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1本針本縫ミシンの縫調子 調整法と調整例

新合繊を使った高級婦人コートでは、パッカリングのない縫製を要求されています。時間をかけてミシンを調整すればよいのですが、すべてのミシンを調整するには多くの技術者と時間が必要です。誰でもできる簡単な調整法を教えて下さい。

通常、ミシンの縫調整はベテランのオペレータさんや保全担当者によって、カンで行われることが多いようです。現状ではこれが確実な方法ですが、カンで調整した場合、ポイントを他の人に明確に教えることができないために、これでは保全担当者の負担が増えるばかりです。カンではなく、「何gに調整する」と「指導することで、新人にも調節が可能になり、保全担当者の負担を減らせるのではないでしょうか。今回は、1本針本縫いミシンをできるだけ簡単に調整するための治具と方法をいくつかご紹介します。

パッカリングを防ぐ調整法

調整1.下糸調子

 
 

ミシンを正しく作動させるためには、上下糸のバランスよい糸調子が大切ですが、一般 に下糸調子は上糸調子ほどていねいには調整されていないようです。下糸は上糸と比べ張力が低いため、微妙な調整が必要となります。

1. 調整値
 

ボビンケースからゆっくり引きだした時の張力を8~10gに調整します。

アドバイス
空転防止ばね付きのボビンケースを使う場合、釜から取りだした状態で糸張力を測定しても意味がありません。この場合は、ボビンケースを釜に取り付け、針板から下糸をだし、斜め手前に糸を引き出しながら測定します(図表1)

 
図表1
  この場合、適正張力はボビンケースで測定したときよりも大きくなり、12~13g程度が適当です。

2

調整方法

 

  張力の調整は、ボビンケースのねじの締め具合で加減します。ねじをわずかに動かすだけで張力は多き変化します(図表2)。
 
図表2
  Aの方向へ回すと強くなり、Bの方向で弱くなります。
3. 測定用治具
  扇型ゲージ、ダイヤルゲージ(市販されています図表1)。
 
 

調整2.上糸張力

 
 
1. 調整値
  25~35g
2. 調整方法
 

糸調子ナットにより調整します(図表3)。


図3
 

Aの方向に回すと強くなり、Bの方向で弱くなります。 調整の際は、上糸と下糸の張力のバランスをとって調整することが大切です。上糸張力は、下糸張力を調整してから、下糸張力に合わせて調整します。

3.

測定用治具と測定方法

 

扇型ゲージ、ダイヤルゲージ(図表4)。

 
図4

 

 

上糸張力はどこで測定するかで数値が変わってきます。

 

調整3.押え圧

 
 

押え圧は一般に"煙突"と呼ばれる押さえ調整ねじの高さが目安になっています。しかし、同じ押え圧であっても、このねじの高さは押え足や押え調整ばねの種類によって変わってきます。

1. 調整値
  2~3kg
2. 調整方法
  図表5の押え調整ねじ(1)のナット(2)を緩め、ねじ(1)をAの方向へねじ込むと押え圧は強くなります。

 

 

【アドバイス】
Aタイプ(薄物用)以外の本縫ミシンで押え圧を2~3kgにすると、押え調整ねじのミシン頭部に潜る部分が少なくなるため、使用中に外れる可能性があります。3kg以下にする場合は、できるだけAタイプの押え調整ばねをお使いください。
品番:B1505-227-T00A Aタイプ押え調整ばね

 



図5

 

 

 

調整4.糸取りばね

本縫ミシンの基本調整は、上記の下糸、上糸、押え圧の3ケ所で行いますが、次に確認したいのは糸取りばね(ピンピンばね、図表6)です。


図6

糸取りばねは機能しすぎても、また機能しなくても問題が生じます。

4-1.糸取りばねストローク

 

1. 調整値
  10~12mm
2. 調整方法
  図表6の止めねじ②を少しゆるめ、糸調子棒③をAの方向へ回すと大きくなり、B方向で小さくなります。
3. 測定方法
  上糸を押え棒抱き案内から最大限引き出したときの上糸の移動量 をものさしなどで測定します(図表7)

図7

 

  なお、上糸は糸調子皿の手前で固定し、また、押えを下げて送り歯を沈ませた状態で測定してください。

 

 

4-2.糸取りばね張力

1.

調整値

 

6~8g
【アドバイス】
糸取りばねの張力を6g程度にする場合は、細かいばねをご使用ください。
品番:D3128-555-D00

2. 調整方法
 

上糸調子ナットの中心にある糸調子棒(③)で調整します(図表6)。Aの方向へ回すと強くなり、Bの方向で弱くなります。

3.

測定方法

 

上糸を押え棒抱き案内から引き出し、糸取りばねが1mm程度動いたときの張力を測定します(図表8)。


図8