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1本針本縫ミシンでストレッチ素材をきれいに縫うには?


婦人服の縫製を行っていますが、ここ数年ストレッチ素材が増え、困っています。差動上下送り本縫いミシンや下差動本縫いミシンで縫製するのがいいことはわかっていますが、普通 の本縫いミシンでうまく縫う方法を教えて下さい。

 


1.縫製時に発生する問題とその対策

問題

 
 

ストレッチ素材は生地が伸ばされた状態で縫製されますので、縫い目の影響でその伸びが元に戻らず生地の波打ちが発生します。

 

対策(1)送り歯による伸びを少なくする

 
 
  1. 送り歯が針板上面から平行に上昇し、平行に沈むようにしてください。 マルヒラネジBをゆるめ(図表1)、送り台軸Aを回して送り歯の傾きを調整します。送り台軸は偏芯していますので、回しすぎると傾きは元の状態に戻ってしまいます。また、調整時は送り台軸に入っている油芯を傷つけないように注意してください。この調整を行うと、送り歯の最上昇時に、送り歯は作業者側が高くなります

図表1

図表2
  1. 針落ち前後の送り歯による送り量をより均等化するために、針落ち手前にも送り歯のある4枚送り歯を使用してください。
    <送り歯と針板の組合せ例>
    ・極薄物用
    送り歯 110-79308 P=1.15
    針板 110-79100 φ1.3 t=2
    ・薄物用
    送り歯 D1613-155-W00 P=1.15
    針板 110-01906 φ1.6 t=2
    ・中厚物用
    送り歯 B1613-012-C00 P=1.5
    針板 B1109-012-C00 φ1.9 t=2.6
    (P=ピッチ、φ直径、t=厚さ)
 

対策(2)押え金による伸びを少なくする

 
 
  1. 押え圧を弱くするために、弱い押え調整バネを使用してください。
    <例>
    標準バネ(B1505-227-000A)の強さを1としたときの各バネの強さは以下のようです。
    ・B1505-227-T00A:0.57
    ・111-62104:0.28
    ・111-05202:0.19(NFタイプバネ)
    注)押え圧をより弱くするには、押え関係部品の軽量化がポイントです。なお、軽量 化されているモデルとしては
    DDL-5700NF-7があります。
  2. 押え金を布厚分浮かすために、微量押え上げ装置(112-43763:組品番、jm202号P31を参照)を使用してください。(図表3,4)

図表3

図表4
  1. 針落ちの前後が押えやすい形状をしている押さえ金を使用してください。
    <例>
    D1524-555-DBA(指ガード付き、ワイパー有ミシン用)の押えを使用し、上糸締りが悪くなったときは、裏面 逃げ溝を大きくしてください。
  2. 滑りの良い押え金を使用してください。
    <例>
    フッ素樹脂押えD1524-126-WBA(指ガード付き、ワイパー有ミシン用)
2.縫製後に発生する問題と対策

問題

 
 

ストレッチ素材の伸びに縫い目(縫い糸)が追随できず縫い糸が切れてしまう。

 

対策(1)縫長さ当たりの糸の使用量を多くする

 
 
  1. 下糸を調整する
    1)下糸巻き時、下糸が伸びて巻かれないように下糸巻き張力をできるだけ弱くします。
    普通糸 20g以下
    ウーリーナイロン糸 10g以下
    下糸巻きバネを弱いものと交換することで、調整しやすくなります。
    <例> D3129-555-D00 線径 φ0.9mm
    B3121-352-000 線径 φ0.8mm
    2)アルミ製のボビンを使用し、ボビンの重さによる影響を少なくします。
    <例>
    B9110-552-A00 アルミボビン
    3)下糸張力をできるだけ弱く、10g以下にしてください。
  2. 上糸を調整する
    下糸に合わせて、縫い目結節が生地中央になるように張力を調整してください。上糸張力が弱いと下糸が切れやすく、逆に上糸張力が強いと上糸が切れやすくなり、縫い目の伸びが悪くなります。上糸を低張力で調整しやすくするため、糸調子バネ、糸取りバネは弱いものを使用してください。
    <例>
    糸調子バネ D3129-555-D00
    糸取りバネ D3128-555-D00
  3. 縫い目長さを小さくする
    できるだけ縫い目長さを小さくすることで糸使用量を多くします。
 

対策(2)伸度の大きい糸を使う

 
  ナイロン66を特殊加工した糸が伸度が大きく、縫いやすく、強度的にも優れています。 ウーリーナイロン糸は、伸度は大きいのですが、上糸としては使用できません。下糸として使用してください。ただし、下糸張力の管理は普通 の糸より難しくなります。
・伸度の参考値
小   ポリエステルスパン
↓   ポリエステルフィラメント
↓   ナイロン66フィラメント
↓   ウーリーナイロン
大   ナイロンフィラメント