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服作りCOMMUNICATION Vol.7

メーカー基盤の作り直しへ
 
株式会社ワコール 執行役員 技術革新本部長 大野禎康氏
大野禎康氏

ワコールは、全体的なモノ作りを新たな方向に変えるということ、つまりメーカーとしての基盤を全部作り直すという取り組みを7年前に始めました。これをやるには十年かかると見ていましたが、最初の三年目で技術成果、研究成果を出し、そこから実際に応用面に取り組み出しました。今も技術成果、研究成果を求めながら、将来のために一歩も、二歩も深くやるということと、最初の三年で出たものを使って実際の現場に応用展開する事例を作っていく。こういうものが、ここ一年でかなり広がり、実績が出てきました。

三年間の技術研究のテーマは、第一に品質の見直しです。ここで言う品質とは、広い意味の品質で、消費者サイドとメーカーサイドの両方の品質評価がある。また、グローバルビジネスの品質、法律への準拠、業界規定という項目があります。と同時に、こういうものは変りますから、社内的に品質要素を分けて、長期に耐えうる新しいスタンダードを作ろうという考え方です。安全性、感性、外観、着用性、耐久性、取り扱い性の六つに易加工性、環境対応性、社会・規制対応を加えました。ここにはすごく力を入れました。

もう一つは、モノ作りのプロセスの改革で、特に設計部分を徹底的に作り直しすることです。今までのアパレル系技術の中で、このあたりはパターンメーキングと同義ぐらいにしか捉えていませんでしたが、我々は、エリア、年齢、ターゲット毎に人体モデルを作り、その中に実際に三次元下で設計をし、デザイン支援を行うということを十年がかりで取り組みました。今までのアパレル系CADに欠けていたところでした。

試作も、これまでは、従弟制度的に教えられて来て、人間の感性、経験則で処理されてきました。Aさんという優れた人がいるうちはブランドや企業は持つ。しかしAさんが抜けるとノウハウが消失してしまう。そこでテクノロジー、工学的なものを入れて、例えばフィッティング画像を三次元で捉え、修正。修正したものと前の画像を対比処理して演算すれば何がどう変ったかが取れるようにする。要するに、アパレル各社はビジネス系のデータベースは持っているが、技術系、設計系などモノ作り系データベースはなく、ほとんど人間の頭の中。言葉だけデータベースで、実際に伝える構造になっていない。いわゆる組織的なナレッジ集積という風土になかったわけです。

言い方を換えると、設計、試作部分はかなりマニュアルファクチャ-の考えが残っている。これに対して製造現場はインダストリーの世界のため、技術がつながらない。マニュファクチャーは技(わざ)とか匠(たくみ)の世界に裏付けされたものが多い。匠の世界も必要ですが、十対ゼロやゼロ対十はダメ。三対七なのか二対八かは時代とともに変るでしょうが、必ず十対ゼロはあり得ないということです。

日本のアパレルの復活目指せ

平成十年度から国の研究として取り組んできた工場系の「縫製技能高度化支援システム」は、縫製技能を支援するという直接的な目的もありますが、モノ作りそのものに将来技術としてどのような広がりを持たせるかということを考えています。一口で縫製技能と言っても、きちんと分解整理し、体系づけたものはない。もう一つは、行動計測。行動計測で高度技能保有者と技能未修得者の技能の差異を分析し、数値だけでなく、音声や画像のメディアで表示。指導ポイントを技能未習得者に伝える仕組みを作りました。

我々が抱える問題点は、いろいろありますが、技術スタッフの空洞化と高齢化は、アパレルメーカーも工場も頭の痛いところです。ここを放っておいて競争に勝てるのか、健全経営は出来るのか、ということです。当社の商品の家計図を見ると、何かの新しい要素技術を投入することで、商品が進化してきました。九〇年に入った人は、その時に出会った商品しか見ないからルーツが分からない。現象面だけ追いかけるから、周りの変化があったときに応用動作が出来ない。

技術革新が無くて企業成長した企業はありません。技術革新は、経営、人事、総務など全てに及びますが、少なくとも技術担当としては、マーケティングから流通まで継続的な技術革新、継続的な改善ができる組織体を作ることです。アパレル業界全体では、ナレッジ集積はたくさんあるはずです。それを利用できる方式を作ることが必要です。また、日本のアパレルは欧米のアパレルとは違う特長を持っています。特長を最大限生かすことが日本の業界にとって復活宣言になると思ってます。

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JUKIからのメッセージ
 
JUKI販売株式会社 代表取締役社長 塚田 輝久
塚田輝久

㈱ワコールの大野執行役員技術革新本部長は、本部の科学的な挑戦プランとその実施状況のお話の中で「革新のコアは日本」と熱く語られました。

JUKIの国内販売会社であるJUKI販売㈱は、国内アパレル生産企業の裏方に徹して存在します。国内生産は、規模が減少する困難さもありますが、日本のアパレル産業は不滅であり、世界への発信も勝機もある重要な産業である、との信念をもって国内マーケットを見据えています。

JUKI販売は、国内十八店舗のユーザーセールス部門であるSTJグループ(STJ=Sewing Technology from Japan/Standard of JUKI)と二百店舗に及ぶ契約代理店様とともに、アパレル生産現場のご要望にキメ細かく応えます。また、アパレル企業の企画部門、工場の第一線の方々との対話を重視し、改善やお悩みのご相談に応じられる専門集団として今後も研鑚して参ります。

アパレル・ノンアパレルを問わず、「縫い(機能・デザインとして)」の豊富な実績を背景としたご相談窓口「技術相談室」も開設しました。オンリーワンや差別化を志向するお客様オリジナルのご要望にお応え出来るようJUKIグループを挙げて取り組みます。また、優れた国内アパレル機器業界のメーカー・商社等との連携を強め、お客様サポートと国内アパレル産業へのお役立ちを念頭に使命を果たして参ります。

「頑張れ日本・頑張る日本」がJUKI販売のお役立ちポリシーです。

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