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服作り新時代 Vol.2

トップモデリストの提言
サン・モードスタジオ  代表取締役  柴山 登光 氏
柴山登光 氏
 
  去る4月、はからずもIACDE(国際衣服デザイナー協会&エグゼクティブ)で、メンズスーツ部門の最優秀賞(ミケランジェロ賞)を受賞しました。IACDは95年前にアメリカで生まれ、現在、会員は13支部500人。日本では1978年に発足し、現在支部会員は41人。本部会員になるためには試験を受け、通った人だけが登録されます。毎年一回、各国で国際大会が開催され、今年はニューヨークでした。本部会員はセミナー、勉強会の他に作品を出品する資格が与えられ、部門別に審査があります。奇をてらったような作品ではなく、普通のもので売れるもの、市場性が高いことが要求され、フッションショーでモデルが着て披露し、最後に部門毎に受賞者にはトロフィーが贈られます。私は1996年のミラノ大会でレディスで受賞したので、今回で2度目です。これまで日本支部からはメンズ部門の受賞はなかった。メンズスーツはイタリアの得意分野で、ほとんどイタリアに取られていた。たまたま今回使った素材などがうまくマッチしたのだと思いますが、一番難しいスーツ部門が世界に認められたということになるのかもしれません。
 
  今回使用した生地「シャリック」はウール、モヘア、ポリエステルの三者混で、涼しい素材。アメリカは南部など暑いので、ヨーロッパと違ってポリエステルが入っている素材への偏見がない。技術面では、この素材が難しいというのは向こうの人にもわかる。よくこなしたということでしょう。日本でも慣れた工場では難なく作るが、初めてではとても難しい素材。表地が軽いので中の材料も軽くし、しかもフル毛芯。接着芯で作っていたらインパクトはないが、フル毛芯で表地の素材を壊さず、軽い仕上がりにしたわけです。  


ところで、私の現在の仕事は、メーカーのパターンをただ作って渡すだけではなく、もう少し入り込んで企画と一緒にモノを作り上げるということをしています。最後の製品の品質に対しても必ず工場に行って問題点をチェックし、場合によっては指導もする。どうしても紙だけをいじっていると片手落ちになるので、現場に身を置くということがバランス感覚上も必要。現場での問題点を自分の中で常にフィードバックでき、評論家にならなくてすむのです。  私の経歴の中では、工場に12年間身を置いたことが大きいと思います。20年前だが、メーカーの技術者は、工場の中で汗水流していろいろな問題を解決した人は少なかった。今はますますいない。それが僕のひとつの〝売り〟でした。現場を知っている僕が言うと聞いてくれたり、納得してくれる。もうひとつは、私は体が小さいので自分のサイズがない。一番小さいサイズを買って必ず自分で直さないといけない。直すと中が見られる。指示した通りにやってないとか、いろいろなことがわかる。それをまとめたのが『服づくりQ&A』という本。未熟な部分もあるかもしれないが、一緒に考えて編み出したものと思っています。  
 
  日本の服作りは、歴史は浅いが技術的には追いついている部分があります。日本は湿度が低いときに作り、高いときに売る。服では一番条件が悪い作り方。向こうではそれは考えていないし、恐らくできないのでは。そういう意味では日本の方が勝っている部分がある。ただ何が違うかと言うと着る人の感性。イタリア人は体にサイズが合っているだけでは満足しない。カッコよく見えるように常に意識して、自分の姿をチェックする。日本は寸法に非常にこだわり、丈5mm前後許容範囲とか厳しい検査基準で直させたりする。2cmも3cmも長ければ別だが、いいシルエットが出ていて他に問題がなければ直す必要はない。イタリアは寸法にこだわらない。大雑把と言えば大雑把だが、細かいことに気を遣いすぎて服をだめにする日本とは違う。  

  レディスを体系的に学んだのはセコリです。セコリはバランスの美しさを一つの表にしていて、イタリアでは一つのベースになっています。今、セコリジャパンスクールで教えていますが、イタリアはこういうものだということをまず教える。これだけイタリアからインポートものが日本に入ってきたくると、バランスなどの解析ができる。身長差もあり、日本人に合わない部分がある。日本人体型に合わせるのに、今まで培った私のメンズのノウハウが役立つと思っています。  

  今の若い人は縫製を経験するチャンスがない。我々の時代と違い、工場への出張さえ制限され、行く機会もない。しかし、チャンスを見つけて縫うことをやらなくてはいけない。パターンもCADでやるのが普通になっていますが、マニュアルの部分を残すべきです。鉛チャコでカーブを引くと、自分のイメージの中に線のニュアンスが出て来て、感性が磨かれる。自分が縫製をやることで、CADの画面を見て、いい線なのか悪い線なのか、問題点がわかる。機械任せではなくアナログで体験したことが機械でもできるのが理想。CADはあくまでも道具。道具は知っていて使えば便利だが、使い方が下手だといいものはできないのです。
縫製研究所所長 山田 昭
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JUKI(株)  工業用ミシン事業部縫製研究所所長   山田 昭


  縫製研究所は1959年に創設された縫製企業むけのソフトサービス部門です。業務内容は「工場診断、プラント設計、セミナー、アタッチメント、情報発信」といった5つの分野にわたります。

  工場診断は46年間の豊富な経験・実績を基に、多くの生産方式や改善の提案を行っています。プラント設計は新規・増設・アイテム変更等にあわせた最適な設備・レイアウトを設計。研究所創設以来、世界各国で開催している「生産管理セミナー」は十六カ国もの言語に対応しています。セミナーでは受け身になりがちな内容をより実践的にするため、〝講義+現場実習+グループ討議〟を実施する「現場直結セミナー」を開設。アパレル販売部門を対象とした「商品分解セミナー」では衣服の構造や縫製工程の知識習得による対面販売能力の向上を図っています。ミシンメーカーで唯一の「アタッチメント製作セミナー」は基礎・応用コースがあり、アタッチメントを切り口とした工場診断「アタッチメント診断」では生産性向上・品質向上の効果が具体的に現れると好評を博しております。縫製業界の情報誌として本年で224号となる「ジューキマガジン」は2003年よりWeb版とし、中国版も発行。隔週発行のメールマガジン「JM―News」とともに最新の縫製・アパレル業界の動向をお届けしています。昨年末の繊維規制枠撤廃により中国・インド市場を中心に世界の縫製産地は大きく変化しています。縫製研究所では日本を始めとする先進諸国の多品種少量短サイクル生産企業から、大量生産が行われている発展途上国まで、世界各地の生産環境下での工場に最適な作業方式・改善方法の提案を行ってきました。


JIAM2005で注目を集めたJUKIブース 今後とも変貌する国内外のアパレル・縫製業界の動向をいち早くキャッチし、その情報の提供や生産方式の提案など、JUKIミシンをご利用されるお客様の満足を更に高めるべく活動していく所存です。






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