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経営者のための経営分析手法 ~生産性分析~

中小企業診断士
渡辺 孝
<第1回>
生産性とは
付加価値と付加価値労働生産性


 よく職場で上司から部下に「仕事の生産性を高めるようにしろ」とか、工場では「工場の生産性を高めよう!」など生産性という言葉をよく耳にします。筆者は、この生産性という言葉、なんとなく気合や励ましの意味で使われているような気がするのですが、皆さんの会社ではいかがでしょうか?生産性について正しく理解していないと気合と根性で生産高を上げる単なる労働強化につながりかねません。
 そこで、今回は理論的に「生産性とは何か」「生産性を高める」ということがどのようなことなのか、どのように生産性を計算すれば良いのか説明していきます。

 生産性とは、投入量(インプット)と産出量(アウトプット)の関係をいいます。つまり、投入量に対してどれだけの産出量があったかを示すものです。

生産性

 では、縫製業では何を投入量、産出量として計算すれば良いのでしょうか?
 一般的に縫製工場は人手による労働が主になりますので、投入量は人(数)、産出量はそれによって生み出された価値、すなわち付加価値(*)となります。

*付加価値とは
 付加価値とは皆さんの会社が新たに生み出した価値をあらわすものです。付加価値は売上高からその売上を上げるために外部から調達した商品やサービスの金額を差し引いて求めます。
 例えば、生地を自社で調達し、裁断を外注し、縫製を社内で行って出荷した場合、売上から生地代金と外注費を引いたものが「付加価値」となります。
 生地代金は生地メーカーの付加価値であり、外注費は裁断業者の付加価値となります。材料費、外注費などの変動費は他社が作った付加価値といえるのです。よって自社の付加価値は売上から他社の付加価値(変動費)を引いたものとなります。
 付加価値の計算方法は比較的新しい概念であるため、各種計算方法が存在します。今回の連載では控除法を採用し、売上高から、変動費を引いたものを付加価値とします。(図表1)

付加価値=売上高-変動費

図表1 付加価値
図表1 付加価値

 縫製工場の生産性は、従業員1人当りどれだけの付加価値を生み出したかを示す付加価値労働生産性を使います。(図表2)

付加価値労働生産性

図表2 付加価値労働生産性
図表2 付加価値労働生産性

 企業は生み出した付加価値から人件費、支払利息、賃借料、租税公課、減価償却費などの固定費を支払い、最終的には利益が残ります。付加価値が無ければこれら費用を負担することもできませんし、利益をあげることもできません。企業が事業を安定的に継続するためには、付加価値を作り続ける必要がるのです。そのため従業員一人ひとりの生産性を上げる活動を続けていかなくてはならないのです。(図表3)

図表3 付加価値と経常利益の関係
表3 付加価値と経常利益の関係

 次回は決算書の参考例をもとに、実際に付加価値を計算して、縫製業黒字企業の平均付加価値と比較してみましょう。

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