメールでやり取りしています。今、パタンナーの子が2人の新人を指導している立場にあり、管理者にとって一番いいセミナーなので参加したらどうかと話したら受講したいというので、来年1月開催に申し込みをしています。

JUKIは世界のアパレル生産を全力でサポートします
縫製研究所主催の工場現場改善セミナー


来年1月に194回目を開催

縫製能率研究所主催の工場現場改善セミナー
縫製能率研究所主催の工場現場改善セミナー
 JUKIの縫製研究所では、毎年七月に開催しておりますマネジメントセミナーをご好評により冬に追加開催いたします。開催期日は2012年1月31日(火)~2月3日(金)の3泊4日、会場は同じくJUKI大田原工場那須研修センター(栃木県大田原市)です。
 今回の研修は「実践して学ぶ アパレル生産工場現場改善セミナー~最高のチームはリーダーがつくる~」と題して、現状の生産ラインの問題点を見つけ、改善するためのベーシックな現状分析手法から変種変量への最適な生産システムの設計、日本の強みである「チームワーク」を引き出すリーダー育成、オペレーターのやる気を引き出すモチベーションマネージメントまでを事例を用いて「わかりやすく」説明いたします。
 主に縫製工場の管理者の方を対象にしておりますが、例年商社、バイヤーの方もご参加いただいております。
 縫製研究所は設立52年目を迎え、今回のセミナーは194回目となります。毎年セミナーの内容やタイトルも変更し、海外工場事例も多く取り入れ、よりわかりやすく、個別の工場の問題点を解決できるようにブラッシュアップをさせたセミナーにしています。
 また、合宿形式、グループ実習を多く採用することで参加者の方々の情報交換の場としても役立っております。
 皆様のご参加をお待ちしております。

 マネジメントセミナー詳細はこちら

 定員は18名(定員になり次第、締め切らせていただきます)。参加料は1名・73,500円(消費税込み、テキスト及び資料・宿泊・食事含む、宿泊は個室完備、LAN有り)。

問い合わせ先:
工業用ミシン事業部縫製研究所 担当 小川
TEL:
042-357-2370
FAX:
042-357-2380

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